廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

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廊下のむし探検 第642弾

一昨日の「廊下のむし探検」の時に撮った写真を未だに整理しています。羽アリがなかなか分からなくって・・・。

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この日はいつもの雄アリの他にこんな雌アリがいました。その他にも、

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こんな種もいます。相変わらず、検索表が使えないので名前はさっぱり分からないのですが、今日は少しだけ進展がありました。その一つはこんな場面が見られたからです。

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先ほどの大型の雌アリに、いつもの小さな雄アリが接近していました。

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そのうち、雌アリの下に潜り込みました。もう少し観察しておけばよかったのですが、その時はあまり大したことだと思わなくて、さっさと通りすぎてしまいました。右にいる雄アリは、この間から見ているケアリ属ケアリ亜属の雄アリみたいです。ということは、この大型のアリが女王アリだということになります。これはよいヒントです。早速、近くにいた個体を採集してきて調べてみました。

さらに、次のような論文を見つけたのがもう一つの進展でした。

K. Yamauchi, "Taxonomical and Ecological Studies on the Ant Genus Lasius in Jpana (Hymenoptera: Formicidae). I. Taxonomy", Sci. Rep. Fac. Educ. Gifu Univ. (Nat. Sci.) 6, 147 (1978). (ここからpdfがダウンロードできます)

この論文の中には、ケアリ属ケアリ亜属の日本産5種のうち4種の働きアリ、女王アリ、雄アリの検索表がそれぞれ載っていることと、触角柄節の立毛の説明、それから、この間から分からなかったsubgenital plateの図も載っていました。この雌アリがケアリ属ケアリ亜属だとすると、女王アリの検索表で分かるかもしれません。実際にやってみるとかなり微妙な話でした。

まず初めに、小腮鬚の末端節の長さが0.30mm以上だとヒゲナガケアリ、0.28mm以下だとその他の種になります。この個体で測ってみると、0.214mmとなりました。さらに、触角柄節の長さと頭幅の比を百分率で表したSIの値が81以上だとヒゲナガ、80以下だとその他の種になります。この個体では74となりました。従って、ヒゲナガは除外することができそうです。

次は触角柄節に立毛が40本以上あるとカワラケアリ、10本以下だとトビイロケアリまたはハヤシケアリになります。ここで、立毛の定義は面に垂直に近く出ているものだけでなく、45度傾いたものまでを含めるようです。その観点から眺めてみると、この個体には本数がよく分からないくらいたくさんの立毛があります。ということで、昨日、雄アリで名前の出たカワラケアリが有力候補ということになります。後は、雄アリでのsubgenital plateをもう一度確かめる作業が残っていますが、カワラケアリの可能性がかなり高くなってきました。

追記20150713:雌アリの触角柄節を拡大してみました。

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柄節の上には毛がいっぱい生えています。このうち45度以上に立った毛というとどれを数えたらよいのでしょう。もっとも、女王アリの検索表によると、カワラケアリではSC面で見てerectあるいはsuberectの毛が20本以上、基部から末端まで分布しているとあります。「SC面で見る」とは、定義によると、鞭節と柄節を含む面で見て柄節の内側の立毛の数を測れということなので、この写真では面が少しずれています。写真の下側が比較的近いですけど・・・。また、erectとsuberectはそれぞれ、毛の根元が表面に対してほぼ90度、〜70度になる毛を指しているようです。だとすると、そんな毛はなさそうです。ここを立毛が10本以下という方を選択すると、体が一様に黒褐色ならトビイロケアリ、茶色ならばハヤシケアリになります。この個体はどちらかと言えば黒褐色なので、トビイロケアリということになるのですが・・・。いずれにしても、♂のsubgenital plate待ちですね


追記2015/07/13:雄アリについて、subgenital plateだと思われる場所の顕微鏡写真を撮りました。

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さらに拡大してみます。

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矢印で示した部分がsubgenital plateで、これは腹板第9節に該当すると思われます。この後縁部分がまっすぐではなくてやや膨れているのが分かると思います。検索表によれば、ここが直線的だとカワラ、ここが曲がっているとトビイロかハヤシになります。曲がっていると言えば曲がっているのですが、Yamauchi (1970)の論文にあるように尖るほどは曲がってはいません。ただ、先日紹介したWilson (1950)の説明を読むと、subrectangular(角が丸い四角)とあるので、合っているような感じもします。悩むところです。一応、曲がっていると解釈し、さらに、雌アリの体色からハヤシを除外するとトビイロになるのですが、まだ、この論文の検索表に載っていないトビイロとヒメトビイロが残ります。Wilson (1955)の検索表によれば、触角柄節の立毛はトビイロでは普遍的、ヒメトビイロでは稀、もしくは欠如となります。
Wilson(1955)にも、立毛とは45度以上に立った毛をいうという定義が載っています。雄アリの触角柄節の写真を載せます。

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立毛は普遍的と言えば普遍的な感じです。ということで、今のところトビイロケアリが有力かなと思っていますが、もやもや感は残りました。これはそもそもケアリじゃないよというコメントが来るのが怖いのですが、どうぞ遠慮なくコメントしてください


アリは働きアリの研究が非常に進んでいて、次が雄アリのようです。女王アリは多形でいろいろな形態のものがあるためか、研究はほとんど進んでいないというのが、どうやら世界的な傾向のようです。ところで、マンションにやって来るのはほとんど女王アリばかりなので、名前調べが大変になるわけです。

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どこかでトビイロケアリには複数の種が含まれる可能性があると読んだ記憶ならあります(笑)
クロヤマアリにしろトビイロケアリにしろ、普通種と言われてきたものも一筋縄では行かない様で… 削除

2015/7/13(月) 午後 5:27 [ 通りすがり ] 返信する

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羽アリの検索がこんなにも大変だとは思いもよりませんでした。最後はいつももやもや。アリ全種図鑑という名前に釣られて挑戦したのですが、女王アリや雄アリは五里霧中の状態ですね。しばらくはアリから離れたい・・・(笑)。

2015/7/13(月) 午後 8:15 [ 廊下のむし ] 返信する

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