廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

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廊下のむし探検 蛾

廊下のむし探検 第650弾

今日は台風一過の青空かなと思っていたら、朝からずっと雨。廊下に出ても何もいそうにありません。諦めて3日前の写真整理です。先ほどの続きで蛾も出しておきます。

イメージ 1

地下駐車場の天井に止まっていました。見た感じ、イラガかなと思ったのですが、名前が出てきません。だいぶ感じは違うのですが、たぶん、ナシイラガですね。ナシイラガは昔6月末から7月にかけて見ていたのですが、調べてみたら、「廊下のむし探検」初登場だったのですね。

イラガの仲間の幼虫は毒毛を持つのですが、成虫は持たないので、採集した時はそのまま手で持つことができます。でも、ドクガの♀は羽化するときに毒毛を体にまぶすので、迂闊に触ると大変です。展翅をするときには手袋をはめて、針やピンセットだけを使って展翅をしたことを思い出しました。「危険・有毒生物」という図鑑を見ると、ドクガの毒はヒスタミン、タンパク質分解酵素、エステラーゼ、ホソホリパーゼA2など、イラガはヒスタミン、タンパク質と書かれていました。イラガは痛みはひどいが治りが早いという話を聞いたことがありましたが、いずれにしても、ヒスタミンと分解酵素のようですね。

ちょっと気になったので文献を調べてみたのですが、こんな論文がありました。

糸川英樹ほか、「日本産有毒鱗翅目の毒針毛, 毒棘中の発痛性アミンのヒスタミンおよびセロトニンの定量」、衛生動物 36, 83 (1985), (ここからダウンロードできます)

この論文では、いろいろな毒を持つ毛虫の毒毛を集め、粉砕した後、酸で抽出して遠心した後、上澄みを液体クロマトグラフィーで調べたものです。調べたのは、カレハガ科ではマツ、ツガ、イワサキ、タケ、イラガ科ではイラガ、クロシタアオ、アオ、ヒロヘリ、ドクガ科ではドクガ、チャ、モンシロ、それに、マダラガ科のタケノホソクロバです。これによると、カレハガ科はヒスタミンが見つからなかったのですが、後の科はヒスタミンが見つかったとのことです。量的にはドクガ科がかなり多くて、イラガ科は意外に少なかったです。この論文はセロトニンを見つけようとしたのですが、どの種も見つからなかったようです。もっと最近の論文ではもう少し詳しい研究があるかもしれませんが、1985年でまだこの程度の研究なので、意外に進んでいないかもしれません。それにしても、タケノホソクロバの幼虫も毒をもつのですね。知りませんでした。

(追記:台風の後の豪雨で廊下が歩けなかったので、暇にまかせて論文をパラパラ見てみました。刺毛の毒に関してはギョウレツケムシ科という奇妙な蛾の幼虫で研究が進んでいるようです。ギョウレツケムシというのは毛虫が長い行列を作って移動するので有名な蛾です。

M. Lamy et al., "THAUMETOPOEIN: AN URTICATING PROTEIN FROM THE HAIRS AND INTEGUMENT OF THE PINE PROCESSIONARY CATERPILLAR (THAUMETOPOEA PITYOCAMPA SCHIFF., LEPIDOPTERA, THAUMETOPOEIDAE)", Toxicon 24, 347 (1986).

I. Moneo et al., "Isolation and characterization of Tha p 1, a major allergen from the pine processionary caterpillar Thaumetopoea pityocampa", Allergy 58, 34 (2003).

Ettore Mitali, "PROTEINS ASSOCIATED WITH THE URTICATING SETAE OF THE PINE PROCESSIONARY MOTH Thaumetopoea pityocampa (Denis & Schiffermüller 1775)", MASTER THESIS IN FOREST AND ENVIRONMENTAL SCIENCES, UNIVERSITÀ DEGLI STUDI DI PADOVA (2015). (ここからpdfがダウロードできます)

読んだのはこの3つの論文。読んだといっても、アブストとイントロをパラパラ見た程度ですが・・・。一番分かりやすかったのは最後の修論でした。これによると、第1の論文でギョウレツケムシ科の幼虫の刺毛にある毒素を特定し、Thaumetopoeinという名前をつけたとのことです。このタンパク質は大きさが28kDaでダイマー構造をしていて、通常のアレルギー反応ではなく、マストセル(肥満細胞)に直接作用してヒスタミンなどを出させるということでした。次は2番めの論文で、著者らはThaumetopoeinとは異なるタンパク質(18kDa)を見つけて、それにTha p 1と名づけました。このタンパク質は通常のアレルギー反応と同様、IgE抗体に結合し、さらに、マストセルに作用してヒスタミンを出させるそうです。その後、このタンパク質はカイコガの幼虫の化学受容体タンパク質と同様のゲノム配列をもっていることが分かったそうです。その後も次々とタンパク質が見つかり、Tau p 2とかTau p 3とか名付けられているというのが現状のようです。でも、この毛虫はヒスタミンや分解酵素を直接注入するような強い毒素を出す毛虫ではないかもしれませんね


イメージ 2

スズメガがいました。クチバスズメですね。あまり近づかないようにして撮影しました。

イメージ 3

これはオオフサキバガかなぁ。似た種が多くてあまりよくは分かりません。

イメージ 4

それに、クロフタオビツトガでしょうね。

イメージ 5

これはヤマトエダシャクですね。フラッシュをたいた途端に飛んでしまったのですが、ちゃんと写っていました。ハエだとこうはいきませんね。

イメージ 6

これはクロフヒメエダシャクです。調べてみると、これも「廊下のむし探検」初登場でした。

イメージ 7

最後は似た種がいて名前がはっきりわからないのですが、一応、ツマキリエダシャクということにしておきます。

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閉じる コメント(2)

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ヒロヘリアオイラガに刺された時は、まだ分散したばかりの3齢?3匹に刺されたんですが、痛かったですよ(笑)
ただ、痛みが引くのも早かったですね。
ヒスタミンの量と言うのは、その辺に関係してるのかも。

タケノホソクロバの幼虫も、庭の笹類に付くのでドクガ科、イラガ科、コケガ亜科と並んで家や庭の害虫として有名ですね。 削除

2015/7/17(金) 午後 10:27 [ 通りすがり ] 返信する

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3匹も刺されたのですか。私は毛虫が怖くて近寄らないので、刺されたことはありません。論文を読んでいたら、刺毛の形にもいろいろあるみたいですね。イラガは深く刺さるのかもしれません。

タケノホソクロバの幼虫が刺すというのは初めて知りました。コケガも先日ヤネホソバを調べていて初めて知ったぐらいで・・・。毒を持つ幼虫はドクガ科、イラガ科、カレハガ科が有名ですが、そのほかにもいろいろといるのですね。とにかく、毛虫は触らないほうが賢明賢明・・・。

2015/7/18(土) 午前 7:21 [ 廊下のむし ] 返信する

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