廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

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この間から雄アリと雌アリを色々調べていて、トビイロケアリかなというところまで達したのですが、その時調べたことを忘れないようにまとめておくことにしました。まだまだ怪しい話なので、そのつもりで見てください。今日はまず雄アリからです。

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対象とするのはこのアリで、体長は約4mm。7月7-10日くらいに大量に我がマンションに押し寄せてきました。一体なんだろうと思って調べ始めたのがきっかけです。

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これは実体顕微鏡で撮った横からの写真です。腹部末端が複雑な形状をしていますが、これが雄アリの特徴です。雄アリについては「日本産アリ類画像データベース」に属までの検索表が載っています。そこで、それに従って調べていきたいと思います。

まず、亜科への検索です。

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全部を書くと大変なので、このアリがヤマアリ亜科であることを知って、その部分だけを抜粋して書いてみました。従って、①〜⑥の条件が満足されれば、ヤマアリ亜科ということになります。これを写真で確かめていきたいと思います。

まず、①は大顎が頭長より短いということですが、次の写真で分かると思います。

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大顎が頭長より短いのは自明ですね。でも、実は頭長をどこからどこまで測ればよいかよく分かりませんでした。この写真の範囲だと頭頂から頭盾の先端までかなと思いますが、それならば頭幅が頭長の2倍にはとてもなりません。ということで①はOKです。②の額隆起線も上の写真にかすかに見えている部分がそうかなと思いますが、はっきりとは分かりません。いずれにしても、不明瞭です。亜生殖板は次の写真で分かります。

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これは腹部末端を腹側から写したものです。亜生殖板というのは、この間までsubgenital plateと書いていた部分です。中央が膨れているのが突起かなと思いますが、これもはっきりしません。でも、とりあえず、②はOKとします。③の腹柄節はFig. 1を見ると1節であることが分かります。④はFig. 2を見ると、触角挿入口と大顎が離れていること、頭盾があること、額隆起線がありそうなことは分かります。⑤の大顎のそしゃく縁はFig.2を見ると分かります。粗い歯があります。次の文は何を意味しているのかは分かりませんでした。⑥はFig. 1に示す通りです。最後の盾板小盾板線は中胸を上から見た時の模様なのですが、特にありませんでした。ということで、ヤマアリ亜科になりました。

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次は属への検索です。これもケアリ属になることを知って、その部分だけを抜粋しています。⑦の大顎については鎌状といわれるものではありません。⑧の触角の節数はFig. 1で数えると分かりますが、13節です。⑨の中胸側板表面は次の写真を見て下さい。

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これが鱗状というのでしょうね。⑩の前伸腹節気門が円形かどうかはいつも問題になるのですが、この写真のは、たぶん、ほぼ円形というのでしょうね。これが違っていると違った方向に進んでしまいますが・・・。最後の⑪は後胸側腺の開口部ですが、下に大きな穴が合いています。これは殺菌に役立つと書かれた論文がありましたが、それについてはまた別の機会に書きます。いずれにしても、明瞭な穴があります。ということでケアリ属になりました。

種への検索表は次の論文のものを使います。

K. Yamauchi, "Taxonomical and Ecological Studies on the Ant Genus Lasius in Jpana (Hymenoptera: Formicidae). I. Taxonomy", Sci. Rep. Fac. Educ. Gifu Univ. (Nat. Sci.) 6, 147 (1978). (ここからpdfがダウンロードできます)

また、必要な部分だけを抜粋して書くことにします。ただ、原文は英文で、私のつたない語学力で訳しているので、そのつもりで見てください。

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⑫は後胸側腺開口部が気門より大きいということですが、これはたぶんそうでしょう。また、Fig. 4に示すように、その周りに毛を具えています。⑬は訳があまりよくないので私自身もよく分かりません。でも、Fig. 2の大顎の形状を示しているのだと思います。次の⑭は次の写真の通りです。

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これは等倍率で撮影した2枚の写真を比較することで、頭幅と触角柄節の長さを比較しています。SI というのは上に説明を入れましたが、柄節の長さ/頭幅を100倍したものです。この場合は70になり、⑭'の方を選ぶことになります。次の腹柄節はFig. 1に示すとおりですが、これが高いのか低いのかはよく分かりません。ただ、直線的に狭まっている感じです。また、亜生殖板(subgenital plate)の後縁は凸になっていることは確かです。従って、トビイロケアリかハヤシケアリになりました。ここで、手詰まりになるのですが、ハヤシケアリとは雌アリの色から違うと判定しました。また、これには載っていないヒメトビイロケアリとは次の論文に従って、触角柄節の立毛の数から違うと判定しました。

K. Yamauchi and K. Hayashida, "Taxonomic Studies on the Genus Lasius in Hokkaido, with Ethological and Ecological Notes (Formicidae, Hymenoptera). II. The Subgenus Lasius", J. Fac. Sci. Hokkaido Univ. VI. Zoology 17, 50 (1970). (ここからダウンロードできます)

腹部末端と触角の柄節の写真を載せておきます。

イメージ 10

イメージ 11
Wilsonの論文では立毛は真上に立った90度のものから45度傾いたものまでを呼ぶことにしているのですが、その意味では立毛はありそうです。ということで、トビイロケアリにしたのですが、まだまだ怪しさいっぱいの状態です。

次回、もっと怪しい雌アリの検索についても書いてみますので、それと比較しながらもう一度見ていきたいと思っています。

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