廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

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廊下のむし探検 第667弾

明日の「虫展」の準備で、今日は朝から大忙し。虫の名前調べまでなかなか手が回りません。夕方になってやっと時間がとれました。一昨日の「廊下のむし探検」の結果の続きです。

イメージ 1

今日の最初はこの蛾からです。ボクトウガ科のゴマフボクトウです。ときどき見る蛾で前回は昨年の9月に見ていました。こうして見ると、黒いと思っていた点が青黒く光っています。実は、綺麗な蛾だったのですね。

「大図鑑」によると、ボクトウガの幼虫は樹木にトンネルを掘って生活するようです。クヌギやコナラの幹にボクトウガの幼虫が穴を掘り、そこから能動的に樹液を出させ、樹液に集まった虫を幼虫が捕食しようとする行動を観察したという論文も見つかりました。

市川俊英、上田恭一郎、「ボクトウガ幼虫による樹液依存性節足動物の捕食--予備的観察」、香川大学農学部学術報告 62, 39 (2010). (ここからダウンロードできます)

幼虫もいろいろやっているみたいですね。

追記205/08/02:次のような研究報告が見つかりました。

高桑正敏、「雑木林におけるシロスジカミキリと好樹液性昆虫はなぜ衰退したか?」、神奈川県立博物館研究報告 自然科学 36, 75 (2007). (ここからpdfがダウンロードできます)

これは、クヌギやコナラの樹液がどのようにして出てくるのか、最近、樹液に集まる昆虫がなぜ減ったか、などについての基礎的な知識を与えてくれる大変よい研究報告です。樹液の滲出原因としては、スズメバチやクワガタムシのかみ傷などの外的な力をうけてできた傷、ボクトウガ、コウモリガ、スカシバガなどの蛾類幼虫、いくつかの種類のカミキリ幼虫、ときにゾウムシ幼虫などが木の内部に侵入することによるものだそうです。

筆者の住む南関東では、クヌギやコナラの樹液はシロスジカミキリの産卵痕やその幼虫に起因するものがもっとも普通だそうです。シロスジカミキリは地面から2m以内の高さの幹に円形の窪みをつくり、その中心に深い噛み傷を入れてそこに産卵します。幼虫は樹皮下を食して、一ヶ月ほどで材部までたどりつきます。この孔が元となって樹液が出てくるというのです。シロスジカミキリがいるかどうかは、従って、丸くて浅い産卵痕があるかどうか、また、幼虫がいるかどうかは産卵痕周辺の樹皮が盛り上がって上下に裂けているので、それを探すことで見つかります。

シロスジカミキリが産卵し、無事に幼虫が育ってくれることが、結果的には樹液が出て多くの昆虫が集まる木が増えることに繋がるのですが、それには、クヌギについては8-15cm、コナラについては15-20cmの太さの幹が適当なようです。これは余りに太いと樹皮層が厚すぎて幼虫が材部まで到達できなくて死んでしまうからだと考えられます。また、木の幹がササなどに覆われていると産卵できなくて、林縁や林内に空間がある部分に生えた木に限られてしまいます。こうしたことは、いずれも里山の管理が十分にできていないといけないので、炭の需要の減少とともに、里山が放置されるようになったことが樹液を出す木の減少の大きな理由のようです。

一方、上に挙げた市川氏の論文によると、香川県ではシロスジカミキリより、むしろボクトウガの幼虫が主要な樹液滲出原因となっているということです。ただ、高桑氏はシロスジカミキリの産卵痕でボクトウガの幼虫を見つけ、ボクトウガがシロスジカミキリの産卵痕に産卵するかもしれないという仮説を出しています。だとすると、シロスジカミキリの減少はボクトウガの減少にもつながり、それにより樹液を出す木が減少し、里山特有のオオムラサキなどの好樹液性昆虫の減少につながるかもしれないとのことでした。大変面白い研究報告で、一読の価値があります


イメージ 2

ちょっと綺麗な蛾ですね。

イメージ 3

横からも写しました。これはシロエグリツトガというツトガ科の蛾です。

イメージ 4

模様が似ているような感じですが、こちらはヒメマダラミズメイガです。以前は夏場にこの蛾がいっぱい見られたのですが、最近は少ないようです。名前通り、幼虫は水域に生息する水生昆虫です。「日本産水生昆虫」によると、浮葉植物の葉を一部切り取ったり、ウキクサ類を集めて携帯性の巣を作って、水面上で生活するとのことでした。この仲間には気管鰓を持つものもいるのですが、マダラミズメイガ属では気管腮を持たない代わりに水をはじく突起が発達しているそうです。微細構造ファンとしては、ちょっと見てみたいですね。

イメージ 5

縁毛が黄色で大変綺麗な蛾です。たぶん、モモイロシマメイガではないかと思っています。

イメージ 6

こちらはアカシマメイガではないかと思います。

イメージ 7

ダイズサヤムシガのような止まり方なのですが、どうも名前が分かりません。何でしょうね。

イメージ 8

最後は例によってスズメガです。これはモモスズメですね。

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ゴマフボクトウの成虫は5年くらい見てないかなあ。
千葉ではクヌギやコナラの樹液が出なくなってるんで、ボクトウガの仲間は殆ど居なくなってるんだと思います。
せめてシロスジカミキリでも居れば、コナラは樹液が滲むくらいは出るんですけど…

Matsumuraesesなのかな。
この辺はよく似てる上に、食草もその辺にありがちなものなんで、絞り混みづらいですね。 削除

2015/8/1(土) 午後 9:30 [ 通りすがり ] 返信する

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通りすがりさん、いつも有益なヒントをいただき、大変嬉しく思っています。私はクヌギやコナラの樹液がどのようにして出てくるのか全く知らなくて、最近樹液が出ないのは雨が少ないせいかなと勝手に思っていました。

でも、ちょっと調べてみると、樹液の滲出にはシロスジカミキリやボクトウガの幼虫が大いに関係し、シロスジカミキリが卵を生みやすい、林縁や林内空間的な環境にある適当な太さの木が、里山が放置されることによって減少してきていることが直接的に関係しているということです。シロスジカミキリの産卵痕は見つけやすいみたいなので、マンションの廊下ばかり歩くだけではなく、周囲も少し探してみようかと思いました。それにしても、樹液一つとってもそれにもさまざまな生物が関係しているのですね。感心してしまいました。

止まり方はMatsumuraesesのような感じなのですが、模様がぴったりこないのではっきりしませんでした。採集しておけばよかったですね。ひょっとしたらまだ止まっているかも・・・。

2015/8/2(日) 午前 5:35 [ 廊下のむし ] 返信する

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