廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

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廊下のむし探検 第682弾

一昨日の「廊下のむし探検」の結果です。この日は比較的大きなガガンボがいて、翅脈が綺麗に撮れたので、一度、ガガンボの科の検索をちゃんとしてみようと思ったのが苦戦の原因になりました。

イメージ 1

こんなガガンボです。腹の先端が尖っているので、多分、♀ですね。翅を広げていてくれたので、翅脈がよく見えます。「絵解きで調べる昆虫」(文教出版、2013)という本があって、検索によく用いているのですが、双翅目の検索表の最初の方にガガンボの科の検索表が載っています。だいたいは翅脈による検索なので、一度、きちんとやってみようと思いました。この本の検索表をまとめると次のようになります。

イメージ 2

先ほどの写真を使って、これを順番に調べてみました。まず、①と②は胸部と頭部に関するものなので、その部分を拡大してみます。

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V字型のしわがあり、単眼がないので、これでガガンボダマシ科でないことが分かります。

次からは翅脈に関してです。実は、ここから苦労してしまいました。本には翅脈の絵も載っているので、何となくは分かるのですが、ちゃんとやろうとすると手元にある翅脈の名称とどうも合いません。あぁでもないこぅでもないと翅脈の名称が載っている文献をいろいろと探してみました。その結果、どうやら1950年の本に載っている図を用いるとうまくいくことが分かりました。

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これがそれです。用いたのは、Handbook for the Identification of British Insects Vol. IX Part 2(このシリーズはここからダウンロードできます)で、この本の中に書いてあった翅脈の名称を使うとうまくいきました。まず、③については、R脈が4本ということで、ニセヒメガガンボ科を除外できます。次に、⑤についてはA脈が2本なので、コシボソガガンボ科を除外し、さらに、R1脈の終点が翅縁に達しているのでシリブトガガンボ科を除外できます。最後にSc脈がR1脈で終わることでヒメガガンボ科を除外でき、無事にガガンボ科に到達出来ました。

でも、脈の名称を写真に書き込んでいる時に、R1脈とR2脈の間が横脈になってしまうのが何となく気になりました。この後に出されたManual of Nearctic Diptera Vol. 1(このシリーズはここからダウンロードできます)では、この部分が次のように変わっていました。

イメージ 6

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先ほどのR1とR2脈周辺が変わっています。Sc脈はSc2となって、一旦、R1と合流した後、Sc2として翅縁まで達しています。R脈の方はR1とR2+3から来たR2が合流してR1+2として翅縁に達しています。この場合はR脈は合計3本になっていて、先ほどとは異なります。この翅脈名を用いると、先ほどの検索でR1脈の終点という表現はおかしいし、また、Sc脈の終点も変わってしまいます。

さらに、「日本産水生昆虫」には、日本で用いられているもっと新しい翅脈名が載っています。

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この名称は、もともと、一番上でCu2脈と書いた脈が擬脈だと考えて脈とはせず、これまでA1と書いていた脈をCuP脈としているところが特徴です。この翅脈名を用いると、上の④にあるA脈は2本という項目が合わなくなってしまいます。さらに、R脈の辺りも変更されています。つまり、ScはやはりR1とぶつかった地点で終了しています。さらに、R1とR2+3+4から来たR2が合流してR1+2を作っています。この翅脈名だとR脈は全部で4本になります。

このように、検索表にはどの翅脈の名称を使っているかが重要なのですが、論文や本では必ずしもそれが触れられていない場合が多くて、これがいつも悩みの種になっていました。今回は以前用いられていた翅脈名を用いることによって、「絵解きで調べる昆虫」のガガンボ科辺りの検索表をはっきりさせることができました。いずれにしても翅脈名は統一してほしいですね。

ちなみに、「原色昆虫大図鑑III」では、上の検索表とはかなり異なっていて、翅脈以外の形質をかなり使っています。さらに、「日本産水生昆虫」には属の検索表も載っているのですが、調べてみるとガガンボ属かマエキガガンボ属かということになりました。

ガガンボでくたびれたので、他の虫は後に回します。

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研究がまだ途上にあると言うか、いろいろ解釈できてしまうのかもしれませんね。
統一見解が出来たとして、解説や図鑑も刷新されなければ過去のものを参照しながらと言うことになりますし、まだまだ不便な状況は解消されそうにありませんね。 削除

2015/8/15(土) 午後 10:49 [ 通りすがり ] 返信する

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分類も図鑑によって、シリブトとヒメが亜科になっていたり、族だったオビモンヒメが科になっていたりとまちまちです。あまり一つの検索表だけを信じない方がよいですね。時代で分類がいろいろと変わっていくので・・・。

翅脈の統一見解ができて、以前の検索表がすべて書き改められた頃には、分類がまた変わってということになりそうですものね。こんな流動的なものに対して、確定した種名を調べようということ自体が土台無理なのかも。

2015/8/16(日) 午前 6:05 [ 廊下のむし ] 返信する

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