廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

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タマバエを調べてみる

2日前に「廊下のむし探検」をしていて、タマバエらしい個体を見つけました。

イメージ 1

こんな個体です。体長数ミリほどの小さなハエで、どうも写真もはっきりしないのですが、以前からちょっと調べてみたいなと思っていたので、この写真をもとに調べてみることにしました。「日本昆虫目録 第8巻 双翅目」のタマバエ科の項は九大名誉教授の湯川淳一氏が執筆されていました。そこで、これを手がかりに例によってCiNiiで検索をしてみました。その結果、次の論文を見つけました。

J. Yukawa, "A Revision of the Japanse Gall Midges : Diptera : Cecidomyiidae",Memoirs of the Faculty of Agriculture, Kagoshima University 8, 1 (1971). (ここからダウンロードできます)

実に203ページの大作です。この中に検索表も出ていました。

イメージ 2

まずは亜科、上族への検索です。例によって私の拙い語学力で訳しているので、間違っているところがあるかもしれません。また、語尾に-naeとつくのが亜科、-idiがつくのが上族です。早速調べていきます。まず、1で跗節第1節が第2節より長いか短いかという項目がありますが、写真のその部分を拡大してみます。

イメージ 3

ちょっとぼやぼやしていますが、上の写真で跗節第1節の方が第2節よりもはるかに長いことが分かります。それで決まりで、Lestremiinae亜科になりました。次は族への検索です。

イメージ 4

翅脈に関する項目なので、翅の部分を拡大してみます。

イメージ 5

上の写真が今回の個体です。ちょっと見難いので、同じようなタマバエで以前撮影したものについても下に載せてみました。また、翅脈の名称は現在用いられているものと違いますが、検索表と合わせるため、論文に載っている名称を使いました。これによるとM1+2は単純な脈で、M3+4とCuは途中で分岐しています。従って、またまた一発で決まりで、Micromyini族になりました。この辺りまでは写真で簡単に判断がつきます。

次は属の検索です。

イメージ 6

途中まで書きました。♂の検索表なのですが、この写真の個体は♀のような感じです。♂では触角が発達し、交尾器が違うので検索表は♀には使えませんが、翅脈に関するものは使えるのではと思って試してみました。

まず、最初の1は前縁脈がR5の先端を越えるかどうかなのですが、今回の写真では左右の翅が重なっていてよく分かりません。それで今年の3月に写した個体で見ていきます。黒い矢印で示したのが前縁脈の終わりでR5の終点を越えているので、1bの方を選びます。実は、タマバエ科では薄い前縁脈が翅を一周していることになっているのですが、ここでは濃く見える部分だけに注目して見ていきます。

次の項ではR1はRsの少なくとも3倍程度の長さがあるので、2aを選びます。次は触角と交尾器についてなので、触角を拡大してみましたがはっきりしません。おまけに触角の節数も末端節の部分を1節と数えるのか2節になるのか分からない状態です。ここでストップとなります。従って、Campylomyza属かCordylomyia属のどちらかだということになります。

これらの属にどんな種がいるのかなと思って、「日本昆虫目録 第8巻 双翅目」(2014)を見て愕然としました。そもそもCordylomyia属なんて載っていないし、知らない亜科があるし・・・。そこで、この論文と「日本昆虫目録 第8巻 双翅目」(2014)の関係をLestremiinae亜科辺りで対応表を作ってみました。

イメージ 7

語尾が-iniで終わるのは族で、斜体は属名です。左の欄の赤字は属名が変化したものです。Cordylomyia属はNeurolyga属とシノニムだということで、そちらに変更になりました。また、Trichopteromyia属はMonardia属の亜属になりました。

さて、問題のCampylomyza属とCordylomyia属はMicromyinae亜科のCampylomyzini族に入っていることが分かりました。右側の欄のカッコ内は種数です。左の論文の時点から種数も属数も増えているので、検索表がそのまま使えるかどうかは甚だ疑問なのですが、そのまま押していき、Campylomyzini族だとすると全部で5種ということになります。それを書き出してみます。

イメージ 8

ついでに分布も書き入れました。分布がどれほど当てになるかどうかは分かりませんが、本州では3種ということになります。さらに、NeurolygaはM3+4とCuのなす角が少し鋭角というので論文の図と比べてみると、どうもCampylomyza属に近い感じです。そうなると必然的にCampylomyza moriになっていしまうのですが、この種の記載論文が見つからないため、ここでストップです。

いずれにしても、こんないい加減な写真からでも、かなり種まで近づけたので嬉しく思っています。ただ、採集していたら、触角の感覚子や翅脈にある感覚性の孔についても見ることができて、もっと面白かっただろうにとちょっと残念に思いました。今度は絶対採集してこよう・・・。

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