廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

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ブユを調べる

昨年末、脚に白いまだら模様のあるブユがいました。これを採集していたのですが、私自身はヌカカを捕まえていたつもりで、後で調べるためにヌカカの勉強をしていました。採集した虫は冷凍庫の中の小さな箱に入れているのですが、蓋を開けてみてびっくり。ヌカカではなくて、ブユだったのです。慌ててブユについてにわか勉強をして、今日、ちょっと調べてみました。

イメージ 1

調べたのはこんなブユです。ブユはブヨとかブトとか呼ばれています。脚に白っぽい模様があるので、何だろうと思って採集していました。大きさは小さくて体長はわずか3.3mm。

ブユ科についてはちょっと古いのですが、こんな論文が見つかりました。

緒方一喜、佐々学、「日本産ブユ科 Simuliidae の種の検索表と薬剤によるブユ幼虫の駆除法について」、Medical entomology and zoology 6, 10 (1955). (ここからダウンロードできます)

この論文中の検索表は♀用なのですが、ブユ科の♂は合眼性で、上の写真の個体は眼が離れているので、多分♀だろうと思って使ってみました。検索をしてみたところ、2、3怪しいところがあるのですが、ブユ属アシマダラブユ亜属アシマダラブユにたどり着きました。いつもの通り、その過程を写真で追いかけていきたいと思います。検索表の道筋を書いてみると次のようになります。

イメージ 2

①から見ていきます。

イメージ 3

翅の写真です。翅脈の名称はMND(Manual of Nearctic Diptera)を参考にしてつけたので、「大図鑑」の方式とは異なると思います。①のRsが分岐しないというのはすぐに分かります。同じ①の中の前縁脈はC脈のことで、この写真からも棘毛があるのが分かります。最後の跗突起は脚の跗節第1節にある突起のことなのですが、次の②の跗括部も含めてよく分かりませんでした。後でもう少し調べてみます。ついでに②にある小翅室というのは矢印の部分に翅室があるかどうかということだと思います。よく見ると小さな翅室があるみたいなのですが、おそらくこれはないという部類に入るのではないかと思いました。③のR脈の基部には細毛は生えていませんでした。ということで、翅を見るだけで①から③まで進むことができました。

イメージ 4

次は脚の爪の歯についてです。この個体は上の写真に見えるようにまったく歯はありません。この論文の検索表ではこれは重要な項目で、歯がなければアシマダラブユ亜属、中央歯が大きいとツメトゲブユ亜属、中央歯が小さいとヤマブユ亜属に分かれます。従って、これはアシマダラブユ亜属になります。

生殖器板についての項目を飛ばして、⑤の腹板について見てみます。

イメージ 5

これは腹側から写した写真です。どれが第7腹板なのかはっきりしないのですが、たぶん、矢印の部分ではないかと思います。とにかく、ここに剛毛束はありません。脚を見ると、腿節と脛節の基部がすべて淡色になっています。これが⑥です。また、⑦の後脛節の基部半分以上が淡色になっているところも書いてある通りです。

イメージ 6

これは頭を斜め前から写した写真です。⑦の額面は矢印で示した部分で灰黒色であることは確かですが、光沢があるかどうは微妙です。中央の黄色に見える2つは触角で、その前が顔面ですが、顔面は灰色で明るい色です。

イメージ 7

最後は胸背で、黒い3本の帯があります。また、黄色を生じるというのは次の写真の方がよく分かると思います。

イメージ 8

黄色っぽい毛が生えているようです。ということで、怪しいところが2、3箇所あるのですが、一応、アシマダラブユになりました。ただ、亜属については、「日本昆虫目録 第8巻 双翅目」を見ると変更されていて、アシマダラブユ亜属、ツメトゲブユ亜属、ヤマブユ亜属はいずれも、Simulium亜属に入っていました。

ついでに検索に使わなかった写真も載せておきます。

イメージ 9

これは頭部を斜めから見たところです。先ほど白く輝いていた顔面が灰黒色になっています。おそらくここには細かい毛が生えていて、光の当てる方向で白く光ったり、光らなかったりしているのではないかと思います。

イメージ 10

頭部を横から見たところです。口肢が長いですね。

この論文の出された時1955年には25種だったブユ科は、今や78種になっています。この検索表がどこまで使えるのか分かりませんが・・・。書いていてもう少し写真細かい部分の写真が欲しくなりました。例えば、前縁脈の毛とか、R脈基部に毛のないところとか・・・。後で追加していきます。(追記2016/01/14:高岡宏之氏の1977年の論文(Jap. J. Sanit. Zool. 28, 193 (1977))に南西諸島で採集された種の詳細が載っているのですが、胸の黒筋が5本と書いてあり、どうもこの個体と違っているような感じがしてきました。もう少し検討してみます)(追記2016/01/14:「大図鑑」の図版の絵では胸背の黒い3本の筋はもっと細いですね。やはり違うのかなぁ。後の特徴は合っていそうなんだけど)

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