廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

全体表示

[ リスト ]

昨日、「ブユを調べる」というタイトルでアシマダラブユらしい個体の検索結果を出しました。このとき検索に用いた緒方氏の論文では「胸背には明瞭な黒色の3縦条紋がある」と書かれていて、私の見たブユとよく似ています。

イメージ 1

この写真を見ると確かに胸背には太くて黒い帯が3本見られます。ところが、「大図鑑」のアシマダラブユの説明を見ると、「正中に1本、左右に湾曲した1対計3本の黒縦条紋がある」と書かれていて、図版ではこの写真よりもっとずっと細い3本の黒条が描かれています。さらに、次の論文には、南西諸島で得られた種として、アシマダラブユの再記載がなされていました。

H. Takaoka, "Studies on black flies of the Nansei Islands, Japan (Simuliidae; Dieptera) III. On six species of the subgenus Simulium Latreille", Jap .J. Sanit. Zool. 28, 193 (1977). (ここからダウンロードできます)

ここには、胸背には黒条が全部で5本となっています。何が何だか分からなくなってしまいました。そこで、この論文をもう少し詳しく読むと、「色は後ろから見ると逆転する」と書かれています。これは面白いなと思ってちょっと確かめてみました。

イメージ 2

これは矢印の方向、つまり後ろから光を当てて上から見た時の模様です。先ほど同じで、胸には太い黒条が3本見られます。

イメージ 3

今度は前から光をあててみました。先ほどとはまったく違う模様になってしまいました。よく見ると、黒いところは灰色に、灰色のところは黒くなり、確かに色は逆転しています。中心にある黒い線はほとんど見えないのですが、両側にある細くて黒い湾曲した線、それに側部にある太い黒い帯があり、もし中心の線が見えれば5本の黒条になります。

なぜ、こんな色変化をするのかなと思って、変化している部分を生物顕微鏡で見てみました。

イメージ 4

イメージ 5

これは胸背の右斜め側の同じ場所を、光の照射を変えて撮ったものです。金色の毛はそのまま見えていますが、地色が変化しているみたいです。もう少し拡大してみます。

イメージ 6

以前、こんな風に色変化する昆虫として、キマダラミヤマカミキリの模様変化を紹介したことがありました。この時は、翅に生えている毛の向きが場所により違っていて、光の方向により光る部分が変わり、結果として模様の変化することが原因でした。今回はどうやら細かい毛が生えているわけでなく、地色が変化しているみたいです。昨日紹介した顔面の色も見る方向で灰色と黒色に変化していましたが、たぶん、同じ仕組なのでしょうね。面白い現象ですが、残念ながら仕組みはちょっと分かりません。

イメージ 7

次は翅の基部を拡大したものです。ちょっと面白い写真になりました。写真は面白いのですが、翅の手前側が深く折れていて翅脈が全部見えていません。

イメージ 8

こうするとすべての脈が見えるようになります。前縁脈(C)に棘毛、細毛を持つという検索表の項目がありましたが、太い毛と細い毛がありそうな感じです。また、R脈の基部に細毛を生じないという項目もありましたが、その通りで前縁脈に見られるような毛は生えていないようです。

というわけで、このブユは光の向きで模様が変化するという面白い性質を持っていました。まだ、脚の模様などをもうちょっと調べないといけないのですが、だんだん、アシマダラブユでよいのではないかと思うようになってきました。

この記事に

閉じる コメント(0)

コメント投稿

顔アイコン

顔アイコン・表示画像の選択

名前パスワードブログ
絵文字
×
  • オリジナル
  • SoftBank1
  • SoftBank2
  • SoftBank3
  • SoftBank4
  • docomo1
  • docomo2
  • au1
  • au2
  • au3
  • au4
投稿

.


みんなの更新記事