廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

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家の近くのむし探検 第144弾

「家の近く」と言いながら、実は、「家の中」です。家の中で虫探しをするほど虫は多いとは思いませんが、レースのカーテンに止まっていたカスミカメがいました。9月2日のことです。この日は公園に行かなかったので、これが唯一の虫になります。写真に撮って、後で調べようと思っていてそのままになっていました。

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大きさは数ミリほどの小さなカスミカメです。昨夜、「日本原色カメムシ図鑑」をずっと見ていったのですが、何度見ても載っていません。普通のカスミカメに比べると、なんとなく首が長いような感じがしたので、似た体形のクビナガシダカスミカメの属 Felisacusで画像検索をしてみました。そうすると、ちょっと似た種が台湾のサイトから出てきました。Mansoniella shihfanaeというシダカスミカメ亜科のカメムシです。ここで、ちょっとややこしかったのは学名が違っていたことでした(実は、記載論文で属名をMansoneillaと誤記していました)。この学名で検索してみると、記載論文が見つかりました。

C.-S. Lin, "Genus Mansoniella Poppius (Hemiptera: Miridae) of Taiwan", Chinese J. Entomol. 20, 1 (2000). (ここからpdfがダウンロードできます)

それから、このカスミカメについて書かれた台湾のサイトも見つかりました。さらに、昨年末くらいから、日本のブログや知恵袋などでも現れ始めています。ただ、この記載論文は同属3種を記載する内容なので、少し吟味しないといけません。

この論文には3種のひどく簡単な検索表も載っていました。

Mansoniella属の種への検索表
1 首の横側は赤                  M. cervivirga
  首の横側は赤くない             2
2  首の横側は黒                M. shihfanae
  首の横側は黒くない             M. yafanae

要は、首の横側の色を見ればよいだけ。でも、どれが首だろう。そこで、「日本原色カメムシ図鑑第2巻」に載っている図を基にして各部位に名称を入れてみました。

イメージ 2

首は頭と襟状部の間を指すみたいです。この拡大図が上の写真に載っていますが、首の背側の中心は少し橙色、両側が黒色になっています。つまり横側は黒です。これで、もし、この3種だけだとすればMansoniella shihfanaeでよいことになります。もう少し詳しく確かめるためにMansoniella shihfanaeの記述を訳してみました。

体は細長く、光沢があり、体長は静止状態で両方の翅(半翅鞘;hemelytra)の最も狭い部分の3倍くらいになる。翅には淡色のやや立った毛を具える。頭頂部(vertex)は茶色で珊瑚色(coral red)で覆われる。額前頭(frons)は膨らみ、中央に黒い斑点がある。頭盾の基部(clypeal base)は黒。眼の前領域は赤。首の背側は赤で基部は茶色、横側は黒、腹側は茶色。触角は珊瑚色で淡色のやや立った毛を具える;第1節には淡色のやや立った毛が生えるが、頭頂の幅の約2倍の長さをもち、先端2/5は膨れる;第2節と第3節には密に、均一な軟毛(pubescence)があり、第4節には軸幅(collar width)と同じ程度の数本の長い毛を持つ。襟状部(collar)は赤褐色で先端1/4は黄白色、基部1/5は黒。前胸背板の前部は赤褐色で、後部は茶色、横側には赤い斑点がある。

小盾板(scutellum)は明るい黄褐色で、淡色のやや立った毛を粗く分布する。爪状部(clavus)は赤褐色でやや曲がった毛を具える。革質部(corium)は明るい黄褐色で、先端1/3には大きな珊瑚色の輪のような斑点がある。革質部の毛は密で均一、小盾板の毛とほぼ同じ長さ。縁部(embolium)は明るい黄褐色で基部は弱い珊瑚色を帯び、先端1/4は赤。楔状部(cuneus)は黄色で、先端1/4は赤色がつき、革質部の軟毛より長い軟毛が生える。膜質部(membrane)は黄色で中央部は灰色、翅脈は珊瑚色でその先端部(apical margin)は直線状。脚は黄褐色。胸部腹側及び腹部は黄褐色。

体長 6.8mm、基部の幅 1.7mm、頭部の幅 0.9mm、触角の各節の長さ 0.9, 2.1, 1.6, 0.6mm 等々

基本的に各部の色と形、毛、それに大きさが書いてあるだけです。写真では毛はよく見えないので、色と形についての記述を比べてみると、若干疑問になる点もあるのですが、ほぼ書いてある通りでした。たぶん、Mansoniella shihfanaeでよいのでしょう。先ほどの台湾のサイトによると、街路樹に使われるクスノキに寄生するとのことで、クスノキはこの辺りにも多いので、何らかの原因で移入されたものか、もともと分布していたが見つからなかったものかというところです。ちなみに、shihfanaeは娘さんの名前をとってつけたものだそうです。

なお、上記の論文の著者が2年後にMansoniella属の2新種を記載するついでに世界に分布する16種についての検索表も載せていました。

C.-S. Lin, "Two New Species of the Genus Mansoniella Poppius (Hemiptera: Miridae)", Chinese J. Entomol. 22, 371 (2002). (ここからpdfダウンロードできます)

この検索表は体長で分けるところが多くて気に入らないのですが、また、一部検索の番号が抜け落ちているところもあるのですが、とにかくMansoniella shihfanaeにはなりそうな感じです。

ということで、家の中のむし探検でした。

追記2018/06/02:立西さんから、「クスベニヒラタカスミカメ Mansoniella cinnamomiという種名で決着しているようです。あちこちで被害木を見かけますね。」というコメントをいただきました。この名で検索すると、「昆虫と自然」2016年の12月号にも載っていたようですね。貴重な情報、どうも有難うございました

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昨年(2016年)11月と12月に兵庫県芦屋市内で計3頭採集したカメムシ目を同定しようとしたのですが、日本原色カメムシ図鑑(1〜3巻)では出てきません。それで形態的に似ていたクビナガシダカスミカメでネット検索をすると、ここへ到達しました。掲げられた写真と同一種と判断できました。
おかげで貴重な情報を得ることができました。ありがとうございました。

2017/1/24(火) 午後 9:11 [ ]

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雀さん、初めまして。
このカメムシ、昨年の9月に初めて見つけたのですが、その後、毎月のように見ています。結構、増えてきているのかもしれません。近くの公園にあるクスノキの周りで2,3匹飛び回っていたので、やはりクスノキに寄生するのかもしれません。
http://blogs.yahoo.co.jp/fushionotori1/55576291.html
いずれにしもお役に立って嬉しいです。

2017/1/24(火) 午後 9:36 [ 廊下のむし ]


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