廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

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11月5日、いつも見ていたタカサゴユリの実にいたアブラムシがナナホシテントウにすっかり食べられてしまいました。そのとき、アリを採集しました。2種いたのですが、一方はオオズアリの働きアリ、もう一方のアリを今回調べてみました。残念ながら生態写真はないのですが、顕微鏡下で撮った写真は次の通りです。

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大きさは3mmちょっとあるのですが、体が曲がっていて体長をどう測ろうか迷ったので、スケールバーを入れておきました。艶のあるすっきりとした感じのアリです。

これをいつものように、「日本産アリ類図鑑」(2014)に載っている検索表で調べてみました。検索をしてみた結果、ヤマアリ亜科オオアリ属ウメマツオオアリになったのですが、その時に用いた検索の項目は次の通りです。

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全部で15項目あり、かなり大変そうですが、何度も検索をしているので最近はだいぶ慣れてきました。赤字は写真を撮らなかったところです。腹部末端と前伸腹節背面からの写真などは簡単に撮れるのですが、足の骨折でギブスをはめられているので、今回はパスしました。たぶん、大丈夫なところだと思います。これをいつものように部位別に写真で確かめていきたいと思います。

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まずは先ほども出した全体図です。①、②、それに今回写真のない③はヤマアリ亜科にいくときは必ず通る道です。それに⑧と⑨はオオアリ属で種の検索をするときに最初に通るところです。⑧はヒラズオオアリなどを除外する項目、それに⑨はアメイロオオアリやムネアカオオアリなどを除外する項目です。最後の⑪はミカドオオアリやクロオオアリなどを除外する項目です。たぶん、どれも大丈夫でしょう。

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次は頭部です。頭部は真正面、やや斜め上、やや斜め下からの3か所から撮りました。これはそのうち、やや斜め下からの写真です。この方向から撮ると頭盾と大腮がよく見えます。①、⑤、⑫はいずれも写真を見ると分かります。

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次は触角で全部で12節あります。11節以下だとアシナガキアリ属、ヒメキアリ属などになります。

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通常、こういう黒光りした虫の撮影にはトレーシングペーパーを巻いた筒を光拡散板として使用しているのですが、毛が写りにくいので、これは敢えて光拡散筒を外して撮ったものです。長い毛は前胸背にはなく、中胸背には矢印で示すように1対あるだけです。6本以下は確かでしょう。

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こちらは光拡散筒を入れて撮ったものです。体の模様などはよく見えるようになりましたが、やや平坦な感じがします。ここではまず、中胸気門の位置を確認します。これが側面にあるのでオオアリ属になります。⑧の前伸腹節はハチ独特の構造で、後胸と腹部第1節が融合した部分です。この背面と後面が急な角度になっている種類が多いのですが、この個体は後面がなだらかなので、鈍角をなしています。⑩も一緒です。

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⑭はイトウオオアリを除外する項目です。イトウオオアリは腹柄節が狭いのですぐに区別がつくのですが、検索項目通りに調べていくと、まずは前胸と中胸の背縁が側方からみて弧を描くというのはこの写真でよく分かります。次の前伸腹節の後背縁というのは写真に小さな字で「後背縁」と入れた部分だと思います。ここがだらっとした感じで明確な角にはなっていません。次の「後縁の傾斜」は「後面の傾斜」とする方がよいのではと思いました。いずれにしてもなだらかです。それに腹柄節はイトウオオアリに比較するとかなり幅広くなっています。

次の⑮はホソウメマツオオアリと比較する項目です。自信がないといえばこの項目はやや自信がありません。まず、前伸腹節背面に明瞭なへこみがあるということですが、私はこの写真から明瞭なへこみがあると思いました。次の腹柄節の形ですが、どうもこの写真では腹柄節の後面が凹んでいるように写っています。たぶん、影がそのように錯覚させているからだと思うのですが、光拡散筒を入れていない二つ上の写真ででは明瞭なU字型になっています。さらに、前後でも対称で、中央部分が一番高くなっています。多分、大丈夫だろうと思うのですが、足が少しよくなったらもう一度、この辺りを確かめてみたいと思います。

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最後は腹部の写真です。腹部第1節と第2節の間にはくびれがありません。これはハリアリ亜科などを除くための項目です。次の⑬はイトウヨツボシオオアリなどを除くための項目です。以上で赤字を除いてすべての項目を確かめました。たぶん、ウメマツオオアリで合っているのではと思っているのですが、腹柄節の形だけはもう一度確かめてみたいと思っています。

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検索に使わなかった写真で、顔の正面からの写真です。

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これはやや上からの写真です。

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腹柄節あたりの写真ですが、これも後面が凹んでいるように見えるなぁ。どうしてだろう。

追記2017/11/17:腹柄節を斜め後方から撮影しました。

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やはり凹んでいるようです。元々そうなのか、たまたまこの個体だけなのか、それとも乾燥したためか、原因は分かりませんが・・・


追記2017/12/17:myrmecophile_waspさんから、「ウメマツオオアリの背中の凹みと腹柄節の形はやはり変異があるようで,同じ巣から採ったものでも一頭だとホソと同定してしまいそうな個体もいます.ホソは体色がほぼ黒一色の物が多く,また本土ではほとんどが海岸に近い場所で見つかっているので生息環境からも絞れるかもしれません.幸い生息地で一匹しか採れないような種ではないので,たくさん採って比較するのが重要だと思います.」というコメントをいただきました。コメント、どうも有難うございました。これからは少し多めに採集して調べてみたいと思います

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腹柄節の凹みは、実際に平坦かわずかに凹んでいるのかもしれませんが、そうでなければ、右側に写っている腹部前部が反射しているのかもしれませんね。腹部前部は球面なので。光拡散筒を外して撮った写真からは、腹柄節に明らかな稜があるようには見えませんし。

それにしても、本当に凄い写真。表面の皺まで分かるので、人相(?)から個体識別まで出来そうな気になります。ナミハナムグリの上翅点刻なんかも、へぇ〜!とうなってしまいました。

2017/11/16(木) 午後 7:17 [ ほし ]

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腹柄節の凹み、気になりますねぇ。もう少ししたらギブスにも慣れ、顕微鏡で観察できるようになるかな。それまでは我慢することにします。

深度合成で撮っているので、私も合成するまでどんな写真になるのか分かりません。出来上がった写真を見ていつもびっくりしてしまいます。個体識別までは考えなかったのですが、本当にそうですね。もっともっといろんな虫を調べてみたいのですが・・・。この足・・・。

2017/11/16(木) 午後 10:19 [ 廊下のむし ]

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腹柄節を斜め後方から撮影しました。やはり凹んでいるようです。元々そうなのか、たまたまこの個体だけなのか、それとも乾燥したためか、原因は分かりませんが・・・

2017/11/17(金) 午後 0:00 [ 廊下のむし ]

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ウメマツオオアリの背中の凹みと腹柄節の形はやはり変異があるようで,同じ巣から採ったものでも一頭だとホソと同定してしまいそうな個体もいます.

ホソは体色がほぼ黒一色の物が多く,また本土ではほとんどが海岸に近い場所で見つかっているので生息環境からも絞れるかもしれません.

幸い生息地で一匹しか採れないような種ではないので,たくさん採って比較するのが重要だと思います.

2017/11/21(火) 午前 7:02 [ myr***** ]

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myrmecophile_waspさん、コメントをどうも有難うございました。今度は何匹か採集して比べてみたいと思います。腹柄節の後方が凹んでいるように見えるのですが、こんなことはあるでしょうか。

2017/11/21(火) 午前 10:19 [ 廊下のむし ]


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