廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

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足のギプスが取れず、撮影に行けないので、冷凍庫にしまっておいた虫を顕微鏡で見ては同定を試みています。この間からハムシを調べていたので、その続きで、またハムシを調べてみました。

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今回はこのハムシで、11月25日にマンションの廊下で見つけました。大変小さなハムシですが、後脚腿節が太いのでとりあえずノミハムシ亜科だろうということは分かります。これをいつものように、亜科、属、種の検索をしてみようと思っています。

まず、亜科の検索ですが、いつものように「原色日本昆虫図鑑IV」に載っている検索表を使いました。続いて、属の検索ですが、これには次の本を用いました。

木元新作、滝沢春雄、「日本産ハムシ類幼虫・成虫分類図説」、東海大学出版会 (1994).

実は、この本は手に入れていないのですが、以前、吹田市立図書館まで見に行って、一部をコピーしたときにノミゾウムシ亜科の属の検索表まで入っていたので、それを用いました。実際に検索してみると、属はあっけないほど簡単に決まりました。

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①から③はいつもの亜科の検索です。そして、④と⑤が属の検索です。これをまた写真で確かめていこうと思います。

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まずは全体像から。体長は2.9mm。結構小さいです。全体にくすんだ感じがしますが、これは虫の周りにトレーシングペーパの筒を置いて拡散光にしているからで、実際はもう少し光沢がありました。撮影の概要はこちらを見てください。照明については、最近はカメラ用のリング照明を実体顕微鏡の対物レンズに取り付けて撮影しています。


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まずは頭部の写真です。①については大丈夫でしょう。②がいつも問題になります。触角の基部が近いか遠いかはこの写真を見ただけではよく分かりません。以前、ハムシの顔を比較したことがありました。ハムシ亜科、サルハムシ亜科、コブハムシ亜科などは触角基部が離れていて、ヒゲナガハムシ亜科は接近していることは写真を見ただけで分かりました。ただ、接近しているはずのノミハムシ亜科のルリマルノミハムシを見ると、かなり離れています。その点では今回とちょうど同じです。

その時はMike's insect keysというサイトでヒントを見つけました。このサイトには甲虫の絵解き検索がたくさん載っているのですが、その中にハムシ科の亜科の検索も載っていました。そこではヒゲナガハムシ亜科に対して、「触角は前頭に位置し、左右の触角は触角第1節の長さあるいはそれ以下に接近して挿入される」と書いてありました。つまり、触角第1節の長さ程度あるいはそれ以下に接近していると、触角基部と接近していると判断してもよいということです。残念ながら、そのサイトにはノミハムシ亜科は含まれていなかったのですが、その基準を適用すると、この場合でも左右の触角基部は触角第1節程度離れているだけなので、接近していることになるのでしょうね。分かりにくい項目です。

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次の前胸腹板突起の幅もなかなかすぐには判断できません。前胸腹板突起は矢印で示したところですが、これを幅広いというべきかどうかは比較の問題です。左右の前肢基節窩が離れていることは確かなので、幅が広いというのでしょうね。

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ただ、ノミハムシ亜科は後脚腿節が異様に膨れているので、これを見るとすぐに分かります。モーリック器官は以前にも触れたことがあるのですが、腿節内部にある腱みたいなものを指しています。外部からは見えないのではと思います。これで亜科の検索が終わりました。次は属の検索です。

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属の検索はこの写真1枚で終わります。触角は10節なので、これでナガスネトビハムシ属 Psylliodesになりました。

次からは種の検索です。これがなかなか難しくて、もしかしたら間違っているところもあるかもしれませんので、そのつもりで見てください。種の検索表は「日本産ハムシ類幼虫・成虫分類図説」に載っています。それを使って調べて見ると、ナトビハムシ punctifronsという種になりました。その過程は短いのですが、以下の通りです。

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先日、カサハラハムシの仲間の検索をしたときに、別の文献を見つけて大いに進展したので、今回も探してみました。その結果、次の論文を見つけました。

H. Takizawa, "A Revision of the Genus Psylliodes Latreille in Japan (Chrysomelidae: Alticinae)", Insecta Matsumurana 62, 175 (2005). (こちらからダウンロードできます)

「日本産ハムシ類幼虫・成虫分類図説」にはPsylliodes属は7種載っているのですが、この論文では8種扱っていました。この論文の中にも検索表があったので、それも試してみました。その結果、怪しいながらも同じナトビハムシ punctifronsになりました。

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こちらはこの3項目を調べればよいことになります。〔 〕で囲った部分は対抗する項目を見て文章を補ったところ、( )は英語の訳が怪しいので元の英語を書いておいたところです。この二つの検索表を同時に見ていきたいと思います。

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体長は範囲内でした。光沢については上で述べた通りです。

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次は頭部の写真です。ここで、Ⓑのfrontal tuberclesとsupra-frontal furrowが何を指すのか分からず、だいぶ悩んでしまいました。結局、frontal tuberclesは前頭突起と訳して、図の矢印で示した部分を指すのではと思い、それと前頭・頭頂部との間に溝がないことを言っているのではと思いました。よくは分かりませんが・・・。⑥は頭頂に点刻があることですが、確かにあります。

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これも分かりにくいのですが、上翅側片というのは上翅の縁にある幅の部分を指します。この写真は上翅基部に近い部分です。毛が生えていることが微かに分かります。検索項目の「顆粒状」、あるいは「粒状」というのがどれを指すのかよく分かりません。縁にがたがたしたところが見えるのですが、これを指すのかなぁと思っているのですが、よくは分かりません。

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こちらは翅端に近い部分ですが、毛は生えていることはよく分かります。対抗する項目が「剛毛を欠く」なので、たぶん、大丈夫だと思うのですが、ここがもっとも怪しいところです。

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これは後脚脛節のあたりを写したものですが、「第1跗節は脛節のずっと先端側と結合する」という表現もこの写真を見ると微妙です。これは論文に絵が載っていて、それでは脛節の中央で結合しているので、それと比較すると先端側と言えなくないなという感じです。これも、たぶん、大丈夫でしょう。


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Ⓒの頭部、胸部の点刻は間違いないのですが、次のgranulateという表現がよく分かりません。上翅については点刻列の間がgranulateなのでしょうけど・・・。

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これは前胸背板を拡大したものですが、点刻と点刻の間がハチの巣のように区切られています。granulateというのは粒状になるという自動詞です。これのことを指しているのかなと思ったのですが、よくは分かりません。ということで、種の検索はかなり怪しいところがたくさんあるのですが、一応、ナトビハムシ punctifronsでよいのかなと思っています。たぶん、決め手は上翅側片の顆粒状印刻だと思うのですが、そこがはっきりしないのでかなり根拠薄弱ですけど・・・。

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最後はおまけの写真で、脚の爪です。

検索をしてみると、項目に出てくる構造がどれを指しているのか分からないこと、表現されたものがどういう状態のものかよく分からないことで、いつも悩まされます。少しずつ慣れていくことが一番重要なことだとは思うのですけど・・・。(追記2018/03/20:たぶん、同じ種だと思われるハムシの検索を行い、3/20付けのブログに出しました。このときはナトビハムシ P. punctifronsではなく、ダイコンナガスネトビハムシ P. subrugosaになりました。たぶん、後者で合っているのではと思っています。なお、この個体は♀、3/20の個体は♂みたいです

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