廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

全体表示

[ リスト ]

この間から、有翅アリの検索で四苦八苦しています。なかなかうまくいかないのですが、近畿産ヤマアリ亜科の属の検索表を一部を修正してみたので、一度、試してみようと思って、8月16日にマンションの廊下で採集した♀有翅アリで検索を試みることにしました。まだ、試行錯誤の最中で、検索表も非常に怪しいのでそのつもりで見ていただけると幸いです。

イメージ 1

調べたのはこのアリです。私は見ただけでは亜科もよく分からなくて、♀有翅アリとしか言いようがないのですが、マンションの廊下にはあまりにたくさんやってくるので、少しぐらいは名前を知りたいと思ってもがいています。

イメージ 2

これは属の検索表です。検索表は「日本産アリ類図鑑」に載っている検索表をベースにして、翅が生えることで大きく変形する前胸、中胸、前伸腹節の形状に関する部分、カーストにより異なる頭部の形状などを除いて、さらに近畿産に限って作ってみました。赤字は修正したところです。⑧bのところがどうしてもうまくいかないので、「ケアリ属のようではない」というようないい加減な表現になっています。

イメージ 3
こちらは近畿産のオオアリ属の種の検索表です。先ほどの有翅アリは結局のところオオアリ属になったので、検索表を先に載せておきます。こちらは意外に使えるのではと思っています。ただ、立毛の数がどこまで使えるのかは疑問ですが・・・。この検索表の修正のポイントは以前書きましたので、そちらを見てください。

これらの検索表を用いて検索をしてみた結果、この個体はイトウオオアリになりました。本当かどうか分かりませんが、一応、記録のために残しておきます。

イメージ 4

まずは亜科の検索です。亜科の検索表は有翅アリでも働きアリのものがほとんどそのまま使えます。これをいつものように写真で確認していきたいと思います。

イメージ 5

体長は折れ線で近似して全体で8.7mmになりました。雰囲気的には♀有翅アリとしては中型という感じです。この写真では腹柄節(黒矢印)が1節で、腹部第1,2節の間がくびれていないことを見ます。

イメージ 6

次は頭部です。頭盾に異常がないことを見ます。

イメージ 7

次は腹柄節です。側方から見ると丘部は狭いことが分かります。

イメージ 8

腹部末端の写真です。丸く開口というわけではないのですが、たぶん、ヤマアリ亜科は大丈夫だと思いました。ということで、とりあえず、ヤマアリ亜科に到達しました。

イメージ 9

次は属の検索です。青字は写真を撮り忘れたものです。これも写真で見ていきます。

イメージ 10

外観上特に変わったところが見られないので、①と⑤はOKだと思われます。大きさは働きアリとはかなり違うので何とも言えないのですが、いままで見てきた♀有翅アリの中では中型かなと思いました。

イメージ 11

大腮が三角形状というのはOKでしょう。

イメージ 12

この辺から若干問題になるところが始まります。まずは前伸腹節気門の形状です。これを楕円形とするか、円形とするか迷いますが、どちらを選んでも到達する属は一緒になります。ここでは円形という方を選びました。右端にあるのは中胸気門です。

イメージ 13

前伸腹節気門が円形の方を選ぶと、小型のアメイロアリ類か、ケアリ属か、オオアリ属かという選択になるのですが、アメイロアリ類は小型だからと予め除外しました(実はあまりよく分からないのですけど・・・)。ケアリ属とオオアリ属のケブカ〇〇という種との区別をどうつけたらよいのかよく分からないのですが、この写真のように立毛が白矢印で示したものだけだと、おそらくケアリ属とは異なります。それで、オオアリ属にしました。

イメージ 14

次は近畿産オオアリ属の種の検索表(上掲)でイトウオオアリに至る部分を抜き出したものです。これも順番に見ていきます。

イメージ 15

⑧はヒラズオオアリを除去する項目で、また、⑨は色に関するものなので共にOKでしょう。⑪の小型種というのはミカドオオアリ、クロオオアリを除外する項目でこれもOKだと思われます。⑬も腹部に斑紋がないので大丈夫でしょう。

イメージ 16

⑩の胸部背面の立毛の数は先ほども見ました。これもOKです。

イメージ 17

次は頭盾前縁で白矢印で示した部分です。ほぼ直線状に見えます。それでこれもOKだと思われます。頭盾前縁の下に湾曲したものが見えるのですが、これは上唇ではないかと思いました。

イメージ 18

最後は腹柄節の形ですが、逆U字型のウメマツオオアリなどと比べると薄いことは確かです。実際のところ、種を確定するにはこの腹柄節の形状がものを言いそうなのですが、腹柄節の形状をはっきりと描いた資料が見つからなくて困っています。ここでは「日本産アリ類図鑑」の検索表に載っている挿絵と似ているのでそうかなと思っています。ということで、まだかなり怪しい段階なのですが、こんなことを何度か繰り返しているうちに、少しずつは分かっていくかなと思っています。

イメージ 19

最後は前翅翅脈です。例によって翅脈の名称は次の論文に載っているものを用いました。

K. S. Perfilieva, "Trends in Evolution of Ant Wing Venation (Hymenoptera, Formicidae)", Zoologicheskii Zhurnal 89, 965 (2010). (ここからダウンロードできます)

この論文では、翅脈のパターンからいくつかのタイプに分けているのですが、この場合はIIIdタイプになります。ポイントは1番に翅室があること、2番で脈がほぼ1点で交わっていることです。IIIdタイプはヤマアリ亜科などでよく見られる翅脈です。

.


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事