廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

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台風20号が近づいています。ベランダに置いてあるものを家の中に入れたり、そろそろ台風準備をしなければならないのですが、その前に3日前に撮った顕微鏡写真のまとめをしてしまいます。

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今日はこんな翅の脱落した♀有翅アリで、8月16日にマンションの廊下で採集しました。この写真を見ても、腹柄節が2節のフタフシアリらしいことが分かります。これまで、♂♀有翅アリの検索を試みてきたのですが、たぶん、フタフシアリ亜科は初挑戦です。それで、ちょっとは期待しながら検索をしてみました。その結果、フタフシアリ亜科シリアゲアリ属になりました。検索には「日本産アリ類図鑑」に載っている検索表を用いたのですが、これはもともと働きアリ用です。有翅アリは翅を動かすための筋肉がある中胸が発達し、その影響で、前胸と前伸腹節が圧迫されるので、それらの形状に関する検索項目は使えません。また、頭部の形もカーストにより異なるために使えないことがあります。そんな点に注目して、検索表の項目を吟味しながら検索してみました。

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これは近畿産に限ったシリアゲアリ属シリアゲアリ亜属に至る検索表を抜き出したものです。この個体は最終的にはハリブトシリアゲアリだと判断されたので、検索は①→・・・→⑦→⑧a→⑨aと進んでいきます。青字は先ほど書いた意味合いで検討しないといけないところ、赤字は調べた結果、このままではうまく行かなかったところです。これらを写真で調べていきたいと思います。本当は検索の順番に見ていけばよいのですが、あっち見たり、こっち見たりとややこしいので、部位別に見ていきます。

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体長は大腮を入れずに測って7.1mmになりました。この写真では、腹柄が腹柄節と後腹柄節の2節に分かれること、複眼を持つこと、体色が褐色から黒色であることを見ます。

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これは背側から撮った写真です。ついでに③の複眼の長径を測ってみました。その結果、大腮を含まない頭長の1/3.75となり、書かれている値よりは少しだけ複眼が大きくなりました。♀有翅アリでは頭部に単眼があるなど、頭部の形状がかなり変わるので、働きアリの項目そのままでは使えないのではと思いました。

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頭盾も額葉も写真に示した通りです。頭盾には異常は見られないし、額葉が触角基部を覆っていることも分かります。それで、①〜③はOKとしました。

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触角は11節でした。また、9節より先端側はやや太いので、ここが棍棒部だと思われます。

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⑧aは♀有翅アリには使えないものだとばかり思っていたのですが、意外に使えるかもしれません。前胸側面は写真に示した部分です。

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その部分を拡大した写真です。前胸側面には毛の下にしわがはっきり見えます。前胸は中胸の発達により前の方に追いやられているのですが、表面構造はそのままみたいです。というわけで、⑧aはOKです。

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これは脚の爪を拡大したものです。爪には歯などはなくて、単純です。

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胸部と前伸腹節の付近を写したものです。ついでに次の論文を見ながら各部の名称を入れておきました。

B. E. Boudinot, "Contributions to the knowledge of Formicidae (Hymenoptera, Aculeata): a new diagnosis of the family, the first global male-based key to subfamilies, and a treatment of early branching lineages", Eur. J. Taxonomy 120, 1 (2015).(ここからダウンロードできます)

この論文は♂アリに関するものなのですが、♀有翅アリと同様に翅があるので、たぶん、そのまま使えるかなと思って参考にしました。この写真を見ると、前伸腹節気門は前伸腹節刺の外側にあります。働きアリでは下側あたりにあって、後面にかかっていたのですが、♀有翅アリでは少し違うようです(ハリブトシリアゲアリの働きアリに関する以前の記事を見てください)。

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これは前伸腹節と腹柄を撮ったものです。前伸腹節刺は♀有翅アリでははっきりしないだろうと思っていたのですが、この写真を見ると、一応、あることが分かります。②、⑨はこれでOKとしました。⑤は先ほどの前伸腹節気門の位置の項目と対になっている項目ですが、腹柄は腹部の背側と接続しています。

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これは背側から撮ったものですが、背板の端に腹柄がついている様子が分かります。

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これは腹柄節を背側から写したものです。腹柄節は横から見ると結構長いので、「背方から見て」という言葉を入れると、腹柄節は確かに横長になっていることが分かります。

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最後は腹部末端の写真です。背板にも特に異常な構造は見られないので、これはOKだと思われます。

ということで、もし、前伸腹節刺の形状が働きアリと♀有翅アリで変化していないとすると、この個体はハリブトシリアゲアリだということになります。合っているかどうか全く分からないのですが・・・。

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ついでに、頭盾前縁中央が凹んでいたので写しておきました。

この間から、♀有翅アリの検索を試みているのですが、働きアリとの違いを考えながら検索をしていくと、何とか働きアリの検索表でも追いかけることができそうです。合っているかどうかは全く分からないのですけど・・・。

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