廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

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一昨日にコマユバチ科らしいハチの亜科の検索を試みたのですが、その続きです。だいぶ怪しいところがあるので、そのつもりでご覧ください。

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調べたのは体長2.3mmのこんなハチです。12月21日にマンションの廊下で見つけました。

C. van Achterberg, "Illustrated key to the subfamilies of the Braconidae (Hymenoptera: Ichneumonoidea)", Zoologische Verhandlingen 283, 3 (1993). (ここからダウンロードできます)

この論文に載っている絵解き検索表で調べてみたところ、一応、コマユバチ亜科 Braconinaeになったのですが、それを確かめるには全部で13項目調べないといけません。先日、このうちの8項目について調べたので、その続きです。

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最後だけ可能性のあるTelengaiinae亜科も含めて書いています。赤字はどうもはっきりしない部分です。特に⑪が間違っていると検索は飛んでもない方向に行ってしまいますが、とりあえずこの通りに進んでみようと思っています。だいたい検索の順番に見ていきます。

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最初は前脚跗節に関するものですが、この写真で示すように第5跗小節は普通で、また、第1跗小節もそれほど長くはありません。これで⑨はOKです。

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次は翅脈です。van Achterbergの論文によると3-M脈の基部に小室があるハチもいて、その1辺を2-Mと定義していました。ここではそんな小室がないので、2+3-Mとなっています。いずれにしても翅脈2+3-Mは基部を除いて透明なので、たぶん、硬化していないと思われます。それで、⑨はOKです。

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触角の挿入口は普通です。それで、⑩の前半はOKです。また、大顎が大きくて複眼の小さい亜科もあって、それを除くのが後半の部分の項目です。これは複眼が大きいのでやはり⑩はOKです。

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ここからが自信のないところです。まず、⑩は触角に関するもので、これは問題ないと思われます。また、⑫の小腮肢の節数もOKです。問題は⑪の"hypoclypeal depression"で、これがよく分かりません。"hypo"は下という接頭語、"clypeal"は"clypeus"(頭盾)の形容詞形、"depression"は窪みとか凹みという意味です。従って、「頭盾下の窪み」という意味になります。顔を正面から写した写真を何度見ても窪みがあるかどうか分からなかったのですが、こうやって横から見ると明瞭に凹んでいることが分かります。それで、矢印で書いた部分がhypoclypeal depressionではないかと思うようになりました。

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これは顔面を斜め前から写したものですが、凹んでいる部分は白矢印で描いた部分に相当します。その前後をそれぞれ上唇、頭盾と書くと、⑪と⑬bで書いた内容が何となく分かります。ただ、この単語で検索すると、hypoclypeal depressionはもう少し小さくてはっきりした窪みになっている絵が多く見られます。よく分かりませんね。とりあえず、これを認めて次に進むことにします。

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次は胸部側面を写した写真です。⑫の"flange"は帽子の「つば」みたいなでっぱりを意味します。前胸側板の後縁側にそんなでっぱりはないので、これはOKです。次の中胸側板の「広い凹み」がまた問題です。この写真でも分かるように下半分に明瞭な凹みがあります。これを凹みであると判断すると、Telengaiinae亜科になりますが、van Achterbergの論文の絵を見ると、いろいろな点でこの個体との違いが見られます。また、"Information station of Parasitoid wasps"のコマユバチの形態の説明には"Sternaulus"(胸側溝)という凹みがあることになっています。ということはこのような凹みは普通にあるものかもしれません。ということで、「広い凹み」はないという方を選びました。

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⑫は白矢印あたりにあるはずの前腹板隆起線があるかないかについてです。これについては以前、ヒメバチ科で調べたことがありました。以前のハチでは明瞭に隆起線が見えていたのですが、これには見えません。それで、⑫もOKとしました。

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後体節第1節はほとんど平坦で側面はほとんど見られません。それで、⑫はOKとしました。

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最後は後翅の翅脈です。⑬bはM+CU脈と1-M脈の長さの比較です。ただ、ここにも問題がありました。というのは、M+CU脈は基部側に向かうと途中までは明瞭なのですが、途中から細くなり、最後は極めて細い線になります。van Achterbergの論文の絵ではこの先端部分は破線で描かれいて、M+CU脈には含めていないように思われます。それで、先端部分を除いたものと除かないもので長さを測ってみました。すると、前者では1.66倍、後者では1.12倍になり、前者なら⑬bの条件に合っているようです。また、1-M脈の基部はやや太くなっていることも何となく分かります。

ということで、かなり先入観を持って解釈すると、検索表の通りになり、Braconinae亜科になりますが、疑わしいところが山ほどあるので、何とも言えません。もう少し経験を積まないと駄目なのでしょう。

ついでに検索に用いなかった写真も出しておきます。

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後体節を横から撮ったものです。末端部の形からこれは♀なのかなと思いました。

今回はコマユバチ科らしいハチの亜科の検索を試みてみました。よく分からない用語が出てきて、そのたびごとに悩みましたが、何とか亜科までたどり着いたようです。まぁ、これも修行の一つかなと思っています。「これって、コマユじゃないよ」というコメントが来たらどうしようかと思って甚だ心配なのですけど・・・。

追記2019/03/04:そらさんから、「サムライコマユバチ亜科 Microgastrinae」が怪しいと思いますが如何でしょうか。」というコメントをいただきました。おそろしいコメントがやって来ましたね。でも、そらさんのご指摘はいつも合っているからなぁ。やはり、ポイントはhypoclypeal depressionがあるかないかというところでした。この凹みがないという方を選ぶとよさそうなのですが、その先もかなり長い道のりで、ざっと見ただけではたどり着けませんでした。幸い、試料はそのまま置いてあるので、もう少し頑張ってみようと思います。どうも有難うございました

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こんばんは、
自分では調べることができませんが、「サムライコマユバチ亜科 Microgastrinae」が怪しいと思いますが如何でしょうか。違っていたら、ゴメンナサイですが(^^;。

2019/2/21(木) 午後 10:39 [ そら ]

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おそろしいコメントがやって来ましたね。でも、そらさんのご指摘はいつも合っているからなぁ。やはり、ポイントはhypoclypeal depressionがあるかないかというところでした。この凹みがないという方を選ぶとよさそうなのですが、その先もかなり長い道のりで、ざっと見ただけではたどり着けませんでした。幸い、試料はそのまま置いてあるので、もう少し頑張ってみようと思います。どうも有難うございました。

2019/2/22(金) 午前 9:30 [ 廊下のむし ]


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