廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

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この間からハムシを調べています。できるだけ身近でよく見る種をしっかり調べておくと、未同定の種を調べていくときに役に立つかなと思っています。今回は冷凍庫にウリハムシが入っていたので、それを調べてみることにしました。

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調べたのはこのハムシです。10月31日にマンションの廊下で見つけました。これをいつものように、「原色日本甲虫図鑑IV」で亜科の検索、それに属と種については次の本に載っている検索表を用いました。

木元 新作, 滝沢 春雄、「日本産ハムシ類幼虫・成虫分類図説」(東海大学出版会、1994).

まず、亜科と属の検索を行います。ウリハムシはヒゲナガハムシ亜科ウリハムシ属に属しますが、検索では次の各項目を調べることで確かめられます。

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これをいつものように写真で部位別に確かめていきたいと思います。①は横から写せばよかったのですが、忘れてしまいました。それで、②〜⑦までを見ていきます。

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まずは背面図です。体長は8.0mm。③の後脚腿節はちょっとだけ見えるのですが、肥大してはおりません。

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次は顔面の写真です。②は触角の基部が接近しているという内容ですが、確かに接近しています。次の⑤は微妙な表現なのですが、触角の基部が接近しているという方を採用すれば、複眼下縁よりは後方にあるので、頭頂の点刻が強くないというのを見ればよいのかなと思いました。後頭盾、前頭盾という書き方は、この間ハッカハムシのところで検討しました。まだ、はっきりしたことは分からないのですが、一応、このように書いておきます。

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これは前胸背板を写したのですが、これによると前胸背板の中央と後縁近くにそれぞれ横溝があることが分かります。また、頭部の複眼の間にもあります。

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これは腹面を見たものです。前胸腹板突起は大変幅の狭いものになっています。それで、③の内容が確かめられます。また、中胸腹板は前脚基節とは離れたところにあります。したがって、前脚基節窩は後方が開いていることになります。

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次は後胸腹板についてですが、その前縁側は緩い弧を描く程度で、中胸腹板とは重なっておりません。これが④の内容です。

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最後は脚の爪です。bifid(二裂)というのがよく分かる写真になりました。ということで、①を除くすべての項目が確かめられたので、ヒゲナガハムシ亜科ウリハムシ属は確かそうです。

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次は種の検索表です。図書館で「日本産ハムシ類幼虫・成虫分類図説」の一部を複写してきたのですが、それにたまたまウリハムシ属の英文の検索表が載っていたので、それを訳しました。

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⑧と⑨aは色に関するものなので、共にOKでしょう。

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腹面からの写真を撮り忘れたので、サイズ測定用の写真を流用しました。この⑨aも大丈夫でしょう。

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これは腹部末端の写真ですが、これが雄なのか雌なのかでだいぶ迷いました。結局、検索表の文章から雌だろうということになり、それと比較してみました。腹部第5節の先端の深い切れ込みは白矢印で示した部分だと思います。これについては次の論文にもウリハムシ indica♀の腹部第5節と尾節板の絵が載っていたので、それで確かめることができました。

G. F. Barroga and M. S. Mohamedsaid, "Phylogeny of the Genus Aulacophora Chevrolat (Coleoptera: Chrysomelidae: Galerucinae) in Sundaland", Philip. Agri. Sci. 89, 338 (2006). (ここからダウンロードできます)

たぶん大丈夫でしょう。⑨aの後半の「その側面は明確に窪む」というのがよく分からなかったのですが、たぶん、黄矢印で示したところの窪みを指すのかなと思いました。

これで無事にウリハムシ Aulacophora indicaになったのですが、次の論文を見て、はたと迷い始めました。

C.-F. Lee and R. Beenen, "Revision of the genus Aulacophora from Taiwan (Coleoptera: Chrysomelidae: Galerucinae)", Zootaxa 3949, 151 (2015). (ここからダウンロードできます)

この論文は台湾産のウリハムシ属を扱っていて、ウリハムシ indicaも検索表も載っています。そのあたりの検索表を翻訳すると以下のようになります。

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これによると、翅が一様に黄褐色の種には、tibialis、kotoensis、indicaの3種がいて、雌が円錐状の尾節板をもつものとして、kotoensisとindicaの2種が残ります。この尾節板が狭く、黒いのがkotoensis、幅広く、黄褐色なのがindicaとなっています。今回調べた個体は尾節板が黒なのでindicaではなさそうなのですが、どうもkotoensisの尾節板とも形が違うようです。いろいろ検討したのですが、Barrogaらの論文の絵ともよく似ているので、やはりindicaでよいのではと思っています。過去に撮った写真を見てみたのですが、先端が黄色く幅の広い尾節板を持つもの、幅がやや広く黒いものを持つもの、幅が狭く黒い尾節板をもつものなどが見られました。この辺りの理由についてはよく分かりません。

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