廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

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この間、雑談で書いたカサハラハムシ属の種の検索をしてみました。

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対象としたのは2月20日にマンションの廊下で見つけたこの個体です。カサハラハムシについては亜科、属の検索は以前詳しく書いたので、ここでは省略し、残りの種の検索をやってみます。カサハラハムシ類はカサハラハムシ属 Demotinaに属しています。「日本列島の甲虫全種目録 (2018年)」によると、カサハラハムシ属はサルハムシ亜科Bromiini族に入り、日本産は全部で14種。そのうち、本州産は9種分布することになっています。今坂正一氏の「最新ハムシ事情図説6 カサハラハムシ属紹介1」、「最新ハムシ事情図説7 カサハラハムシ属紹介2」によると、これらはオオアラゲ種群、マダラアラゲ種群、カサハラ種群に分けられ、さらに、カサハラ種群はフタモンアラゲ種亜群とカサハラ種亜群に分けられることになっています。甲虫全種目録に載っている本州産9種をそれらの種群に分けると次のようになります。

マダラアラゲ種群 マダラアラゲ、コブアラゲ
フタモンアラゲ種亜群 フタモンアラゲ
カラハラ種亜群 チビカサハラ、ヤクカサハラ、カサハラ、アラゲ、ヒメアラゲ
Hyperaxis属からの移行? クロオビカサハラ

最後のクロオビカサハラは今坂氏のサイトではHyperaxis属になっていたのですが、全種目録ではHyperaxis属は備考欄に書かれ、Demotina属になっていました。クロオビカサハラを含め、いずれも今坂氏のサイトに載っている絵解き検索表で検索することができます。それで、それを試してみました。

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検索してみると、チビカサハラか、カサハラかというところに落ち着いたので、その部分だけを抜粋して書いてあります。これを写真で確かめていきたいと思います。

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体長は口と腹部末端を直線で測った時は2.5mm、前胸背板と上翅の境で一度折り曲げて測った時が2.8mmでした。若干違っていたので、その両方を示しています。まず、これは♀だと思われるのですが、翅縁に平行な隆起条は見られません。肢にもマダラアラゲ種群に見られるような黒い縞模様はありません。それで、①と②は共にOKとしました。ついでに、クロオビカサハラは前・後腿節が中腿節に比して肥大化し、腿節にある歯状突起(後で写真でお見せします)も巨大化するのですが、そのような兆候は見られません。それで、クロオビカサハラは除きました。

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腹面の末端付近を写したものです。これについては雑談にすでに書きましたが、側縁に多少凸凹したところが見られるのですが、たぶん、のこぎり状の構造は「ない」とすべきだというのが今回の解釈です。前回はこれを「あり」としてフタモンアラゲ種亜群に入り、本州に生息しない種にたどり着いてしまいました。

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最後は触角です。こうやって測ってみると、どうやら触角第2節の方が第3節より長そうです。触角の節の区切りをどこにするのかいつも迷うのですが、多少変えても結果には変化が出ませんでした。ということで、この個体はチビカサハラハムシ decorataということになります。

触角の節の長さだけで決めるのは何となく不安だったので、仮に④aが違っていて、④bの方が正しいと判断した場合に行き着く先も調べておきました。

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これは中跗節と後跗節をほぼ同一倍率で撮影したものです。跗節第1節、第2節が中脚の方が特に大きいといういことはありません。

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これは上翅側片の拡大です。鱗毛は1列だけ生えています。

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小盾板はほぼ三角形状で、基部が特に広がるという傾向は見られませんでした。また、先端は舌状です。ということで、触角第2節と第3節の長さの測り方が間違っていたとした場合にはカサハラハムシ modestaとなることが分かります。

チビカサハラとカサハラは触角の節の長さ以外には区別がつけられないのだろうかと思って、別の論文をあたってみることにしました。

S. Kimoto, "The Chrysomelidae of Japan and the Ryukyu Islands. IV", J. Fac. Agri., Kyushu Univ. 13, 235 (1964). (ここからダウンロードできます)

この論文に載っているDemotina属の種の検索表で必要な部分のみを抜粋したものは次の通りです。

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うまい具合に③はこの両者の比較になっていました。しかし、内容を読んでも明確な違いは触角の節の長さと体長ぐらいしかありません。一応、この検索表でも、チビカサハラハムシ decorataへ進む過程を写真で確かめてみました。

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これは翅端部の拡大ですが、翅端部は白矢印で示したようにほぼ直角で先端がやや丸くなっています。いずれにしても後方には突出していないようです。ただし、今坂氏によると、この特徴は♂では顕著であるが、♀では不明瞭だとのことでした。

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若干写真が斜めになっているのですが、上翅の幅と長さの比を求めてみました。長さ:幅=4.2:3でほぼ記述通りでした。また、白矢印で示したように鱗毛が集まってできた白い斑紋があります。その後に書いてある黒い斑紋がどれのことを指すのかよく分かりません。

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②はOK。③の触角の色はどうかなと思ったのですが、体長はいずれにしてもOKです。

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最後は結局、触角の節の長さでした。やはりチビカサハラハムシとするのでよさそうな感じです。ついでに、もう一つの論文 Isono(1990)でも検索してみたのですが、その結果は次回に回します。

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