廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

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この間からオドリバエ科をまとめていたのですが、その中で亜属の分からないとしていたものがありました。今回、新たに調べてみましたので、記録として載せておきます。

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対象としたのは2014年5月12日にマンションの廊下で見つけたこんなオドリバエです。このときのブログを見てみると、Empis属というところまではたどり着いていたのですが、その後、♀だからというので検索を諦めていました。でも、これは腹部末端の構造を見ると♂のようです。ひょっとして標本を残していないかと思って調べてみたら、この個体かその前後に採集した個体かは分からないのですが、一応、標本が残っていました。それで、その先の亜属も検索してみることにしました。

検索表には、「双翅目(ハエ目)昆虫の検索システムに関する研究」という三枝豊平氏の科研費の報告書(この題目で検索するとpdfがダウンロードできます)に載っているオドリバエ科の図解検索システムを用いました。検索をしてみると、Empis属Planempis亜属になったので、その検索過程を見ていきたいと思います。

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属までの検索は以前のブログにも載っているのですが、もう一度、やり直してみます。なお、写真は交尾器を除いて以前撮った写真をそのまま用います。

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体長は11mm。かなり大きなオドリバエです。この写真では前脚が捕獲脚になっていないこと、口吻が長く下を向いていること、唇弁が太いこと、後頭部に変わったところがないことなどを見ます。

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次は翅脈です。翅脈の名称は「大図鑑」風にしています。この写真から②〜④、⑥はいずれも見ると分かります。

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Sc脈は見にくいので拡大してみました。先端で翅脈が消えてしまっていることが分かります。

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この写真では平均棍前方に毛塊のあることが分かります。前回はこの辺で検索が止まっていました。

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今回、標本を使って交尾器を撮り直しました。交尾器前の腹板には特に大きな変形は見られません。それで、交尾器は腹端後方を向いています。それで、⑨はOKとしました。たぶん、⑩がこの亜属の大きな特徴だと思うのですが、尾角突起がかなり長く突き出しています。背板葉というのはこれでよいのかどうか分かりませんが、とにかく尾角突起の方が長いことだけは確かです。それで、⑩の前半部分はOKです。

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これは交尾器を背側から撮ったものです。尾角突起の上面は平板状で中心に穴が開いています。まさに検索表の⑩の後半に書かれている通りです。それで、最終的にPlanempis亜属になりました。

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ついでに後方から撮った写真も載せておきます。この形から種も分かりそうなのですが、手元に資料がないのでこれ以上は分かりません。「日本昆虫目録第8巻」によると、この亜属には22種+5未記録種が載っていました。「大図鑑」の図版を見ると、外観は何となくキバネオオヒラオオドリバエ latroというのに似ている感じですが、よくは分かりません。

ついでのついでに、オドリバエ科の日本産の属と亜属を表にまとめてみました。

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左から4列までは「日本昆虫目録第8巻」に載っていた、科、亜科、属、亜属です。第5列目は三枝氏の検索表に載っていた属なのですが、現在ではsynonymになっている属を示しています。また、第6列と第7列が三枝氏とMNDの検索表に載っている属を〇印で表しています。三枝氏の検索表ではRhamphomyiaの亜属の検索表がないので空欄になっていますが、それ以外はほとんどすべて、亜属に至るまで載っていました。そのほか、Anthepiscopus、Phyllodromia,、C(Phyllodromia近縁)の3属が載っていたのですが、最初のAnthepiscopusは"Catalogue of Life"によると、亜科不明となっていました。ということで、日本産オドリバエ科の属、亜属を調べるときは三枝氏の検索表が非常に有用だということが分かりました。

一方、MNDでも日本産の属のかなりの部分が網羅されていることが分かります。三枝氏の検索表では亜科を飛ばして属の検索表が作られていたので、MNDの検索表のうち、亜科の部分だけを抜き出して亜科の検索表を作ってみました

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青字の亜科は現在ではセダカバエ科に属している亜科を示しています。また、( )がついているのは訳がよいのかどうか分からなかったもので、( )内は原文そのままを載せています。特に、翅脈の名称を「大図鑑」方式にしたので、その分、変更が多くなっています。こんなものが役に立つかどうか分かりませんが・・・。

雑談)甚だ不十分な状態なのですが、とりあえず、オドリバエ科をまとめてホームページにアップしました。こちらから入って探してみてください。オドリバエ科は「廊下のむし探検」を始めてすぐの頃に調べていたので、名前調べもあまり突っ込んでいなくて、いざまとめようとしたら情報が少なくて苦労しました。オドリバエ科は三枝氏の精力的な研究があるので、もっと頑張らないといけないなと思って、今年は集中的に調べてみようかなと思い始めました。
一昨日にコマユバチ科らしいハチの亜科の検索を試みたのですが、その続きです。だいぶ怪しいところがあるので、そのつもりでご覧ください。

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調べたのは体長2.3mmのこんなハチです。12月21日にマンションの廊下で見つけました。

C. van Achterberg, "Illustrated key to the subfamilies of the Braconidae (Hymenoptera: Ichneumonoidea)", Zoologische Verhandlingen 283, 3 (1993). (ここからダウンロードできます)

この論文に載っている絵解き検索表で調べてみたところ、一応、コマユバチ亜科 Braconinaeになったのですが、それを確かめるには全部で13項目調べないといけません。先日、このうちの8項目について調べたので、その続きです。

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最後だけ可能性のあるTelengaiinae亜科も含めて書いています。赤字はどうもはっきりしない部分です。特に⑪が間違っていると検索は飛んでもない方向に行ってしまいますが、とりあえずこの通りに進んでみようと思っています。だいたい検索の順番に見ていきます。

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最初は前脚跗節に関するものですが、この写真で示すように第5跗小節は普通で、また、第1跗小節もそれほど長くはありません。これで⑨はOKです。

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次は翅脈です。van Achterbergの論文によると3-M脈の基部に小室があるハチもいて、その1辺を2-Mと定義していました。ここではそんな小室がないので、2+3-Mとなっています。いずれにしても翅脈2+3-Mは基部を除いて透明なので、たぶん、硬化していないと思われます。それで、⑨はOKです。

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触角の挿入口は普通です。それで、⑩の前半はOKです。また、大顎が大きくて複眼の小さい亜科もあって、それを除くのが後半の部分の項目です。これは複眼が大きいのでやはり⑩はOKです。

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ここからが自信のないところです。まず、⑩は触角に関するもので、これは問題ないと思われます。また、⑫の小腮肢の節数もOKです。問題は⑪の"hypoclypeal depression"で、これがよく分かりません。"hypo"は下という接頭語、"clypeal"は"clypeus"(頭盾)の形容詞形、"depression"は窪みとか凹みという意味です。従って、「頭盾下の窪み」という意味になります。顔を正面から写した写真を何度見ても窪みがあるかどうか分からなかったのですが、こうやって横から見ると明瞭に凹んでいることが分かります。それで、矢印で書いた部分がhypoclypeal depressionではないかと思うようになりました。

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これは顔面を斜め前から写したものですが、凹んでいる部分は白矢印で描いた部分に相当します。その前後をそれぞれ上唇、頭盾と書くと、⑪と⑬bで書いた内容が何となく分かります。ただ、この単語で検索すると、hypoclypeal depressionはもう少し小さくてはっきりした窪みになっている絵が多く見られます。よく分かりませんね。とりあえず、これを認めて次に進むことにします。

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次は胸部側面を写した写真です。⑫の"flange"は帽子の「つば」みたいなでっぱりを意味します。前胸側板の後縁側にそんなでっぱりはないので、これはOKです。次の中胸側板の「広い凹み」がまた問題です。この写真でも分かるように下半分に明瞭な凹みがあります。これを凹みであると判断すると、Telengaiinae亜科になりますが、van Achterbergの論文の絵を見ると、いろいろな点でこの個体との違いが見られます。また、"Information station of Parasitoid wasps"のコマユバチの形態の説明には"Sternaulus"(胸側溝)という凹みがあることになっています。ということはこのような凹みは普通にあるものかもしれません。ということで、「広い凹み」はないという方を選びました。

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⑫は白矢印あたりにあるはずの前腹板隆起線があるかないかについてです。これについては以前、ヒメバチ科で調べたことがありました。以前のハチでは明瞭に隆起線が見えていたのですが、これには見えません。それで、⑫もOKとしました。

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後体節第1節はほとんど平坦で側面はほとんど見られません。それで、⑫はOKとしました。

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最後は後翅の翅脈です。⑬bはM+CU脈と1-M脈の長さの比較です。ただ、ここにも問題がありました。というのは、M+CU脈は基部側に向かうと途中までは明瞭なのですが、途中から細くなり、最後は極めて細い線になります。van Achterbergの論文の絵ではこの先端部分は破線で描かれいて、M+CU脈には含めていないように思われます。それで、先端部分を除いたものと除かないもので長さを測ってみました。すると、前者では1.66倍、後者では1.12倍になり、前者なら⑬bの条件に合っているようです。また、1-M脈の基部はやや太くなっていることも何となく分かります。

ということで、かなり先入観を持って解釈すると、検索表の通りになり、Braconinae亜科になりますが、疑わしいところが山ほどあるので、何とも言えません。もう少し経験を積まないと駄目なのでしょう。

ついでに検索に用いなかった写真も出しておきます。

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後体節を横から撮ったものです。末端部の形からこれは♀なのかなと思いました。

今回はコマユバチ科らしいハチの亜科の検索を試みてみました。よく分からない用語が出てきて、そのたびごとに悩みましたが、何とか亜科までたどり着いたようです。まぁ、これも修行の一つかなと思っています。「これって、コマユじゃないよ」というコメントが来たらどうしようかと思って甚だ心配なのですけど・・・。

追記2019/03/04:そらさんから、「サムライコマユバチ亜科 Microgastrinae」が怪しいと思いますが如何でしょうか。」というコメントをいただきました。おそろしいコメントがやって来ましたね。でも、そらさんのご指摘はいつも合っているからなぁ。やはり、ポイントはhypoclypeal depressionがあるかないかというところでした。この凹みがないという方を選ぶとよさそうなのですが、その先もかなり長い道のりで、ざっと見ただけではたどり着けませんでした。幸い、試料はそのまま置いてあるので、もう少し頑張ってみようと思います。どうも有難うございました
今日はこの間から調べているコマユバチ科らしきハチをもう少し詳しく調べてみました。

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体長2.3mmしかない小さなハチです。昨年の12月21日に採集し、その後、ずっと冷凍庫で眠っていました。冷凍庫の整理も兼ねてこの間から調べ始めたのですが、これがなかなか難しい。今は亜科の検索をしているのですが、未だに確信が持てません。とりあえず、Broconinae亜科(コマユバチ亜科)ではないかとは思っているのですけど。というまだ怪しい状態なのですが、いつまでも抱えていてもしようがないので、とりあえず出すことにします。

C. van Achterberg, "Illustrated key to the subfamilies of the Braconidae (Hymenoptera: Ichneumonoidea)", Zoologische Verhandlingen 283, 3 (1993). (ここからダウンロードできます)

亜科の検索表はこの論文のものを用いました。絵解きなので、分かりやすいといえば分かりやすいのですが、用語の分からないものも多く、素人には難解でした。でも、めげずに頑張っていこうと思っています。

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候補のBraconinae亜科に至るには全部で13項目調べなければなりません。しかも、上の訳文を見ても分かりますが、一つ一つの項目に小項目が沢山あり、訳するのも大変、写真を撮るのも大変という状態です。文章が長いのは、「もしそうでなければ」という例外的なことが書かれているからです。大変親切と言えば親切なのですが、そのぶん、ごちゃごちゃしてしまいます。今日はまず8項目まで調べていきたいと思います。赤字で書いたところは後でコメントしますが、よく分からなかったところです。

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まずは全体像です。小さいので、撮影したときにはあまり気が付かなかったのですが、こうやって拡大すると意外に綺麗です。

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写真は検索順に出そうかと思ったのですが、あまりにややこしくなるので、部位別にしました。写真に関連する項目は上に書いてあります。ただし、「もし、・・・」という例外的な項目は除いています。頭盾のあたりがややこしくどうなっているのか分かりませんが、全体の形としては普通で、顔面も特に変わっているというわけではありません。

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これは口肢が発達していることを見せるために撮ったのではなくて、口器のあたりを撮ったのですが、ついでに口肢がうまく入りました。長いのは下顎肢です。これで⑧もOKです。

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さて、問題の大顎です。たぶん、?で示した部分だと思うのですが・・・。そうだとすると何となく歯が見えています。2本くらいはありそうです。左右の大顎が内側に曲がり、中央でほとんど接しているので、たぶん、大丈夫でしょう。これが違うとハエヤドリコマユバチ亜科になってしまいます。

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触角はあまり意識して撮らなかったのですが、節が扁平という印象はなかったので、たぶん、これも大丈夫でしょう。

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検索表の⑦にpronopeというのが出てきて、論文には絵も描かれているのですが、これがよく分かりません。pronopeは前胸背板にあり、中央に1個、左右に1個ずつの突起(?)みたいなのですが、上の2枚の写真では頭部に隠れてしまいほとんど見えません。それで今回はパスしました。

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次は翅脈です。翅脈の名称は論文の絵を見ながらつけてみました。ポイントになるところには番号を入れておきました。②のmarginal cellは広くても狭くてもよいのでOKです。次の1-Mとm-cuはほとんど平行に見えます。③の閉じた室は数えてみると全部で6室ありました。⑤は黒矢印で示したように2m-cu脈はありません。

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次は後翅です。2-CU脈というのは黒矢印辺りにあるはずの脈です。このハチではどう見てもありません。それで、②、⑤、⑦はいずれもOKです。また、m-cu脈も見当たりません。さらに、cu-a脈はほぼ直線的です。ということでほぼOKなのですが、⑦に出てくるbullaが何だか分かりませんでした。

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次は後体節第1節のlateropeについてです。lateropeについては以前コマユバチ科オオアメイロコンボウコマユバチ亜科を検索したときに出てきました。その時は「側方の窪み」と訳していました。今回のハチでは第1節背板(t1)は平面的でlateropeはありそうにありません。それで、「lateropeを欠く」という選択肢を取り、⑥はOKとしました。

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コマユバチ科は後体節第2節背板と第3節背板が融合しているのが特徴だと思っていたのですが、これは少なくとも外見上は分離しています。それで科レベルでだいぶ悩んだのですが、検索表に⑤のような表現があるので、分離しているのもいるのかなと思ってOKとしました。

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今日の最後は後脚跗節の写真です。第1節は長いのですが、ほかの節の和ほどは長くありません。それで、これもOKです。と、ここまでは比較的順調に進んできました。続きは次回に回します。

雑談1)昨日朝から突然鼻水が出て止まりません。鼻をかんでもかんでも出てきます。仕方ないので、ティッシュペーパを鼻に突っ込んでいるのですが・・・。風邪の続きなのだろうか、それともアレルギーなのだろうか。どうにも鬱陶しくて集中できません。

雑談2)昨日、「なにこれ生き物探検」に、2年前に六甲高山植物園に行ったときの写真を出しました。これから植物の整理もしていこうと思うので、しばらくの間は植物の写真を出していきます。こちらもよろしく。手作り図鑑の方は今はオドリバエ科に取り組んでいます。この科は奥深くてなかなか進みませんが、いろいろと調べていくと知らないことも出てきて結構面白いです。たぶん、後2−3日でまとまるかなと思っています。「気まぐれ写真図鑑」の方はもうじき、「シダを観る」、「動物園の鳥」あたりが完成しそうです。
昨日の続きで、昨年の12月21日に採集したヒメバチの亜科の検索です。

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対象とするのはこんなハチで、体長は4.5mmでした。翅脈からヒメバチ科であることはすぐに分かったので、その後の亜科の検索を試みてみました。

Henri Goulet and John T. Huber (Editors), "Hymenoptera of the world, an identification guide to families", Research Branch, Agriculture Canada (1993). (ここからpdfをダウンロードできます)

検索表はこの本のものを用いました。この検索表には一項目が3〜4小項目も載っているので写真を用意するのが大変なのですが、絵解きなので分かりやすいと言えば分かりやすい検索表です。一応、検索をしてチビアメバチ亜科になったのですが、その過程を写真で見ていきたいと思います。昨日は7項目までを見たので、その続きで8項目〜13項目までです。

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チビアメバチ亜科であることを確かめるにはこれだけ見ていかないといけません。赤字は撮影した写真ではよく分からなかったところですが、たぶん、書いてある通りだと思います。ほぼ検索順に見ていきます。

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これは後体節第1節を写したもので、右が前方です。気門は黄矢印で示した部分ですが、中央より後方についています。これで⑧はOKです。

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これは後体節第1節を背側から写したものです。基部方が細長いというのはよく分かります。

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これは後体節を横からと背側から撮ったものです。何となく横から圧縮されているだろうというのは分かりますが、ぺしゃんこになるほどではないのではっきりとは断言しにくいところです。実は、検索表では圧縮されているか、いないかという二者択一の選択肢です。たぶん、どちらを選んでも目的地は同じになるようにしてあると思いますが、上の検索ではさらに親切に、はっきりしない場合は次の2点を調べよという指示まで載っています。

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一つは爪が櫛歯状かどうかで、この写真でも分かりますが、櫛歯状みたいです。

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次は鏡胞に柄があるかどうかで、これには明瞭に柄があります。この二つの点のどちらかが満足されれば、後体節が圧縮されているという方を選べということなのですが、これは両方とも満足しているので、堂々と圧縮されている方を選びます。

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次は産卵管の背側に切れ込みがあるかという項目ですが、黒矢印で示すように明瞭にあります。

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これは前伸腹節の拡大ですが、ご覧のように縦向き(写真では横)と横向きの隆起線があって小室を作っています。また、背側後半の彫刻はかなり細かいものです。そんなところで、⑪はOKとしました。

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これは側単眼の直径と後頭隆起線までの距離との比較です。これは後者の方がはるかに長く、また、相対的に下側に位置しているのでこれもOKです。

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これは前胸側板の写真です。この側方に黄矢印のように突起が出ていて、前胸背板の下縁に重なっています。これはたぶん、チビアメバチ亜科の顕著な特徴の一つではないかと思います。

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脚が邪魔してうまく写せなかったのですが、中胸腹板の後縁に後方横隆起線があって、それが中央でも途切れず続いているかというのがこの項目です。はっきりとは分からないのですが、たぶん、途切れていないのではと思っています。

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中脛節末端の刺の写真です。この2本の刺の中心を跗節第1節から伸びた「橋」があるかどうかという項目です。たぶん、文章だけでは理解できないと思いますが、先ほどの本の絵と比較するとそのような構造は見られません。

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最後は顔面と頭盾との間にある溝についてです。この写真では溝が見られません。以前、「昆虫の頭の構造」について勉強したことがあったのですが、黄矢印でatと書いたところが後頭と前頭を結ぶつっかえ棒の取り付け口になります。このatを通って前額縫合線があり、その縫合線の下が頭盾であるという定義がなされています。外からはよく分からないのですが、前額縫合線は表面が内部に陥入しているところなので、内部を見ると明瞭に見えるはずです。この写真ではatを含んで半円形にわずかに境目らしいところが見えますが、それより下が頭盾だろうと思われます。

とにかく、これでほとんどすべての項目を確かめたので、たぶん、チビアメバチ亜科で合っているのではと思っています。"Information station of Parasitoid wasps"のチビアメバチ亜科の項を見ると山のように種が載っています。属の検索表も手元にないので、ここでストップになりました。
久しぶりに虫を調べてみました。今年は持病が再発したり、風邪をこじらしたりとろくなことがなかったのですが、ようやく少し集中できるようになりました。今日の対象は昨日写真を載せたこのハチです。

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マンションの廊下で2018年12月21日に見つけたこのハチです。翅脈からヒメバチ科であることが分かったので、亜科の検索をしてみました。今回は次の本に載っている検索表を用いました。

Henri Goulet and John T. Huber (Editors), "Hymenoptera of the world, an identification guide to families", Research Branch, Agriculture Canada (1993). (ここからpdfをダウンロードできます)

ヒメバチ科の亜科の検索は大変で、これだけで一仕事です。検索の結果、チビアメバチ亜科になったのですが、その過程を写真で示してみたいと思います。

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この本のハチの検索は一項目だけで3−4項目を調べないといけません。それでこんなに長くなりました。なお、翻訳についてはいつもお世話になっている"Information station of Parasitoid wasps"の「形態用語辞典」を利用させていただきました。この間購入した電子辞書とこの「形態用語辞典」、それに、アルクの"英辞郎 on the WEB"があるとほとんどの用語が調べられてなかなか快適です。チビアメバチ亜科に至るには実は、全部で13項目あったのですが、長いのでとりあえず半分だけ出すことにしました。赤字は調べることができなかった項目、青字は写真を撮り忘れた項目で、後の黒字はすべて写真で示すことができました。

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最初は全体像です。体長は4.5mm。折れ線で近似して測りました。そこそこの大きさのハチです。腹部末端に産卵管が見えるので、これは♀です。①は見るからにOKです。③については少なくとも腹部腹板第2,3節は膜質であることがこの写真でも分かります。対抗する項目は第2−4腹板が硬化するというものなので、たぶん、これでOKだと思われます。⑤もOKでしょう。

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次は翅脈です。翅脈の名称は"The American Entomological Institute"に載っているものを採用しました。この写真では、2m-cuがあることで②はOKです。⑤の鏡胞は確かにあります。鏡胞の形は菱形なのですが、⑦は「通常」だからいいことにしました。

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ついでに後翅の翅脈も載せておきます。

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これは背側から撮ったものですが、③はOKでしょう。

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これは腹部末端の写真です。がっちりした産卵管が見えています。④はごちゃごちゃ書いてありますが、この産卵管とは違うことが書いてあるのでOKだと思います。⑦もたぶん大丈夫だと思われます。

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次は頭部です。頭盾と顔面とは何となく違いが見えますが、明瞭な溝はありません。また、頭盾前縁には特に歯などはありません。従って、④はOK。⑦は顔面が強い凸面かどうか分かりませんが、たぶん、大丈夫でしょう。

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これは前伸腹節を写したものです。黄矢印で示したところに横向きの隆起線が見られます。それで、④はOKです。

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触角は途中で折れてしまったので、ついでに撮影しました。特に変わったところがなく、鞭節は28−2=26節でした。

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これは後体節第1節を背側から写したものですが、⑦はどうでもよいような項目です。

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前胸背板は撮りにくいので、斜め前から撮ったらやっと写りました。向かって右側は胸部、左側が頭部です。前胸背板の中央部には光沢があり平坦でした。で、⑤はOKです。続きは次回に回します。

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