廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

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手作りの「成長し続ける図鑑」に加えようと思って、ヒメカゲロウ科の検索表を調べ始めてました。というのは、これまでヒメカゲロウについては部分的に調べたことはあったのですが、種までの検索はしたことがなかったからです。この際だから、一度、きちんと調べておこうと思ったのが始まります。

[1] S. Kuwayama, "A revisional synopsis of the Neuroptera in Japan", Pacific Insects 4, 325 (1962). (ここからpdfがダウンロードできます)

まず、属の検索表ですが、この論文に載っている検索表をもとにしました。でも、やや古くて、シノニムとされた属や科の変更のあったものなどがあったので、それらを変更して今でも使えるような検索表に直し、一昨日にブログに出しました。検索はほとんど翅脈に関するものだけだったので、日本産9属の翅脈をいろいろな論文から集めて、この検索表でうまくいくかどうか確かめてみました。

ところがどうしてもうまくいきません。どうしてだろうと考えてみたのですが、どうやら翅脈の名称が検索の途中で変わっていたからだということに気が付きました。翅脈の名称を調べるときはまずComstockの本[2]を見てみます。

[2] J. H. Comstock, "The Wings of Insects", The Comstock Publishing Company (1918). (ここからダウンロードできます)

この本は相当に古いのですが、いわば翅脈のバイブルのような本なので、とりあえずこれを見ないと始まりません。この中にHemerobius humuliというヒメカゲロウ属 Hemerobiusの翅脈の絵が描かれていました。Comstockは翅脈の発生に先だって伸びていく気管の様子を見て翅脈に名称をつけています。気管と翅脈は必ずしも1対1対応ではないので、反対する研究者もいるのですが、とりあえず根拠があるので、参考にされることが多いのです。そこで、手元にあるHemerobius属の翅脈にComstockの名称を当てはめてみると次の写真のようになります。

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これを使って上のKuwayama[1]の検索表で試してみるとうまくいきません。問題になるのはR脈とM脈の系列のあたりです。つまり、検索表の①については書いてある通りに進むことができるのですが、⑦、⑧のところでどうもよく分からなくなります。

そこで、もう少し文献を探していたら、次の論文を見つけました。

[3] E. G. MacLeod and L. A. Stange, "The Brown Lacewings of Florida (Neuroptera: Hemerobiidae)", Entomology Circular No. 227, June (1981).(ここからpdfを直接ダウンロードできます)

この論文のやり方に従って名前を付けてみると以下のようになります。

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注目すべきはComstockではR5と書いてあった脈が今回はMAとなっているところです。つまり、径脈の分枝だとしていたものが中脈の分枝になっているのです。どうしてこのような名前になったのかよく分かりませんが、少なくともこうすることでKuwayama[1]の検索表の⑦と⑧はうまく解釈することができます。これに対して①はComstock流の名前にしないとうまくいきません。つまり、この論文の検索表の中でも混乱があるようです。どうしてR5→MAにしたのか、その根拠は分からなかったのですが、少なくとも検索がうまくいかなかった原因だけは分かりました。

ところが、最近の論文を見ると、再び、Comstock流の名称に戻っています。そこで、ここではヒメカゲロウ科を精力的に研究しているOswaldの方式に統一して考えることにしました。

[4] J. D. Oswald, "Revision and Cladistic Analysis of the World Genera of the Family Hemerobiidae (Insecta: Neuroptera)", J. New York Entomol. Soc. 101, 143 (1993). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

それが次の図です。

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R5の名称が再び戻ってきました。ついでに検索表に出てくる各部の名称も書き入れておきました。

ついでのついで、Kuwayama[1]の論文には載っていなかったZachobiella属もOswald[4]の検索表を見ながら今回の検索表に加えてみることにしました。これらを変更して出来上がった属の検索表がこれです。

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赤字の部分が変更したところです。②と③の辺りは新たにZachobiella属を加えたために変更したところです。⑥は以前の検索表では表現があいまいだったので書き直しました。⑧と⑨は翅脈の名称を現在使われている方式にしたので変更したところと、Wesmaelius属に亜属を加えました。論文に載っている各属の翅脈の図を使って検証してみたところ、一応、問題なく検索できるのですが、種による変化や個体変異などをすべて調べたわけではないので、一応、「試案」ということにしました。特に、③の項目は論文の翅脈を見て書き加えた項目なので、あまり自信のないところです。

ヒメカゲロウ科でだいぶ時間を使ってしまいましたが、いままであいまいだったところがほぼ完全にすっきりさせることができました。この際だから、Oswald[4]の検索表も翻訳すればよかったのですが、後翅に関する項目や翅基部に関する項目があるので、生態写真の検索にどれだけ役立つのか分かりません。それで、とりあえず、今回の検索表でしばらくはやってみたいと思っています。なお、種の検索表にもKuwayama[1]を使ったのですが、この中に出てくる翅脈の名称も若干変更しました。ただし、種の検索表の方はほとんど色や模様に関するものなので、それほど問題にはなりませんでした。種の検索表については図鑑の方に入れておきます。
手作りの「成長し続ける図鑑」でヒメカゲロウ科をまとめてみようと思って、過去のブログを見てみたら、これまで調べようとはしていたのですが、一度も種レベルまで検索をしたことはなかったみたいです。それで、これまでのブログをまとめただけだと何となくまとまりのない話になるので、一度、検索表をきちんと見直して検索をやり直してみようと思いました。

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まず、ヒメカゲロウというのはこんな感じの虫です。この写真はアミメカゲロウ目ヒメカゲロウ科のチャバネヒメカゲロウ Micromus numerosusだと思われる個体で、2014年7月11日に撮影したものです。「日本昆虫目録第5巻」によると、こんな感じの虫が日本には9属45種もいるそうです。私のマンションでも数種は確実にいるのですが、きちんと検索をしたことがなかったので、この際、検索表を整備してみようと思いました。

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この間も出したのですが、「日本昆虫目録第5巻」に記録された属がどの文献の検索表で扱っているかを調べてみたものです。左から3列目までは目録に載っていた亜科、属、種数です。右の3列は次の3つの文献に載っていた検索表で扱かわれているかどうかを〇印で表しています。

[1] W. Nakahara, "On the Hemerobiinae of Japan", 日本動物学彙報 9, 11 (1915). (ここからダウンロードできます)
[2] S. Kuwayama, "A revisional synopsis of the Neuroptera in Japan", Pacific Insects 4, 325 (1962). (ここからpdfがダウンロードできます)
[3] J. D. Oswald, "Revision and Cladistic Analysis of the World Genera of the Family Hemerobiidae (Insecta: Neuroptera)", J. New York Entomol. Soc. 101, 143 (1993). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

これらの文献のうち、[1]と[2]は古いので、分類体系が変化し、また、扱っている属や種の名称も変化している可能性があります。それらを調べたのが"synonym"と書いた欄です。いずれにしても文献[2]と[3]の検索表を用いればほとんどの属の検索ができそうです。特に、文献[2]は種の検索表も載っているので便利です。

そこで、まず、文献[2]の検索表を現在でも使えるように改変してみました。どこをどう変えたかというと・・・。

Paramicromus→ Micromus
Eumicromus→ Micromus
Oedobius→ Drepanopteryx
Kimminsia→ Wesmaelius

属に対してはこの上のように直しました。これでMicromus属は3つの属が合体したことになります。これにより不必要な検索項目を削除しました。

Sympherobiidae→Hemerobiidae, Sympherobiinae+Notiobiellinae

さらに、現在はヒメカゲロウ科 Hemerobiidaeの亜科になっているSympherobiinae、Notiobiellinaeの2亜科が当時はSympherobiidae科になっていたのでこれを変更して、Hemerobiidae科とSympherobiidae科の二つの検索表を合体しました。そうしてできたのが次の検索表です。

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だいたいは意味が通るのですが、"funestella"が最初よく分かりませんでした。辞書を引くと、「小窓」という意味なのですが、論文の図を見ると前翅後縁に三角形や細長い溝状の色が白あるいは透明な窓のような切れ込み模様があるのを指しているようです。同じようなことを種の検索表についても行いました。出来上がった種の検索表については手作り図鑑の方に載せることにします。こうやって作り直した検索表を以前ブログに出したチャバネヒメカゲロウ Micromus numerosusとアシマダラヒメカゲロウMicromus calidusの標本写真で試してみることにしました。

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上に書いた属の検索表と種の検索表から必要な部分だけを抜き出すとこのようになります。この中にはcalidusとnumerosusが共に含まれるようにしてあります。これを以前の標本写真で調べてみます。

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検索はほとんど翅脈に関するものなので、こんな写真だけでも脚の脛節を見る必要のある⑥を除いてほとんど調べることができました。検索表の番号を写真に書き入れたので、この写真からだいたいは追いかけることができると思います。実際に調べてみると、確かにチャバネヒメカゲロウ Micromus numerosusでよさそうなことが分かりました。

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この標本も検索の途中まではまったく同じなので、⑥aの項目だけを書き入れてみました。前翅後縁の不規則な雲状模様というのがはっきりしませんが、そのほかはほぼ書いてある通りです。また、脚がわずかに写っていて黒い環状斑があることが分かります。従って、アシマダラヒメカゲロウMicromus calidusでよさそうです。ということで、検索表に従って種を調べることができました。

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この表は「日本昆虫目録第5巻」に載っている種と文献[2]に扱われている種の対応を表したものです。Kuwayama氏の論文でnumerosusのところに2種が載っていますが、後に、sauteriがnumerosusのシノニムであることが分かったからです。「日本昆虫目録第5巻」に載っているほとんどの種が文献[2]にも載っていますが、2種だけが載っていません。分布を調べてみると、そのどちらも本州には分布していないことが分かりました。他の属でもほぼ同様のことが言えるので、たぶん、Kuwayama氏の論文で種レベルまでかなり検索できるのではと思っています。

生態写真でも検索を試みたのですが、翅脈や翅の斑紋がはっきり分からないものがほとんどで、なかなか生態写真だけからでは判断が難しいことも分かりました。今のところ、生態写真でだいたいの種の見当をつけておいて、今度は採集してこんな展翅標本を作っておくとかなり確実に種の決定ができそうです。

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ついでに文献[3]についても属の検索の構図を調べてみました。番号は検索表の番号です。例えば、Psectra属に至るには1→27'→28→29→30'→32→33と進む必要がありますが、こうやって日本産だけに限ると分岐するところ以外の検索項目は特に必要としないので、結局、黒字で書いた数字の部分だけを訳していけば日本産の検索表にすることができます。なお、赤字は目的地を表していますが、その項目も書く必要がある場合にはアンダーラインを引いてあります。赤字で書いた部分には属の性質が含まれていることも多いので、ある程度書き込んだ方がよい場合もあるだろうと思っています。それにしてもこれら全部を訳していくとなるとかなりしんどい作業になります。もう少し後でやるかなぁ。
昨日、雑談として書いたのですが、1月17日に採集したタマバエを調べています。もともと昨年調べたタマバエ科のCampylomyaza属と同じだと思って、この時によく分からなかった翅脈上の感覚性の孔を探そうと思って調べ始めたのですが、ついでに触角の写真を撮ったら、どうもCampylomyaza属とは違うのではないかと思うようになってややこしくなりました。今日はその話です。

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調べたのはこんなタマバエです。今回はMND(Manual of Nearctic Diptera Vol. 1)に載っている検索表で調べてみました。現在の分類と亜科レベルで違っているのですが、それについては後で触れます。

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検索の結果、Cordylomyia属になったのですが、その前後の属も加えて検索の道筋を書くとこのようになります。検索は①→②→③→④→⑤→⑥a→⑦a→⑧aと進んでいきます。これを写真で見ていきます。

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まずは全体像です。体長は2.2mm、前翅長は2.5mmでした。また、腹部末端の構造からこの個体は♀です。ここでは②を見ることになっているのですが、有翅であることは間違いありません。

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次は後脚を見たものです。跗節第1節は第2節よりはるかに長いことは分かります。また、脛節先端腹側に棘はなさそうです。

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これは頭部を斜め後ろ側から撮ったものですが、単眼は確かにあります。ついでに左右の複眼が後ろでくっついて眼橋になっていることが分かります。

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次は顔面を写したものです。顔面に毛が生えていて何だか分かりません。また、前額のあたりが膨らんでいることが分かります。ついでに触角鞭節第1節は円筒形に近いことが分かります。

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これはCampylomyzaの♀かどうかを見分ける一番重要なポイントなのですが、どうみても襟状の感覚子は見られません。やはり針状の感覚子というべきかなと思います。

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翅脈は見るところが多いのですが、見るべきところに検索の番号を入れておきました。特に問題はないのですが、④の表現がどうも気になります。どう考えてもR5は翅と同じ長さになりえないので、ここでは「R5は翅端近傍まで伸びて翅縁に達する」とでもした方がよいのではと思いました。なお、翅脈の名称は検索の都合上、MNDの方式を採用しています。

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これは爪間体を撮ったものです。幅が広いことは確かですが、爪と同じ長さかと言われれば、かなり短いのでいいのかなと思います。ただ、対抗する項目は爪間体は痕跡的なので、まぁ、いいのかなと思っています。

これですべての項目を確認したので、たぶん、Cordylomyia属で間違いないのではと思っています。最近、この属はNeurolyga属のシノニムになっていて、Micromyinae亜科Camplylomyzini族に入っています。従って、ここではNeurolyga属の一種と言った方がよいのではと思っています。

一昨日も出したのですが、ついでに翅脈上に見られる感覚性の孔の写真ももう一度載せておきます。これは次の論文の検索表に載っていたものです。

J. Yukawa, "A Revision of the Japanse Gall Midges : Diptera : Cecidomyiidae",Memoirs of the Faculty of Agriculture, Kagoshima University 8, 1 (1971). (ここからダウンロードできます)

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この写真はRs/R5脈とr-m横脈が交わる付近を拡大したものです。R5脈上には黄矢印で示したように小さい孔のようなものが並んでいます。たぶん、これのことかなと思うのですが・・・。赤矢印のところにはもう少し大きな孔が空いています。これもそうなのかどうか分かりません。Yukawaの論文には図も出ているのですが、数がだいぶ少ないのでひょっとしたら違うかもしれません。ただ、この孔は翅の裏側にあるみたいです。表側も何度か見直したのですが、それらしいものが見つかりません。翅脈は翅の表側より裏側の方に出ているので、これでよいのかなとも思うのですが、よくは分かりませんね。

雑談)今日は「成長し続ける図鑑」のコナカゲロウ科をまとめてホームページにアップしました。ここから入って探してみてください。次はヒメカゲロウにするか、それともハエをもう少しまとめるか迷っています。まとめるのもだんだん慣れてきて、少しずつ面白くなってきました。

カバエ科の再検討

先日、「手作り図鑑」の一部としてカバエ科をまとめました。

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カバエ科というのはこんなハエです。これは2015/03/08にマンションの廊下で撮影したものです。検索はそれよりちょっと前に行ったのですが、詳しくはそのときの記事を見てください。その時は、「一寸のハエにも五分の大和魂・改」のNo. 2977(2007/02/03)のスレッドに載っている検索表を利用して検索してみたら、マダラカバエ Sylvicola japonicusになりました。

でも、そのスレッドをよく読むと、その後、松村氏の論文に書かれている原記載とその後に出された岡田氏の記載は合うのですが、付図として描かれた交尾器が合致しないことが分かり、北大に残っているsyntypeと比較した結果、むしろ、付図に載っている方が合致することが分かりました。ただ、北大に残っている標本は胸背に4本線があり、主に北海道などの北方に分布する種です。結局、これがjaponicusになってしまったのです。これに対して、全国的に普通にいる種は3本線でしたが、突然名前がなくなってしまいました。同時にマダラカバエという和名もSylvicola japonicusにくっついていったので、普通種に和名もなくなってしまいました。この辺りの事情については「大図鑑」のマダラカバエの解説にも書かれています。というわけで、「手作り図鑑」には、今回の種は仮にSylvicola sp. 2 (以前のS. japonicus)だと書きました。フトツリアブさんからSylvicolaの種数に関するコメントをいただいたのですが、私がスレッドの時系列を誤解してしまい、変なお返事を差し上げてしまいました。そこで、もう一度、この辺りのことをまとめ直してみようと思って書きました。

たぶん、時系列的には「手作り図鑑」に載せた通りではないかと思うのですが、折角なので、そのスレッドに出てくる文献の検索表を使って検索をしてみました。

I. Okada, "Ueber die Gattung Phryne Meigen (Phryneidae) (Neue und wenig bekannte Dipteren aus Japan. II)", Insecta Matsumurana 9, 166 (1935). (ここからダウンロードできます)

まずはこの1935年の岡田氏の論文に載っている検索表からです。

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これはスレッドに出てくるsuzukii、matsumurai、japonicusに限って検索表の一部を抜き出して翻訳したものです。いつものように〔 〕は私が入れた注釈です。①のMと②のRはそれぞれm1室とr室ではないかと思いました。まずはこれらの項目を写真で確かめてみたいと思います。検索は①→②b→③bと進みます。

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これは翅脈ですが、翅脈の名称は特に差し支えないので「大図鑑」の方式を採用しています。検索表に出てくるところは矢印で示してあります。

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胸背には3本の縦条があります。

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後腿節には暗色環などはないので、以上の検索の結果、この個体はjaponicaになります。しかし、この検索表では特に交尾器の特徴を使っていないので、これは先ほど書いたようにjaponicus→sp.2となります。これに対して付図として載っている交尾器はjaponicusのものだということになります。

次はKrivosheina(1998)の論文の検索表です。

N. P. Krivosheina and F. Menzel, "The Palaearctic species of the genus Sylvicola Harris, 1776 (Diptera, Anisopodidae)", Beitr. Ent. 48, 1 (1998). (ここからダウンロードできます)

同じく、3種に限定した検索表は以下のようになります。

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この場合の検索は①→②→③b→④→⑤aと進みます。それを同様に見ていきます。

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最初は翅脈です。検索上では特に問題なくすべての項目を確かめられます。

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複眼は間違いなく合眼的です。

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最後の⑤aの後半は♂交尾器に関するものですが、これが何を意味しているのかよくは分かりません。しかし、この写真の構造は明らかにKrivosheina(1998)に描かれたものともOkada(1935)のものとも異なります。むしろ、先ほどのスレッドに描かれたjaponicus(これは後のsp.2)のものと生殖端節の辺りは似ています。スレッドに書かれている通り、KrivosheinaはOkadaの論文を参考にしたので、同じ交尾器をもつものをjaponicusとしたと考えられます。でも、これは先ほどの話でまさにjaponicusになったということで、検索表は変更なしでそのまま使えることにはなったのですが、日本で普通種のsp. 2については行き先がなくなってしまいました。

最後はスレッドに載せられていた検索表です。

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こちらは少し変更があります。まず、⑤aのjaponicusはsp.2になり、④bのsp. 2はjaponicusになります。ついでに新しく見つかったとされるsp. 4も加えておきました。この場合、検索をしていくと、①→②a→③→④a→⑤aとなり、最終的にsp. 2になります。これも一応、写真で見てみます。

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今回は交尾器が検索表に含まれていないので、そのまま素直にjaponicus→sp. 2に到達しました。

とにかく、ややこしい話だったので、私も頭がこんがらがってしまいました。普通種に早く名前がつくとよいなと思っています。

雑談)今回はカバエでだいぶオタオタしました。虫一匹でもちゃんと調べようとすると本当に大変ですね。「一寸のハエにも五分の大和魂」という言葉の意味が少し分かってきたような感じです。先ほど、HPの方にカバエ科のpdfを出しました。今度はクサカゲロウ科をまとめようと頑張っています。これもなかなか大変です。
昨日の続きでニセケバエ科の検索です。昨日は族の検索まで行いScatopsini族だろうというところまで達しました。今日はその続きで属の検索です。

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対象としたのは12月21日にマンションの廊下で採集したこのニセケバエです。これは毎年12月中旬から1月中旬にかけて見られる種で、ニセケバエにしてはやや大きめの種です。この個体の体長は2.2mmで、体長は小さいのですが、翅が大きいので結構大きく見えます。

属の検索は以下の本の検索表を用いました。

[1] J.-P. Haenni, "2.12 Family Scatopsidae", in L. Papp and B. Darvas (eds.), "Contributions to a Manual of Palaearctic Diptera (with special reference to fliew of economic importance)", Vol. 2 Nematocera and Lower Brachycera, Science Herald, Budapest pp. 51-69 (1997).(以下、CPMDと略します)

実は、Scatopsini族まで達すると、後の選択肢はそれほど多くはなくなります。従って、検索表も簡単になります。

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⑩と⑪の二項目を調べることで属まで到達します。調べた結果、たぶん、Apioscatopse属だろうということになったのですが、それを写真と見比べながら確かめていきたいと思います。

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まず、⑩はこの写真でも分かりますが、M1とM2脈はほぼ対称で分岐してから滑らかに湾曲しています。それで、⑩はOKです。次の⑪は翅長の2/3のところに線を描いたのですが、R4+5はその線をはるかに越えて伸びています。これで⑪aもOKです。

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これは腹部末端を腹側から写した写真ですが、腹板は光沢を持っています。その腹板にまばらに毛が生えていて、初めこれをミクロトリキアかなと思いました。でも、よく見ると、毛の根元に孔が空いていてソケットがあることが分かります。それで、これはマクロトリキアということになり、光沢があることからもミクロトリキアはないと思われます。次の交尾器前方の節はs7あたりを指すと思うのですが、「いろいろに変形」の意味が分かりませんでした。でも、残り二つの項目がOKなので、⑪aはたぶん大丈夫でしょう。ということで、この個体はApioscatopse属の可能性が高くなりました。ただ、CPMDに載っていない属の可能性もあるので、以下の二つの文献に載っている検索表でも調べてみました。

MND: Manual of Nearctic Diptera Vol. 1 (1981). (ここからダウンロードできます)
MCAD: Manual of Central American Diptera Vol. 1 (2009).(ここで一部読むことができます)

あまりちゃんと見たわけではないのですが、この二つの検索表でもやはりApioscatopse属になりそうです。たぶん、大丈夫かなと思うのですが、この属の情報が少なくて、本当に東アジアに分布するものかどうかさえ、よく分かりません。

検索ついでにこれまで写してきた写真も調べてみました。

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まずはこの個体です。これは2月下旬から4月初旬と11月にマンションの廊下で見ています。個体数は比較的に多いのですが、上の個体に比べると小形です。外見的には脚まで黒く、黄矢印で示した部分に白い斑紋があります。

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これは連結した個体です。

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これは4月初めに見た写真ですが、数匹のニセケバエがクモの糸のようなものの下でうずくまっていました。

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このニセケバエの特徴はM1脈で、黄矢印で示したようにこんな角を作っています。

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R4+5脈は翅長の2/3よりほんの少し長いだけでした。これらの特徴から先ほどの検索をしてみると、今度はScatopseになりました。「日本昆虫目録第8巻」によると、Scatopse属の日本産で記録されているのはnotata一種です。この種は旧北亜区に広く分布している種で、ネットで探すと上の写真と同じ場所に白い斑紋がありました。たぶん、Scatopse notata(クロツヤニセケバエ)で間違いないのではと思っています。

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最後は2年前の9月に河原で見つけたニセケバエです。この時はヒメジョオンの花にアザミウマと一緒にいるところが見られました。1匹だけ捕まえて調べてみました。

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このときは写真がうまく撮れなかったのと、採集した個体の翅が破れてしまったのではっきりしたことは分かりませんでした。体は全体的に黒で、脚は暗褐色です。翅脈の写真からRs/R4+5脈が前二者に比べるとかなり短いことが分かります。この時もMNDで検索をしたのですが、今回改めてCMPDで検索してみると、以前と同じ、ニセケバエ亜科(Scatopsinae)で、今回はナガサキニセケバエ族(Swammerdamellini)のQuateiella, Coboldia, Rhexoza3属のどれかであろうという結果になりました。たぶん、この辺りであることは確かそうです。ということで、これまで撮った写真では合計3種のニセケバエが見られていたことになります。ニセケバエも少し分かるようになってきました。

雑談)今回調べたニセケバエ科とこの間調べたクロバネキノコバエ科を「手作り図鑑」風に作ってみました。これまでに作ってきた「手作り図鑑」をどのようにHPにアップしたらよいか迷っていたのですが、科別にすることによりファイルサイズを小さくしてアップすることにしました。試しにハエ目2科をHPに載せてみました。まだ、写真と画像リストのリンクが張っていないなど未完成なのですが、ぼちぼち充実させていこうかなと思っています。

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