廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

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最近はシダばかり調べていたので、久しぶりの「虫を調べる」です。

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今回調べたのはこんな小さなハチです。小さなハチはどうも苦手で、いつもハチとだけ書いていましたが、一度、調べてやろうと思って採集しました。科が分かれば御の字かなと思ったのですが、意外にも、亜科から、属にまで迫ることができました。でも、とりあえず、科の検索です。科の検索にはいつもの「絵解きで調べる昆虫」に載っている松本吏樹郎氏による「ハチ目昆虫の検索と解説」を用いました。

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体長はわずか3.5mm。かなり小さなハチです。検索の前にいつものように各部の名称を調べてみました。このハチは検索をしてみると、コマユバチ科になったので、いつも利用させていただいている"Information station of Parasitoid wasps"の中のコマユバチ科とヒメバチ科の形態の図を参考にさせていただきました。

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まずは頭部です。大体は分かったのですが、小腮外葉というのがこれでよいのかちょっと不安です。また、顔面に開いている穴については以前、「昆虫の頭の構造」に出てきた孔かなと思って名付けてみました。atは頭蓋の後ろと前をつなぐ梁ATが前部に出た部分でanterior tentorial pitの略です。dtについてはちょっと自信がないのですが、ATと上部をつなぐ梁DTが現れたdorsal tentorial pitかなと思っています。追記2018/12/06:dtは左右2つないとおかしいので、これは違いますね。とりあえず、消しておきます

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触角は数えてみると、全部で28節ありました。

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これは胸部背面の写真です。notaulusは以前にも調べたことがありますが、その時の知識では「体に沿った間接飛翔筋の縦走筋と背腹筋を分ける甲の境目」だそうです。

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これは胸部側面です。

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それから斜め後ろから撮ったところです。本当は前伸腹節に見られる隆起線のパターンを撮ろうと思ったのですが、うまく写りませんでした。

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それでは科の検索です。だいたい検索順に見ていきたいと思います。

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まず、この写真からは細腰亜目であること、翅が発達していることが分かります。

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この写真では頭頂に刺がないこと、腹部が前伸腹節の下側から出ていることが見て取れます。これで③と⑦はOKです。

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翅脈からはいろいろ情報が読み取れます。翅脈の名称は以前も利用したことがある、American Entomological Instituteのホームページを参考にしました。ただ、これからいくつかの論文の検索表を使うことになるのですが、そのたびに名前の付け方が変わるので、その場合は論文に合わせて名称をつけることにしました。この写真では問題となるポイントに㋐、㋑、㋒、㋓という記号を入れました。まず、㋐では後翅に翅室があります。㋑では大きな縁紋があります。㋒はヒメバチ科ではあるはずの2m-cu脈がこのハチにはありません。また、㋓ではRs+M脈は両端にだけあって、中央にはありません。(追記2018/12/07:翅脈の名称はR→C +Sc+Rでした。後で、図を訂正しておきます

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⑧は後翅の脈の交点の位置関係ですが、その部分を拡大しておきました。一部、RsをSc+Rに変えた方がよいかなと思ったのですが、それを除くとこれもOKです。(追記2018/12/07:、American Entomological Instituteのホームページでは一番上の脈がRなのですが、松本氏の検索表ではSc+Rになっていました。どうしようかなぁ

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これは後脚転節の部分です。転節は2節に分かれるのですが、腿節に近い方は「原色昆虫大図鑑III」によると、腿節の一部だと解釈されているようです。"Information station of Parasitoid wasps"には第二転節と呼ばれているようなので、それを採用しました。

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跗節先端には特に突起は見られません。それで⑥はOKです。

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最後は腹部(後体節)です。見かけの腹部第2節と第3節の間は黒三角で示したように融合しています。それで⑧もOKです。

これですべての項目を調べたので、コマユバチ科であることは確かそうです。いつものはここでストップなのですが、今回はその先の亜科と属の検索も試みました。これについては次回に回します。
冬になったらマンションの壁に小さなハエが大量に集まります。このハエを調べてみたいと前から思っていました。先日、このハエの属しているキモグリバエ科の検索表をいただいたので、早速、検索をしてみました。前回は各部の名称と亜科の検索を出したので、今回はその続きで、属と種の検索です。

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調べたのはこんなハエです。属の検索には次の論文に載っている検索表を用いました。

上宮健吉、「キモグリバエ科の属の検索表絵図解説(その2)」、Korasana 84, 155 (2016). 

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調べてみると、ネアブラキモグリバエ属になったのですが、その過程を書くとこのようになります。これを写真で確かめていきたいと思います。今回はだいたい検索順に見ていきます。

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この写真では脚に特に異常がないことを見ます。本当は腹面を撮った写真だったのですが、ついでに脚のようすも見ることができました。

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この写真では④と⑨を見るのですが、どちらも長さを測らなければいけないので、ちょっと厄介です。実は、額、側顔(本文では亜側顔になっているのですが、英語のparafrontaliaは側顔と訳してよいのでは・・・)、それに、頬の寸法をどこで、どのように測るのかよく分からないからです。

上宮健吉、「キモグリバエ科の属の検索表絵図解説(その1)」、Korasana 83, 165 (2014). 

この論文に測定する場所の図が出ていて、それに合わせるように測ったのが上の写真です。④については額が突出しているわけではないのでまず大丈夫だと思われます。⑨も側顔や頬の測る位置さえ合っていれば、検索としては問題なさそうです。ただ、数字が出てくるので、そもそもどこを測るか、このように2次元に投影した写真で測ってよいのか、それとも曲面に沿って測らなければいけないのかなど、いろいろと疑問が残りました。測り方についてはもう少し検討してみますので、それによって値は変化するかもしれません。

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⑤、⑥、⑧は触角についてです。触角刺毛が細くて、縁毛を伴うというのは問題なしです。触角第3節の幅を1とすると長さは0.93になりました。この写真は触角第3節の広い面が平面に写るように角度を調整したので、まず大丈夫かなと思っています。

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⑦と⑨は単眼三角区についてです。この上に額内刺毛が黒矢印で示したように2から3列並んでいます。これで⑦もOKとしました。三角区の先端は赤矢印で示したところですが、先端は尖っています。これで⑨もOKです。

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これは小盾板を写したものです、小盾板は平面状で、黒矢印で示したように側縁には稜があります。これですべての項目をチェックしました。数字に若干不安が残りますが、ネアブラキモグリバエ属であることは確かそうです。

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次は種の検索です。これには次の本の検索表を用いました。

K. Kanmiya, "A Systematic Study of the Japanese Chloropidae (Diptera)", Memoirs of the Entomological Society of Washington No. 11 (1983).

この2項目を調べることで、ナミネアブラキモグリバエ notataであることが分かります。これも写真で見ていきます。

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またまた寸法です。今度は頬の幅と触角第3節の幅の比較です。触角第3節が少し面からずれているのですが、気にしないでこのまま測ってみると、頬の幅は触角第3節の幅の0.22倍になりました。この値が⑪の範囲から少しはずれているのが気になりますが、きっと測り方がまずいのでしょう。もう少し、検討してみます。でも、⑪にはほかの項目もあるので、たぶん、大丈夫だと思われます。

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⑩の前半はこの写真からすぐに分かります。後半は黒矢印で示した翅後領域の黒斑とそのすぐ上の斑紋が離れていることを言っています。⑪は問題ないでしょう。

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触角の幅と長さは先ほども見たのですが、⑪はOKだと思われます。

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これも先ほど見ましたが、単眼三角区内の額内刺毛が2〜3列あるのは黒矢印で示した通りです。三角区の横縁がやや凸というのは赤矢印で示した付近のことをいうのかなと思うのですが、よくは分かりません。ということで、種の検索についてもほとんどすべての項目を確認したので、たぶん、ナミネアブラキモグリバエ Thaumatomyia notataで合っているのではないかと思っています。このハエはヨーロッパからアジアまで広く分布する種で、冬になると多数の個体が集中して越冬することで古くから知られています。また、砂糖大根の害虫として知られるネアブラムシの天敵としても知られています。これらの話についてはいくつか論文を読んだので、今度、紹介します。それから、このハエは腹部末端の形から♀です。

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ついでに顔面の写真も載せておきました。実は、初め、頬や側顔の寸法を面に沿って測るのかなと思って、撮っておいた写真ですが、結局、使いませんでした。
冬になると、決まってマンションに多量の小ハエがやってきます。何だろうと何だろうと思っていたのですが、調べても、キモグリバエ科以上のことが分からず、いつも挫折していました(こちらこちら)。先日、キモグリバエ科の検索の資料をいただいたので、今度こそ名前を突き止めようと思って、ハエのやってくるのを待ち構えていました。

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やってくるのはこんなハエです。一見、綺麗なハエなのですが、これが網戸や窓にいっぱいついて、冬の間は窓がまったく開けられません。

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これは2日前にベランダの天井を写したものですが、数日前はこの数倍の数がいました。最近、暖かいので、あちこちに散らばっていったようです。

検索に移る前に、いつものように各部の名称を調べてみました。それには次の論文の図を参考にしました。

上宮健吉、「キモグリバエ科の属の検索表絵図解説(その1)」、Korasana 83, 165 (2014). 

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まず、体長は2.7mmでした。

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これは胸部背面と側面の名称です。特に、普通のハエと違いはなさそうです。

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頭部では三角形の額三角板(単眼三角区)が顕著です。ついでに、剛毛の名称もつけてみました。vtiとvteは内頭頂刺毛と外頭頂刺毛、ifは額内刺毛、ocは単眼刺毛、orsとoriは上眼縁刺毛と下眼縁刺毛です。目立った刺毛はvtiとvteくらいです。

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次は中胸背板の刺毛です。ntは背側刺毛、paは翅後刺毛、dcは背中刺毛、asとsasは小盾板端刺毛と小盾板亜端刺毛の略称です。ntとpaの辺りはよく分からなかったので、次の論文の中でこの種の候補になっているThaumatomyia notataの記述を参考にしました。

K. Kanmiya, "A Systematic Study of the Japanese Chloropidae (Diptera)", Memoirs of the Entomological Society of Washington No. 11 (1983).

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これも同じ場所を斜め前から撮ったものです。

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最後は翅脈です。説明を読むと、どうやらSc脈が退化しているようです。よくよく見るとその痕跡のようなものが見られます。また、通常Sc脈がC脈と交わる付近にあるsc切目も残っています。また、第2基室(dm)と中室(dm)が分かれていた時の名残りの屈曲点があります。その他、翅後半にあるはずのCu脈やA脈がすべて退化しているのもこの科の特徴です。

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先ほどの二つの論文に載っている検索表を用いて、まずは亜科の検索をしてみました。その結果、キモグリバエ亜科になったのですが、まず、その過程を見ていきたいと思います。

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ほぼ検索順に見ていきますが、まず、①の初めの部分は、眼縁刺毛が短く、すべて後傾しているのが写真から見て取れます。これでOKです。

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つぎは背中剛毛(dc)が黒矢印で示した1本だけあることを確認します。

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この肩瘤についてはちょっと注釈が要りそうです。日本語の原文では「肩瘤に1本の刺毛」となっていますが、肩瘤には目だった刺毛がありません。強いて言えば弱い毛が2本くらいはありそうです。同じ個所の英語の記述を見ると、"humerus with at most 1 seta"となっています。"at most"と書かれているので、ここは「肩瘤にはせいぜい1本の刺毛」としておいた方がよさそうです。英語の論文でThaumatomyia notataの種の記述の欄を見ても、"h hairlike and pale"となっているので、刺毛と言えるほどのものでないことが分かります。いずれにしてもここはOKとします。

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最後は翅脈です。前縁脈はR4+5脈を少し過ぎたところまで伸びていることが、右下に入れた拡大図で分かると思います。これですべての項目を調べたので、このハエはキモグリバエ亜科でよさそうです。

ちょっと長くなったので、属と種の検索は次回に回します。
10月29日に採集したコバチを調べてみました。

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調べたのはこんなコバチです。後脚腿節が太いのでアシブトコバチ科であることは確かでしょう。昨日、各部の名称を調べたので、今回は実際に検索をしてみます。用いた検索表は昨日も利用させていただいたこの論文です。

A. Habu, "A Revision of the Chalcididae (Hymenoptera) of Japan, with Descriptions of Sixteen New Species", 農業技術研究所報告 C. 病理・昆虫 11, 131 (1960). (ここからダウンロードできます)

まずは亜科、族、属の検索です。

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検索をしてみると、Antrocephalus属になったのですが、その検索の過程を示すとこのようになります。逆にこの6項目を調べることで、Antrocephalus属であることが確かめられます。それを写真で見ていきたいと思います。今回はほぼ検索順に見ていきます。

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まず、腹部に明瞭な腹柄がないことはこの写真でも分かります。頭部は昨日も示した通り奇妙な形なのですが、これに対抗する項目を選ぶと、角のある種になるので、それに比べると普通ということになります。

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触角挿入口は複眼下縁レベルよりは明らかに下にあります。これはアカアシブトコバチなどが含まれるBrachymeriinae亜科を除外する項目になっています。また、この個体は♀なので、触角挿入口は頭盾のすぐ上にあります。

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後脚脛節末端が垂直に切られたようになっているというのがこの項目です。これに対抗するのは先ほども出てきたBrachymeriinae亜科で、この部分が斜めに切られています。

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次は翅脈です。これは書かれている通りだと思われます。

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次は顔面にある複眼内縁隆起線に関するものです。④も⑤もこの写真でよく分かります。

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これは先ほどの複眼内縁隆起線がどこまで伸びているのかということなのですが、調べてみると赤矢印辺りまで伸びているようです。先ほどのHabu(1960)のAntrocephalus apicalisの図を見ると、黄矢印で示したあたりから下に黄点線で示したfronto-genal suture(顔面―頬溝)があるようなので、その辺りまで届いていることになります。ついでに、後で出てくるgenotemporal furrowについても同じ図を参考にして黄点線で描いておきました。

これですべての項目を確かめたことになるので、Antrocephalus属であることは確かそうです。次は種の検索です。ここからどう進めるか、かなり迷ってしまいました。というのは、"Information station of Parasitoid wasps"にはAntrocephalus属の日本産の種リストが載っているのですが、全部で7種記録されています。このうち、Habu(1960)には5種しか載っていません。一方、載っていない分を含めて次の論文には4種が載っていました。

T. C. Narendran, "Oriental Chalcididae (Hymenoptera: Chalcidoidea)", Zool. Monograph, Dep. Zool., U. Calicut (1989).(ここからダウンロードできます)

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表にまとめてみると、こんな風になります。従って、この二つの論文を用いることにより日本産7種について調べることができると思われます。それで、まず、Habu(1960)に載っている種の検索表で調べてみます。

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この検索表では全部で5種載っているのですが、実際に検索してみると、⑦b→⑧aとなり、apicalisになります。この種は現在ではdividensのシノニムということになっています。これらの項目を写真で見ていきます。

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小盾板の先端は特に凹んでいないのですが、murakamiiやsatoiiはここが大きく凹んでいたり、二峰性になっているので、これとは明らかに異なります。また、点刻の大きさと間隔はほぼ同程度です。ということで、⑦bはOKとしました。

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⑧bを選ぶと、黄矢印辺りに突起がありますが、これにはありません。また、色に関しては書いてある通りです。ということで、この検索表を用いると、apicalis(=dividens)になります。

次はNarendran(1989)の検索表です。この論文は東洋区の種をすべて扱っているので、かなり数が多いのですが、そのうち、日本産だけを拾うと次のようになります。

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この場合も先ほどと同様に結果的にはdividensになるのですが、検索の経路としては、Ⓐb→Ⓑb→Ⓒbと進んでいきます。

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Ⓐbは先ほど同様、黄矢印の部分に歯がないことを見ます。また、Ⓒbの色はその通りです。

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genotemporal furrowは先ほど示した通りなのですが、後縁に沿ってかなり深いことが分かります。これで、ⒷbもⒸbもOKです。

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Ⓒbの鋭尖形というのはたぶん、大丈夫でしょう。

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最後のこのcarinaについては迷いに迷いました。たぶん、矢印で示した部分だろうなと思ったのですが、はっきりとはしません。一つ前の写真でも同様の弱い隆起線が見えます。いずれも第1背板の長さよりは圧倒的に短いので、たぶん、大丈夫でしょう。どうしてこんなに写真が難しいかというと、前伸腹節と後体節の間の狭い隙間にあって、なおかつ、後体節第1節がまるで鏡みたいにつるつるで、前伸腹節の隆起線が写ってしまい、どれが本物かよく分からなかったためです。

ということで、紆余曲折はありましたが、一応、こちらもdividensになりました。たぶん、アシアカツヤアシブトコバチ Antrocephalus dividensで大丈夫だろうと思われます。虫を一匹ずつをこんな風に検索表で調べていくのは相当に大変ですが、それでも、細かく調べることでいろいろと新しいことが分かるので、やっていて結構楽しいです。これからも続けていこうと思います。
10月29日にマンションの廊下でこんなハチを見つけました。

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後脚腿節が太いので、たぶん、アシブトコバチの仲間ですね。今回はちゃんと調べてみたいと思って採集しました。この2,3日調べているのですが、Antrocephalus属であることは確かで、たぶん、アシアカツヤアシブトコバチA. dividensだろうと思っているのですが、種の検索で少し手こずっています。それで、まず、各部の名称を調べてみようと思って、何枚か顕微鏡写真を撮り、次の文献に載っている図を使って各部に名前をつけてみました。

A. Habu, "A Revision of the Chalcididae (Hymenoptera) of Japan, with Descriptions of Sixteen New Species", 農業技術研究所報告 C. 病理・昆虫 11, 131 (1960). (ここからダウンロードできます)
T. C. Narendran, "Oriental Chalcididae (Hymenoptera: Chalcidoidea)", Zool. Monograph, Dep. Zool., U. Calicut (1989).(ここからダウンロードできます)

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まずは横から撮った写真です。体長を測ってみると、5.2mmになりました。

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ともかく変わった顔をしています。顔の中央が凹んでいて、その周辺を取り巻くように隆起線が走っています。中央の凹んでいる部分(scrobe cavity)は触角の柄節が収まる場所になっています。複眼内縁隆起線というのは複眼の内縁に沿って存在する隆起線ですが、この個体では上側の単眼の一つの後ろで左右の隆起線がつながっています。なお、preorbital carinaeの和訳にはいつも利用させていただいている"Information station of Parasitoid wasps"の「形態用語辞典」の中のpreocular carinaの訳を当てました。

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これは上から撮った写真です。3つある単眼を分けるように間を隆起線が走っています。

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ちょっと倍率を上げてみました。それにしても不思議な形です。

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これは口のあたりの拡大です。触角挿入口は頭盾のすぐ上にあります。こんなところがAntrocephalus属の特徴です。

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これは頭部を斜め横から見た写真です。検索に出てくるgenotemporal furrowがよく分からなかったのですが、たぶん、矢印で示した溝ではないかと思っています。

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これはその溝を拡大したものです。

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触角も写してみました。触角は見かけ上11節なのですが、Habu氏の論文を読むと、先端は3節に分かれて、全部では13節になるとのことです。ただし、先端3節の区切りは多少不明瞭ということです。触角第3節は幅の狭い環状になるはずですが、この個体ではかなり長くなっています。鞭節は通常、柄節と梗節を除いた部分を指すのですが、文献を見ると、環状節を除いているものもあり、はっきりとはしません。

追記2018/11/25:触角の先端を拡大してみました。

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やはりよく分かりませんね)(追記2018/11/26:flagellumがどこを指すのかよく分からなくなりました。Habu(1960)とNarendran,(1989)の図はいずれもring segmentを除いた後の部分を指しています。Insects and Arachnids part 12では本文中には第3節以降となっていますが、図ではring segmentを除いていました

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これは胸部背面です。notaulusはHabu氏の論文ではparapsidal furrowとなっているのですが、たぶん、notaulusの方が正しいのではないかと思います。これについては以前、セイボウで調べたことがあります。

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これは胸部側面です。acetabulumはHabu氏の論文に載っていたのですが、何と訳したらよいのかよく分かりませんでした。

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これは前翅です。コバチ特有の脈の少ない翅です。

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後脚を写してみました。腿節はこんなに膨れていますが、脛節との付け根近くに黒い歯が見られました。

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その部分の拡大です。毛の間から黒い歯が見えています。たぶん、この歯で脛節が滑らないように固定し、脛節にひずみを与え、その弾性力を使って飛躍するのではと思いました。

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これは前伸腹節を写したものです。B、C、Dの記号はHabu氏の論文に載っていた隆起線を示す記号です。

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これは後体節第1節背板に見られる隆起線(carinae)を写そうとしたものですが、何度写してもこの程度の写真しか得られません。この隆起線の長さが検索に出てくるのですが、肉眼で見ても見えません。腹部をはずしてしまえばよいのですけどねぇ。

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これは後体節を斜め上から撮ったものです。論文の図を見ながら、節に順番に番号を振ってみました。第7+8節をepipygiumというそうです。

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次いで、これは腹面からの写真です。腹板にも番号を振ってみたのですが、第1節と第2節辺りはよく分かりません。ただ、長い部分が第5節(hypopygium)らしいことが分かるので、逆に番号を振ったので、違っているかもしれません。

これで、ほとんどの部分の名称が分かりました。ただ、genotemporal furrowや後体節第1節背板の隆起線などのように、よく分からない部分があって、それらが検索表に出てくるので、まだまだこれからが大変です。

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