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そばにいる翔を必要以上に意識してしまって、胸の鼓動が速まる。
そっと目を向ければ、落ち着いた様子で歩いている翔の姿。
そわそわして落ち着かない海斗とは、対照的だ。
まったく、自分のことなど気にも留めてくれていない……そんな風にさえ見える。
やっぱり俺のことなんて、なんとも思ってくれていないのか?
そう思うと、高ぶっていた気分も急激に落ち込んでしまう。
「海斗くんは、好きな人はいるのかい?」
歩き出してから無言だった2人だったけれど、最初に口を開いたのは翔だった。
「い、いないよ」
沈黙を破った翔の問いかけに、海斗はぶるぶると左右に首を振った。
好きな人は、目の前にいるっていうのに……
「そっかぁ……早く好きな人見つかるといいよな」
「う、うん……」
暗くうなずきながら、海斗はがっくりと肩を落とす。
好きな人から「好きな人見つかるといいよね」みたいなことを言われるのは、自分のことを恋愛の対象にされていないみたいで悲しくなる。
「そう、落ち込むなよ。いつか好きな人が見つかるって」
元気がなくなった海斗の様子に、思い違いをした翔は明るく笑いながら「がんばれよ」と肩を叩く。
だから、俺は翔くんが好きなんだって……
心の中で訴えるが、翔に通じるわけもなく。
海斗は、結局自分の想いを告げないまま駅についてしまった。
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