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熱く濃厚だった病室の空気が薄まるころ、翔は服を着て帰る身支度を整えていた。
「翔、今日はいろいろ迷惑をかけて……ホントにごめん」
「そんなこと、気にしなくていい。海斗が元気になってくれれば、俺はそれだけで嬉しいんだ……」
翔は、先ほどの淫欲にまみれた顔とは打って変わって、いつものさわやかな表情で答える。
「じゃ、俺は帰るから……」
そう言って病室のドアノブに手をかけたけれど、ふっと思い出したように海斗のほうへ向き直って、意地悪な笑みを浮かべた。
「お前のイキ顔……いい顔だったぞ」と。
憎まれ口をたたけるほど、平常心を取り戻した翔は、笑いながらバタンとドアを閉めて部屋を出て行ってしまった。
「もうッ、翔ってばッ」
手元にある枕を投げつけてやろうかと思ったけれど、それが翔らしい挨拶だと考えれば、笑って許せる。
ドアが閉まり、明るかった病室がしんと静まり返ったけれど、海斗は今日初めて経験した情事のことが頭から離れず、興奮が止むことはなかった。
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