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「俺は、いつ日本に戻ってこられるのか分からないんだ。ここは、別れるしか……」
翔が言い終わらないうちに、海斗は口を挟んだ。
「い、いやだよ。翔と別れるなんて……お、俺、翔が遠くに行ってもキライなんかならないよ。だから……ね、別れるなんて言わないでッ」
「仕方ないんだ。俺がドイツに行っているあいだは、ずっと会えなくなるんだぞ。お互い好き同士でも、ずっと会わないと自然と気持ちも離れるものなんだ。ここできっぱり別れるほうが、2人のためだ」
「そ、そんなこと……」
せっかく、翔と仲良くなれたのに。俺の初めての恋人……との別れ。
絶対受け入れることのできない現実に、気持ちの整理つかない。
無意識のうちに、一歩一歩と後ずさりしてしまった。
「翔は、翔は、それでいいの?ね、それでいいの?」
海斗に肩を揺すられながら、翔は力なく頭を垂れた。
「仕方がない……」
目の前が、真っ暗になった。
ぐるぐると目が回り、頭に手をあてる。
翔は、すっと立ち上がり、倒れこみそうになっている海斗の両肩を強く掴んだ。
「しっかりするんだ。俺だって、海斗のことは好きだし離れたくはない。でも、これはしょうがないことなんだ。ドイツは遠い。学生の俺らには、頻繁に会うことは難しいだろう。ここで、モヤモヤしていつまでも想いを引きずっているよりも、きっぱりと別れたほうがいいに決まっている。な、そうだろ?」
翔は、真面目な顔で、さとすように話す。
ぎゅっと唇を噛み、なにも言わずうつむいて、翔の話しを聞いていた。
こんなに早く、別れることになるなんて思いもしなかった。
そのとき、始業のチャイムがなった。
「授業が始まる。海斗は、教室へ戻ったほうがいい」
気力なく、ぼぅと立ちすんでいる海斗に、翔は促がす。
海斗は、ふらふらとふらつきながら自分の教室へ戻った。
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