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そんなに見られると、本当に心のうちを見透かれそうで、気持ちに動揺がはしる。
心臓の鼓動が少し速まり、顔がほんのりと熱い。
そんな海斗のわずかな心境の変化を読み取ったのか、孝介はニヤリといやらしい笑みを浮かべた。
「もしかしてさ……恋の悩みか?」
「え!」
スバリ自分の心のうちを言い当てられて一瞬驚いたが、すぐに恥ずかしい感情が湧きだして、ボッと顔が熱くなった。
小さく背中をかがめて、赤くなった顔をうつむかせている海斗の姿が孝介にはおもしろくてたまらないようで、海斗の背中をパンパンと叩きながら高い声をだした。
「図星だったみたいだな。へー、海斗が恋の病にかかっているとはなぁ。で、相手は誰よ?なぁいいだろ?教えてくれよ。ほかの連中には、黙っててやるからさ」
「シッ。孝介のバカ。声が大きいってばッ」
「じゃ、誰か教えてくれよ」
今度は、耳元で声を潜めて尋ねてきた孝介に、海斗は観念して力なく答える。
「…翔……」
「…ん?」
「隣りのクラスの、佐伯翔のことだよ。実は俺たち、付き合っているんだけど……その……あの……もうすぐ、翔が引越しすることになって……」
ボソボソと途切れ途切れになりがちな海斗の話しに、孝介はうなずきながら真剣に聞いている。
「それで……翔が別れようと言い出して……なんでも、二人会えなくなっちゃうから、きっぱりと別れたほうがいいって……俺……それがイヤで……」
膝上に置いた手をギュッと握り締める。
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