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しばらく、海斗の話しを聞いていた孝介だったけれど、何か思いたったように、突然口を開いた。
「よし、俺が翔に話しをつけといてやるよ。海斗を悲しませるヤツは俺が許さんッ。今から、翔とやらのところに行くぜ」
そう言って、早急に席を離れる孝介に、海斗も慌てて立ち上がる。
「ちょ、ちょっと待ってよぉ。なに話しをするつもり?孝介は、ヘンなことしなくていいから」
まだ、食べ残しがある皿をトレイごと食堂の返却口に置いて、急ぎ足で孝介を追いかける。
「俺がなんとか話しをつけて、別れないようにしてやるから……心配すんなって」
「心配するよぉ。孝介は、そんなことしなくてもいいから。俺が、我慢すればいいだけだし……」
「我慢する必要はないだろッ。俺が、翔をぶっ飛ばしてやるッ」
「わわっ、ちょっとやめろって」
すっかり熱くなっている孝介をなんとか引きとめようと腕を引っ張るけれど、ぐいぐいと前に進む孝介の足を止めることができない。
結局、そのまま引きずられるように、翔のクラスに着いてしまった。
「おい、翔はどこだぁ?」
翔のクラスに着くといなや、孝介は教室内に響き渡る声で叫ぶ。
声に圧された生徒たちの手が止まり、しんと静まり返った教室内で、何事か?とでもいうようにお互いの顔を見合わせている。
「……俺だ」
孝介と海斗の前に現れたのは……翔だった。首にぶら下げた、シルバーのネックレスが日に焼けた肌に映えている。
「一体……どうしたというんだ、海斗?」
「いや、その……孝介が……翔と話ししたいって……」
翔に訝しげに尋ねられて、海斗は口ごもってしまう。
「孝介……?」
翔が、そんな人物は知らないと言いたげに眉を潜めると、孝介が声を荒げる。
「俺だよ、俺が孝介だ」
「俺に何の用だ?」
「海斗と別れるんだってなッ。ちったぁ、海斗のことも考えてやれよ。遠く行っても、連絡ぐらいは取れるだろ?」
「そんなこと、お前に関係ない。これは、海斗と俺の二人の問題だ」
「なんだとぉ」
冷静さを失なった孝介は、今にも突っかかりそうな勢いで翔を睨んでいるが、睨まれた本人は気迫にひるむことなく、いたって平然としている。
「っていうか、なんでお前がそんなに怒ってんだ?」
「うっ……!」
翔に訊かれ、孝介が固まった。
たしかに、翔の言うとおりだ。なぜ俺たちのことに、首を突っ込んでいるんだ?
不思議に思い、海斗は言葉を失なって固くなっている孝介の顔を見る。
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