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「い、いや、それはだな……同じクラスの仲間だし、その……やっぱし、そういうのは見過ごせないわけで……」
翔は、しどろもどろに話す孝介にフッとわずかに笑みをこぼしただけで、なにも言わない。
そして、おもむろに首から下げているネックレスをはずし、海斗の前に差し出した。
「これを、受け取ってくれないか?」
「え?」
はずされたばかりのシルバーのネックレスを前に、海斗は受け取っていいものかどうか分からず戸惑ってしまった。
「これは、昔、母親に買ってもらったものなんだ。俺の宝物さ。今まで、大事に身につけていた物だけど、これを、ぜひ海斗に受け取ってほしいんだ。頼む……」
「そんな大事な物を俺に……どうして?」
「離れても、これを見て、俺を思い出してほしいんだ。俺は今でも海斗を愛している。海斗は、これから新しく恋人ができるだろう。でも、わずかなあいだの恋人同士だった俺を……これを見て、たまに思い出してほしいんだ」
「翔……」
翔のこと……忘れるわけないじゃん。
目頭がじんと熱くなる。
感極まり、震える両手を差し出して、翔の手からこぼれ落ちるネックレスを手のひらで受けとめて、輝きを放っているネックレスをまじまじと見つめた。
「ありがとう。大事にするよ」
潤んだ目で見上げると、少し寂しげな笑みを浮かべた翔と目が合い――それが、たまらなく切なくて、思わず翔の首筋に抱きついた。
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