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「く……海斗ッ。イ、イクぞ」
低いうめき声をあげると同時に放出された翔の体液が、自分の体内を満たしていく。
そんな感覚を忘れる間も無く、海斗は帰途についていた。
燃えるような激しい行為を終えたばかりだけど、学校の体育館裏では甘い余韻に浸れる余裕はない。
せいぜい今できることは、並んで歩く翔の手をつなぐことぐらいか。
海斗は翔の手をつなごうと、そっと手を差し伸べる。
そのときだった。
「おーい、海斗ぉーッ」
背後から自分を呼ぶ声が聞こえ、思わずビクッとしてしまって翔の肌に触れることもなく、伸ばしていた手をひっこめる。
振り返ると、孝介がこちらに向かって走ってくる姿が見えた。
「はぁ、はぁ……お前ら、どこ行ってたんだよ?探したんだぜ」
息をきらして尋ねてきた孝介の言葉に、ドキリと緊張がはしり翔と顔を見合わせる。
さっきまで、翔と愛し合っていたことが頭に浮かび、それがなんだか気まずくて黙り込んでしまう。
翔と性行為に及んでいたことは、口が裂けても言えるわけがない。
「いや、海斗と一緒に学校の屋上で話しをしてたんだ」
さすが、冷静な翔だ。
行為を終えたばかりだというのに動じることなく、平然とした態度でうまくごまかしている。
「そ、そうなのか?屋上とは、気がつかなかったな。今度は、そちらも探してみることにするぜぃ」
「あ、ああ」
疑りなく信じきっている孝介に、翔はあいまいにうなずく。
「それより……お前、俺たちに何か用があるのか?」
翔が眉をひそめて孝介に尋ねる。その口調はなんだか冷たい。
なんとなく、孝介に対して邪険に扱っているような……気がする
そんな翔の様子に、孝介は気がつかないのか、それとも、もともとあっけらかんとした性格のせいなのか、どちらかわからないけれど、気にとめる様子もなく、相変わらずニコニコと明るく振る舞っている。
「それはだな……3人で一緒に帰ろうと思ってさ。お前ら2人、いつも一緒に帰っているだろ?俺も仲間に入れてくれよ。な、いいだろ」
孝介は、拝むようにして手をすり合わせ頼み込むが、翔のほうはムスッとした顔で口を固く閉ざしている。
何度も頭を下げていた孝介だったけれど、ズボンポケットに手を入れ、無愛想な顔で突っ立ている翔の姿を見て、無理だと悟ったのか、今度は海斗に視線を移してニコリと笑みを送る。
なんとなく、意味深な笑み。
たぶん、自分に承諾を求めている笑みだろうけど、直感的に、それ以上の意味を含んでいると――そう感じて、胸が大きく波を打った。
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