美男子に憧れて〜☆萌えガク

[ リスト ]

帰り道、隣りにいる孝介のことを妙に意識してしまって、普段のように接することができなかった。

夕方の人通りが少なくなった住宅街は、よりいっそう二人を物寂しげにさせる。

「な、なに緊張してんだよ」

そう自分に声をかける孝介だけど、その口調だってどことなく強張っている。

孝介は、先ほどのことは気にしているものの、ずっと沈黙が続いている、今の気まずい雰囲気をなんとか変えようとしているらしい。

「緊張なんてしてないよ」

「そうか」

「うん……」

「……」

なんだか会話が続かなくて、重い空気が肩にのしかかる。

「あッ、そうだ。あのさ、さっきの話だけどさ……」

孝介が、今、思いたったように口を開いたけれど、それがなんともわざとらしい。

「なに?」

「翔がドイツに行ったあと……海斗はどうすんだよ。恋人も作らないで、独りでいるつもりなのか?」

「わからない。ただ言えることは、今の恋人は翔だけだということだよ。それ以外に、恋人を作る気はしないんだ」

孝介はふっと息をつき、静かな笑みを浮かべる。

「一途なんだな……」

「ああ」

やがて、二人はT字路のところまでやってきた。ここから先は、別々の方向へ向かって帰途につくことになる。

「ここで、お別れだな。…じゃな」

名残惜しそうに見つめる孝介の目が、自分の気持ちを波立たせる。

いつもの陽気な様子はなく、初めて自分の前で見せるしんみりとした表情の孝介に、気持ちがほんの少し傾いてしまう。

ごく自然な茶髪に、意外にもさわやかな孝介の顔。自分に熱い視線をおくる瞳は、どこまでも優しい。

それに人懐っこくて親しみやすく、孝介の前では自然体でいられる。

こんなこと、今まで意識したことがなかった。それどころか、胸のなかでジワリと甘酸っぱいものが染み出している。

それは、恋心に近いもの……

海斗は、慌ててブルブルと頭を振り、すぐに打ち消した。

なに考えているんだ、俺は。俺には、翔がいるじゃないかッ。

なんだか、翔に悪いことをしたという後ろめたい気持ちになってしまった。

「う、うん。…さ、さよなら」

顔の筋肉を強張らせ、動揺が表れた口調であいさつを交わした海斗は、孝介と別れて家路についた。

□□
□□□
□□□□

これまでのお話しの一覧を見るには、各お話しにある「トラックバック先の記事」から一度1話にお戻りください。

1話にある「トラックバックされた記事」をみていただくと、各お話しの一覧がわかるようになっています。よろしかったらご利用ください。

「美男子に憧れて〜☆萌えガク」書庫の記事一覧


.
検索 検索
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

過去の記事一覧

ふつか
ふつか
女性 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
友だち(23)
  • かわうそ
  • ラウラたん
  • falcon_5466@鷹
  • 釣り天国ジュニア&キョロジイ
  • ほのこと
  • Masanko
友だち一覧

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事