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翔のあとについて出国ゲートへ向かうが、三人は終始言葉少なげだった。
ゲート前に着くと、上方に掲げてある大きな搭乗時刻の案内板が目に入り、じきに翔と離ればなれになってしまうという現実を改めて思い知らされる。
翔と一緒にいられるのはここまでとなり、見送りもここで最後となる。
ずらずらと各国の行き先が表示されている案内板の中から、目で追ってドイツ行きを見つける。
ドイツ行き10:30。自分の時計と照らしてみると、あと30分で日本を発つことになる。
この便で日本を発つんだ……
「ここでお別れだ」
翔は、名残惜しそうにたたずんでいる海斗を抱き寄せてハグをして、耳元で「愛してる……」とささやく。それが、ますます感情を高ぶらせて、目頭がじんと熱くする。
「じゃあな、海斗。元気でいろよ」
身体を離した翔が、まるで子供の相手をしているかのように海斗の頭を撫でる。
「うん、翔も元気で……」
翔に、優しい眼差しで見つめられ、目元に溜まった涙を服の袖で拭い取った。
「孝介にも、いろいろ世話になったな。さっき、嫌いなやつと言ったけれど、そんなにヤなやつと思ってないから……気にすんな」
「そんなこと、気にしてねぇから。そっちこそ、くだらないことで気にすんな」
「相変わらず口が悪いな。まあ、いい。お前も元気でな」
「ああ」
翔と孝介は、フッとかすかに笑みを浮かべ固く握手をする。お互い嫌っているように見えるけれど、実際は仲のよい親友だ。
「じゃあな、二人とも……さよならだ……」
最後に、翔は二人に手を振りながらゲートへ向かって歩いていった。
海斗と孝介の二人は、翔の背中が見えなくなるまで、その場を離れることはなかった。
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