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校門の前に一台の黒塗りの車が止まった。
高級車らしく威厳のある雰囲気は、登校途中の生徒たちの注目を浴びている。とはいっても、これはいつもの朝の光景だ。
後ろの左ドアが開き、片足が一歩地面を踏みしめる。ドアのあいだからひょいと顔を出したのは……裕也だった。
一樹の組の人間が運転する車で、学校まで送ってもらったのだ。一樹と付き合ってから、毎日送り迎えしてもらうことが日課となっている。
裕也が降りてドアを閉めると、車は静かなエンジン音を鳴らして帰って行った。
「ふぅ……」
車が去ったあともぼぅと立ち尽くし、気の抜けた息を吐く。
昨日のパーティーの疲れが残っていて、身体がだるい。それに、豪華なパーティーが終わってからも興奮が収まらず、なかなか寝つくことができなかった。
大きなあくびをしながら校門をくぐり、重い足取りで教室へ向かう。
「ん?あれは……?」
前方に、同じクラスの西田と斉藤が体育館裏へ向かって歩いていくのが見えた。
先を歩く西田に、斉藤が顔をうつむかせてあとに続く。まるで、西田が斉藤を従わせているみたいだ。
西田は体格がよく性格は粗雑、どちらかというと不良の部類に入るほうだ。
対して背の低い男子生徒――斉藤拓海(さいとう たくみ)は、おとなしくて背も低い。女の子のようなかわいらしい顔の持ち主で、軽く茶色に染めた髪が、よりいっそう幼い印象を与えている。
性格も体も相反する二人が、どうして体育館裏へ……?
不穏な気持ちが襲う。
裕也は、少し離れて尾行することにした。
「おい、金持ってきたんだろうな?」
壁の向こう側で、すごみのある西田の低い声が聞こえてくる。
裕也は、体育館の角の壁にべったりと張り付き、わずかに顔を出して二人の様子を伺っていた。
これって……もしかして、いじめ!?
にわかに心臓の脈が速まる。
自分のクラスにいじめがあるという現実を突きつけられて、動揺がはしる。西田の普段の素行の悪さは知っていたが、こんな身近なところで……自分たちのクラスのなかでいじめがあるとは思いもしなかった。
「ご、ごめんなさい……。お、お金……持ってきてないんだ……」
拓海は、蚊の鳴くような小さい声で答える。怯えているせいなのか、小さい身体をさらに縮こめている。
壁際から覗いている裕也は、どうすればいいのか思いあぐねていた。
もちろん、このまま二人を見過ごすことはできない。しかし、まともに正面から向かっていっても、西田に太刀打ちできる腕力はない。
なすすべもなく、二人の様子を注視する。
「なんだぁ!金を持ってこいって言っただろうがッ!」
西田は声を荒げ大きくこぶしを振りかざし、今まさに拓海に殴りかかろうとした。
・+☆+・
8/50話
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次々と新キャラが登場して面白くなってきましたね!一樹さんの元カレとか(どっちが攻だったんでしょう??て、すみません!)今回は、不良といじめられっこ。萌えです〜☆
私なんかが応援なんて、おこがましいですが、いつも更新を楽しみにしてますので、頑張って下さい☆
2009/4/14(火) 午後 10:16 [ - ]
かいるさま〜☆
いつもコメをいただきありがとうございます。
今回も特に、つたない文章でした。平日は、時間がなくて小説も手抜きになりがちです。…と言い訳をいいつつ、ごめんなさいです。
しばらく伏線が続きます。
皆さまに楽しんでもらえるように、がんばっていきますので、よろしくお願いします。
2009/4/15(水) 午前 8:42