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権力と金。人の欲望が渦巻き、よどんだ空気が人の心を荒廃させている。
暴力が支配をして、強者は力ずくで奪い、弱者は骨の髄まで搾り取られる弱肉強食の世界――それがやくざの世界らしい。
今まで知らなかった裏の世界を聞かされて、ぞっと寒気がした。
最初は、一樹の話しに耳を傾けていた裕也だったけれど、あまりにもどろどろとした汚い話しに耐えきれなくなってしまった。
「ふぅ」
ベッドの上で仰向けになり、ヘドが出そうなのをこらえて息を漏らす。
吐き気がして、気晴らしのつもりで窓の外へと目をやると、透き通った青い空に恵まれた晴天の、暖かい陽の光が眩しく窓に差しこんでいることに気がついた。
今日は、何度も外の景色を見ていたのに……。
思えば、窓のほうに顔は向けていたけれど、考え事をしていたために外の景色は見ていなかったかもしれない。
窓の外は、平穏な世界だった。
ぽかぽか陽気のなかで、蝶がひらひらと頼りなげに舞い、花壇の花は色とりどりに花を咲かせていて、病室から見える景色は、のどかで平和そのもの。
「ねぇ、一樹。少し窓を開けてみて」
息苦しい病室の空気を入れ替えたくて、一樹に窓を開けてもらう。
そよ風が室内に入りこみ、さらさらと髪の毛が揺れる。
と同時に、窓際にある小さな棚の上に置いてあったメモ書き用のノートがそよ風にあおられて、パラパラとめくれあがった。
裏、表、裏、表……。
無意識のうちに、一枚一枚めくれるたびにつぶやいてしまう。
今までの穏やかな状況が一転し、薄い紙切れがそよ風にあおられてめくれるように、ちょっとしたきっかけで裏の世界の住人に、命を狙われるとは。
そもそも発端は、パーティーで玲二と顔を合わせてしまったこと。
セレブなパーティーで浮かれていた自分か悔やまれる。
あのとき、パーティーに出ていなければ玲二に狙われることもなかったはず。
一樹が病室に入ってきたときと同じように、頭の中で事故に遭ったときの映像を思い出しながら窓の外を眺めていた。
あの恐怖は……事故に見せかけて、自分の命が狙われたという恐怖は当分忘れられそうもないな……。
裕也は、そう心の中でつぶやいた。
・+☆+・
17/50話
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「ぽかぽか陽気のなかで、蝶がひらひらと頼りなげに舞い、花壇の花は色とりどりに花を咲かせていて、病室から見える景色は、のどかで平和そのもの。」のぽかぽか、ひらひら、とりどりの合わせ方がすごくいいです。語感がいいです。すてきです。
2009/4/28(火) 午後 11:50 [ 1 ]
89さま☆
語感がいいなんて、とんでもないですよぉ〜☆全体的にみれば、まだまだです。
もっと、上達するようにがんばります。
だいたい、誤字脱字が多すぎですよね。
出席のつもりが出世になっているし…。
ごめんなさい。
あとで、直しておきます。
今、お出かけ中なので…。
2009/4/29(水) 午後 4:27