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いつの間に寝てしまったのだろうか。
なにか物音がして目を覚ますと、すでに辺りは暗闇に包まれていた。
天井に設置してある常夜灯のわずかな光りと、窓から差しこむ月明かりだけが室内を照らしている。
寝起きの、はっきりとしないぼやけた目で、薄暗い室内を見渡す。
すぐに、裕也ははっとして自分の身体が急激に冷めていくのを感じた。
部屋の隅には、黒い人影。
「起こして悪かったな。ふふッ」
不気味な男の笑いとカツカツという固い足音が、ゆっくりとこちらに近づいてくるのがわかる。
足音は、裕也のベッド脇で立ち止った。
「よう、坊や。見舞いにきてやったぜ」
裕也はおそるおそる、ドスの利いた声の持ち主のほうへ視線を移すと、最初に目に入ったのはきちんと折り目のはいった高級そうなスーツだった。
腿のあたりから少しずつ、少しずつと視線を上方へ移していく。そのあいだもずっと、あの男の顔が頭に浮かんでいる。
そう、玲二の顔だ。
普段、神様なんて信じているわけでもなかったけれど、今は祈られずにはいられなかった。
神様お願いします。あの男じゃありませんように……。
しかし、祈りも空しく、男の顔まで視線を移した裕也は愕然とした。
月明かりに照らされていたのは、口もとを歪めて笑っている、まぎれもない玲二の顔だった。
「ひッ!」
恐怖で顔がひきつり、血の気が急激に引いて卒倒しそうになる。
すぐさま、張り裂けんばかりの大声で助けを呼ぼうと口を開けた。が、
「たす……んんんぐぐ」
「おっと、声を出すんじゃねぇぞッ」
助けを呼ぼうとしたとき、玲二の手によって言葉を遮られてしまった。
口と鼻を塞がれて、おまけに顔の向きを自由に動かすこともできなくなって、視線だけ動かして玲二を見る。
「静かにしろ。静かにしないと殺すからな」
顔を近づけた玲二が、耳もとでささやいた。
口と鼻を塞がれたせいで息苦しい。
裕也はふぅふぅと懸命に呼吸しながら、玲二の脅迫に大きく目を見開き、こくこくとうなずく。
呼吸ができない。このままだと、死んでしまう。
裕也は、玲二がこのまま自分の口と鼻を塞いで窒息死させるつもりなのかと考えていたけれど、それは間違いだということを、このあとすぐに知ることになる。
殺すには、もっと確実なもの……。
玲二は片方の手で、上着の中からなにかを取り出した。
上着の内ポケットから出てきたのは、鈍い黒光りを放つ拳銃だった。
・+☆+・
19/50話
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うわ〜><怖いです!玲二さん!!
ホラーみたいな描写で凄く迫力ありますね!
裕也くん、大ピンチ〜!早く続きが読みたいです!!
2009/5/2(土) 午後 2:50 [ - ]
かいるさま〜☆
裕也は、これから大変な目にあってしまいます。
裕也は玲二にむりやり……されちゃいます(笑)
なんだか場面のわりには、文章のリズム感が悪い気がしますね。気をつけます。
ありがとうございました。
2009/5/3(日) 午後 0:36