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事故の怪我はなかったけれど、一応精密検査をすることになり退院したのは二日後だった。
病院の正面玄関を出ると、スーツを着た一樹が迎えに来てくれていた。
「迎えに来てやったぜ。どうだ、身体の調子は?」
「うん、元気さ。ただ、入院しているとき、寝てばかりだったから身体がなまっちゃっているよ」
裕也は、二日ぶりの外の空気を大きく吸って、硬くなった肩をほぐすように手をあてた。
一樹が笑った。
「そうか。じゃ、久々に新宿で遊ぶか?なまった身体をほぐすには、ちょうどいいぜ」
一樹の誘いに裕也はにこやかな顔でこくんとうなずき、近くに停めてあったBMWに乗り込んだ。
久々の新宿。
大勢の人がせわしなく行き交い、どこからか押し寄せてきた自動車が渋滞を引き起こしている。それに騒がしい音。
いつもの見慣れた景色なのに、今日はなんだか違和感を覚える。入院していた二日間に、あまりにもショッキングなことを体験してしまったせいか平和な日常の光景が嘘くさく思えた。
一樹の運転する車は地下駐車場に入り、適当な空いたスペースを見つけるとそこに車をいれた。
上の階には、フランス料理の高級レストランがある。
「まずは、腹ごしらえだ」
車から降りて、一樹はさりげなく裕也の肩を抱きながらエレベーターの方向へ向かう。
二日ぶりに、一樹の温かい手を肩に感じた裕也は、嬉しくなって顔をほころばせた。再び、二人の幸せな生活に戻れることを一途に願う。
あのときの……玲二のことみたいな経験は、もう二度としたくない。
頭のなかで玲二の歪んだ顔が一瞬映ったが、慌てて記憶から消し去ろうと頭をブルブルと振り、揺れた気持ちを落ち着かせるつもりで一樹の身体に身を寄せた。
しかし、すぐに邪魔がはいってしまった。タイミング悪く、一樹のスーツの内ポケットから携帯電話のバイブが響いたのだ。
ここの地下は、携帯電話の電波がはいるらしい。
裕也は少し残念な顔して、渋々密着させていた身体を離した。
「…一樹だ」
電話に出た一樹の表情が曇った。
退院して早々、なにかいやな予感がする。
なにを話ししているのか判らないけれど、良い話しではなさそうだ。
胸騒ぎがするなか、あの玲二の顔が再び思い浮かんだ。
・+☆+・
24/50話
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入院中の危機一髪は一樹さんに助けてもらって、ひと安心だったけど、まだまだひと波乱ありそうですね〜〜。何の電話だろ?気になる〜☆
に、しても新宿かあ…。私には夢の世界…。
2009/5/10(日) 午後 8:59 [ - ]
まだまだ波乱は続くんですね。。。
2009/5/10(日) 午後 10:24 [ 1 ]
かいるさま〜☆
コメありがとうございます。
そうなんです、まだまだ荒れるんです。
ちょっとやりすぎたかな。
でも、このまま小説を書いてみようと思います。
89さま〜☆
コメありがとうございます。
はい。また裕也、一樹、玲二の三人を含めた波乱がおきます。
わたしの妄想をうまく文章にできたらいいんですけど…
89さまの小説も続きを期待してます♪
2009/5/10(日) 午後 11:51