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「裕也、わるい。急用ができてしまった。これからすぐに、組の事務所に戻らなくてはいけないんだ。食事は今度にしてくれないか?」
「いったい、どうしたっていうのさ?」
一樹は、警戒するように辺りを見渡してから小さく口を開いた。
「組の……上層部の金が……なくなったそうだ。それも、その金は、俺の事務所の口座に振り込まれたという情報が流れているらしいんだ」
小さい声ながらも、重く暗い声だった。
「それで、なんで一樹に電話があったの?」
「…事務所の金を管理しているのは、この俺だ」
一樹に、動揺している気持ちがうかがえる。自分の顔を見つめている目は揺れ動き、俺の姿など目にはいっていないようだ。
「一樹が使っちゃったの?」
事態が飲み込めなくて、間の抜けたことを訊いてしまった。一樹がそんなことするわけがない。
「違うッ。俺にも、どうして事務所の口座に金が振り込まれたのか分からないだッ。とにかくだ、組に戻って事の真意を確かめなくてはならない」
一樹は、のんびりとした裕也の様子に苛立ったのか、声を少し荒げた。
「ご、ごめん」
一樹の、普段聞き慣れない険しい口調に驚いて、反射的に謝ってしまった。それと同時に、一樹の気持ちにゆとりがなくなっていることに気づく。
「いや、そのすまない、裕也。思わず声を荒げてしまって……」
言ってしまってから、はっとした一樹は慌てて謝った。
やくざ社会のルールは、厳しいと聞いている。
そうでもしないと、組織にいるごろつき共をまとめることができないからだと一樹が言っていた。
金額は分からないけれど、上層部から消えた金が本当に一樹の組の口座に振り込まれていたのなら、組になんらかのペナルティを科せられるのかもしれない。そして、お金を管理している一樹には厳しい処罰があるのだろうか?
一樹の顔には、滅多にみせない焦りの色が浮かんでいて、次第に事の重大さを認識する裕也だった。
・+☆+・
25/50話
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思いもよらない展開です。ハラハラします。
2009/5/12(火) 午後 10:19 [ 1 ]
やっぱり悪い知らせだったんだ〜><
一樹さん、大丈夫かな〜?
しかし…裕也くんの「使っちゃったの?」って切り返し…結構天然なんですね、可愛い☆
今回で25話、ちょうど半分ですね。
これから先の展開も楽しみにしています♪
2009/5/12(火) 午後 11:51 [ - ]
89さま〜☆
コメありがとございます。
一樹と裕也の二人は、執拗な玲二の嫌がらせに振り回されていますね。
かいるさま〜☆
読んでくれてうれしいです♪
そうですね、半分進みました。
ちょっとっていうか、かなりぐだぐだ感なお話になってしまいました。
コメいただき、ありがとうございます。
2009/5/14(木) 午前 1:00