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5階のフロア全部を借り切っているようで、エレベーターを出てすぐにドアがあった。
ドアについている小窓には、太い明朝体で義竜興業という文字が書かれている。社名からは、どのような仕事をしている会社なのか分からない。
「いったい、どうしたっていうんだ?」
ドアを開けるなり、一樹が声をあげると中でくつろいでいた男たちが一斉に立ち上がった。
「お疲れ様です、一樹さん」
3人のガタイのいい男たちが頭を下げる。
「挨拶はいい。それより、上層部の金がなくなったという話しは本当なのか?」
すると、3人のなかでもリーダー格の男がおずおずと一歩前に進み出てきた。
「はい。さきほど若頭のほうから電話がありまして、二日ほど前に3千万の金が消えたそうです」
「その金が、うちの組の口座に?」
「どうやら、そのように言った者がいるそうです。それで、調べましたら振り込まれた形跡もなく……もしかして、誰かが我々をおとしめようとする人物の仕業かもしれません。若頭には、3千万円の返却がなければ我々に厳しい罰則を与えることになるとのことを一方的に言われまして……」
ほとほと困った様子で話す男に、一樹はもういいと手で話しを遮った。
「話しは分かった。それで、うちには3千万の金がないのは確かなことなんだな?俺たちは、他人から尊敬されることをしているわけじゃない。俺たちに恨みをもつ者なんて、ごまんといるわけだからな。探し出すのは大変だが、まずは、俺たちが盗ったという密告者が誰なのか突きとめる必要があるな」
一樹は一旦話しを止めると、あごに手をやり考えているような素振りをみせた。
「よし。まずは、玲二の手下たちを徹底的に調べあげるんだ。ここ何日間の行動や交友関係まで調べろ。おい加藤。なにか分かりしだい、逐次、俺に連絡しろ。分かったな」
今まで経緯を説明していたリーダー格の男、加藤と呼ばれた男は眉を寄せた。
「玲二さんを……ですか?」
「ああ、玲二だ」
「なぜ、玲二さんを……。なにかあったのですか?」
「ちょっとな、思い当たるふしがあってな」
「思い当たるふし?」
加藤は、ますます眉を深める。
「いや、ちょっとしたことがあって……ということだ。なに、たいしたことじゃない」
一樹のあいまいに答えに、加藤は「そうですか」とだけ言って、それ以上は訊いてこなかった。それ以上訊いても無駄だと悟ったのかも知れない。
「よし、一樹さんの話しのとおりだ。お前たち、すぐに玲二さんの組の者を調べるんだ」
加藤の言葉に「押怒ッ」と気合いの入ったかけ声がはいり、二人の屈強な男たちが、各自、自分の持ち場の役目を果たそうと動き出したため、急に室内が慌ただしくなった。
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27/50話
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誰が犯人なのか、、分からないけど。。
これからどうなっていくのか、、気になります。。
誰が、、何のために、、><
2009/5/15(金) 午後 11:13 [ - ]
ハラハラです。どうなるのかしら。私も書かなきゃ。
2009/5/16(土) 午前 0:24 [ 1 ]
りゅうさま〜☆
コメありがとうございます。
実は、全部玲二の仕業でした。
執拗に一樹と裕也の二人の恋路を邪魔します。
玲二は、一樹と付き合いたいと思うあまり、悪いことしちゃうんですね。
けっこう、自己中心なやつです。
いつも来てくれてありがとうございます。
89さま〜☆
小説楽しみにしてます。
次回作は、いつごろなのでしょう?
でも、気長に待ってますので無理をしないようにね♪
2009/5/17(日) 午前 0:01