|
次の朝、克己は学校へ向かっていた。
昨日の恭介先生のことが頭から離れず、あまり行きたくはなかったけれど、休むわけにもいかないから、しかたなく重い足取りで学校へ行く。
なるべく先生と顔を合わせたくない。
そんなことを考えながら、学校の門をくぐる。
「おーい、克己くーん」
門の先で、まさむが手を振っているのが見えた。
「まさむぅ、おはよ」
「おはよう」
お互い近寄った2人は挨拶をして、肩を並べて校舎へと入る。
「克己くん。昨日、先生にこっぴどく怒られたの?」
ドキンと胸が高鳴る。まさむは、何気なく尋ねたつもりだろうけど、克己はすごく動揺してしまった。
恭介先生とキスをしてしまったこと。それも、かなり濃厚なキス。
昨日の出来事を思い出して、乱れる気持ちを懸命に抑えようとする。
「い、いいや。そ、そんなに……お、怒られなかったよ」
「ふーん、そうなの……」
克己の動揺した口調に、まさむが一瞬眉をしかめる。しかし、すぐに表情を緩ませた。
「でも、よかったじゃない。たいして、怒られなくて」
「あ、ああ。運がよかっただけさ」
まさむに知られないようにと思うばかりに、とっさに嘘をついてしまった。
恭介先生とのキスを思い出したのと、まさむに嘘をついてしまったことが合わさったせいで、心臓はドクドクと激しい脈を打ち、克己の心をかき乱していった。
|