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まさむに気づかれたのか?
そんな心配が、頭をよぎる。
「どうしたの?はやく教室へ行こ」
ぼうっとしている克己の手を、まさむが引っ張る。
「あ、ああ」
まさむは……気がついていないようだ。
少しほっとするが、まさむに本当のことを話ししていないことには、罪悪感が残っている。
手をつないで、教室へ向かう。まさむの暖かい手が、克己に伝わってくる。
心が温まる手。
そのとき、ふふっと克己に笑いがもれた。
「何がおかしいの?」
怪訝そうに顔を向けたまさむに、克己は手で謝るまねをした。
「いや、悪い。ただ、俺たちがこうやって手をつないでいるとさ、付き合ってるんだなあって思って」
「それが、おかしいの?」
まさむは、納得いかないような顔で、克己を見る。
「だってさお前、優等生だろ。俺はどちらかといえば、落ちこぼれ。そんな2人が、仲良く手をつないで、教室へ向かっているんだ……ったく。優等生くんと付き合うなんて、夢にも思わなかったぜ」
それを聞いたまさむは、表情を緩ませた。
「はは。そだね。俺も克己くんと付き合うなんて、思ってもみなかったよ。でも、こうして手をつないでいるなんて……幸せだよ」
ああ、俺も幸せだ。
克己も、そう心の中でつぶやく。
「好きだぜ、まさむ」
「俺だって克己くんのことは、愛してるよ」
2人は足を止め、見つめあう。
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