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「よぉ、克己ぃ。おはよう」
「ああ、おはよう」
クラスの連中と朝の挨拶を交わし、まさむと克己はそれぞれの席につく。
朝の騒がしい教室の中は、昨日のテレビドラマの話しや芸能人の胡散臭いうわさ話しなど、皆それぞれ好き勝手な会話が飛び回っていた。
「なあ克己。お前、まさむと付き合ってるんだってな」
そう声をかけてきたのは、クラスメートの北村。ニヤニヤしながら、克己の返事をまっている。
しかし、克己は北村の問いかけには応えず、逆に聞き返した。
「お前、どこでそれを?」
俺たちが付き合っている――まだ、だれにも言っていないのに、なぜそのことを北村が知っているのか気になったからだ。
まさむとは昨日告白されて付き合うことにしたのは事実だけど、そんな情報が、どこから漏れたのかわからない。
もしや盗聴されているのではないか…とまで勘繰ってしまいそうになる。
「いや、今日の朝、お前とまさむが手をつないで廊下を歩いているのを見たっていうやつがいてさ、お前とまさむが付き合っていると思いこんでいるんだ。…で、実際ところ、どうなのかと訊きにきたわけ」
「なんだ、そういうわけか」
ほっと息をつき、安心する。
なるほど。俺とまさむが手をつないでたものだから、付き合っていると推測したわけか。きっと俺たちを見たというそいつは、あちこちに付き合っていると言いふらしているのだろうな。確証もないくせに……
朝のざわめく教室で飛び向かう、信憑性のない噂話しの主人公となってしまった克己は、あきれてしまった。
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