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「克己くん。せんせ…呼んでいるよ」
まさむの声が、思いあぐねている克己の気持ちを動かした。
「あ、ああ。ちょっと行ってくる。まさむ、悪いが先に教室に戻っていてくれ」
まさむと別れた克己は、恭介先生のほうへ向かった。
「せんせ、なんですか?」
「お前、まさむと仲良すぎるんじゃないか。先生はな、克己のことしか考えられないんだぞ」
「そんな話しですか?俺はまさむと付き合っているわけだし、それに一緒にご飯を食べるぐらい問題ないでしょ」
「克己。まさむと別れて、先生と付き合わないか?」
「だめだよ、先生。俺、まさむのこと好きだし……先生には悪いけど、まさむ以外の人を好きになれないよ」
恭介先生は、悲しそうに視線を落とした。
「どうしてなんだよ……どうして、まさむのことが好きなんだよ」
顔をうつむかせ、拳を強く握り締めて身体を震わす恭介先生。
自分の想いが破れ、悔しいのだろうか?
克己は、恭介先生が少し哀れにも思えて、優しい言葉をかけようとした。
「せんせ……」
「同情するなら、愛してくれ」
克己が言葉をかけようとしたとき、恭介先生の口からでた恨めしそうな声。
克己の身体にぞくぞくっと寒気が走り、言葉が続かなかった。
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