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教室に戻ると、まさむが食べずに待っていた。
「恭介先生、なにか言っていた?」
まさむの問いかけに、固い表情を見せる克己。
「い、いや。なにも」
「じゃ、なにを話していたの?」
「た、たいした話しじゃないさ」
「ふーん」
あいまいな返事をするまさむ。
それは、自分だって同じだ。自分だって、はっきりとまさむに答えていないじゃないか。
本当のことが言えない自分自身を責めたてる。
克己はなにも言わず、あらかじめまさむと対面になるように準備してあった椅子に座った。
先生に告白された、なんて言えない。
今は、まさむとの時間を楽しみたい。
いろいろ考えをめぐらせていた克己に、まさむが声をかけた。
「克己くん、どうしたの?さっきから、黙ったままで」
ぼーっとしていた克己は、はっとして我に返り、作り笑いをする。
「ううん、なんでもない。それより、早く食べようか」
ヤキソバパンを手に取り、封を開けて大口で頬張る。
「うまい」
克己は、恭介先生のことを一瞬でも忘れようと、無理やり話しをそらした。
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