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授業が終わり、トイレに行くつもりで教室を出たときだった。
海斗は、廊下の床に黒い定期入れが落ちていることに気がついた。
「誰のだろ?」
足を止めて、拾ってみる。
何気なしに二つ折りにされているケースの中をのぞくと、通学用の定期と写真が一枚、はさんであることがわかった。
写真には、知らない女の子。海斗と同年代ぐらいの、かわいい女の子だ。
クリアケースの中にしまわれている、写真の女の子はこちらを見てニッコリと笑っている。実際はカメラに向かっての笑顔なんだろうけど。
そんなこと、頭では分かっているけれど、女の子にモテない海斗にとっては、自分に微笑みかけているような錯覚に陥ってしまう。
かわいい子だな…
にやついた気持ちでよくよく観察すると、ケースの角には持ち主らしい男の名前。
「佐伯翔(さえき しょう)……」
先ほど教室から見ていた、隣りクラスの転校生だ。
届けてあげよう。
海斗は、拾った定期入れを持って隣りのクラスへ向かった。
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