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「定期入れの写真……翔くんの彼女?」
気になった海斗は、思わす訊いてしまった。
いきなり初対面の人に、そんな質問するのは失礼なことだ。
口に出してから「しまった」と思ったけれど、もう遅い。
「彼女……か」
なにか不機嫌な顔になってボソリとつぶやく翔に、海斗はあわてて弁解する。
「ご、ごめん。写真は見るつもりじゃなかったんだ。ただ、誰の落し物なのか確認するつもりで。それで、女の子の写真があったものだから……いや、その、翔くんの彼女かなぁなんて思ったりして……決して悪気があって訊いたんじゃ……」
「いや……いいんだ。別に、それで怒ってるわけじゃないんだから」
「え?」
海斗が懸命に言い立てるところに、翔が遮るように言う。それが意外にも自分の思いとは違ったことだったから、海斗は開いた口が塞がらず、ポカンとしてしまった。
えッ、機嫌を損ねているわけじゃない?
じゃ、さっき見せた不機嫌そうな顔は……?
「写真の子とは……別れたんだ、転校する前に。今、それを思い出して、少し悲しくなっちゃって」
翔は、少しのあいだ表情に陰りを見せていたけれど、すぐいつもの明るい表情を取り戻す。
「だから、海斗くん。気にしなくていいよ。別に海斗くんに、怒っているわけじゃないから」
「でも、写真を持ち歩いているってことは……まだ、その子のこと、好きなんじゃ?」
「まあね。まだ、吹っ切れていないことは確かさ。もしかしたら新しく好きな人ができれば、忘れることができるかもね」
翔の言葉に、ドキンと心臓が大きく脈を打った。
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