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それから、どのくらいの時間が経ったのか分からない。

眠気に誘われ、ソファーの上でうとうととしていると、頭上に人の気配を感じてぱっと目を開けた。

「よぅ、寝てたのか」

自分の顔を覗きこんでいる一樹が、なんだか嬉しそうに声をかけてきた。

「…帰っていたんだ」

まだ、頭がぼんやりとしている裕也は独り言のようにつぶやく。

「今、帰ったところだ。めし、するか?」

そう訊いてきた一樹の顔には、笑みが浮かんでいる。

やたら表情が明るい一樹の様子に、なにかあったのだろうと不思議に思ってしまう。

なにかの記念日なのか、それとも臨時の収入が入ったのか。もしかして宝くじが当たったとか。

回転が鈍っている頭で、いろいろ考えを張り巡らせたけれど、思い当たる節はない。

「嬉しそうだね。今日は、なにかの記念日だった?」

聞かずにいられない衝動にかられた裕也は、半身を起して訊いてみた。

「記念日?いや、違うさ。でも、いいことはあったぜ。今日の玲二の手下をひっつかまえて吐かせたんだ。やはり、玲二の仕業だった。組の金をとったのも玲二。嘘の情報を流したのも玲二だ。このことを上層部に話せば、玲二のやろうも、ただじゃすまされないはずだ」

べらべらと止まりそうもない話しを聞きながら、裕也はひとつ気になることがあった。

一樹は相手を吐かせたと言っていたけれど、どうやって吐かせたのだろうか。相手が、そう簡単に口を割るとは思えない。

「でも、それはどうやって聞き出したの?」

喜々としている一樹の顔を見ながら、頭のすみにいやなシーンを思い描いていた。


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38/50話

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