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口を割らなければ暴力をもって、強引に聞きだす。イスに座らせた相手の両手両足を動かないように紐で縛りつけて、殴ったり蹴ったりする場面を想像していた。映画でも、よくあるシーンだ。
ヤクザという人間は、口より先に手がでる輩だ。一般人のように、悠長に相手を説得して聞きだすことなんてしないだろう。
今回はどうのようにして玲二の手下から聞き出したのか、その手段を確かめたくて恐る恐る訊いてみた。
「そんなこと、よく聞きだせたよね。相手も、そう簡単には口を割らなかったんじゃない?いったいどうやって聞きだしのか、教えてよ」
一樹は、緩い表情から少ししかめた顔になった。
「教えてくださいと頼んで、教えてくれる相手じゃないんだ。だったら、多少痛めつけて聞きだすしかないだろ」
「まさか、殴ったりとか……」
「そりゃ、手をだすこともあるさ。それは仕方ないことだ。分かるだろ?説得して応じる相手じゃないことぐらいは……」
頭に、固いものでガンと打ちつけられた衝撃が伝わった。
そのあとも、いろいろと話しを続けていたけれども、結局のところ殴ったり蹴ったりと、イスに縛りつけることはなかったものの、映画にでてくるシーンのように相手を痛めつけて口を割らせたことは確かのようだった。
ヤクザというものが、心底嫌いになる。何事も暴力で、事を進めようとする姿勢が気にくわない。
その嫌いなヤクザをしているのは恋人の一樹だと思うと、頭が混乱して自分でもどうしていいのか分からない気持ちがどくどくと湧き上がる。
裕也は、そばで話す一樹の声が聞こえないように耳をふさいで大きく叫んだ。
「もう、聞きたくないッ」
これまで忙しく口を動かしていた一樹がぴたりと口を止めて、驚いた様子で裕也を見た。
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39/50話
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