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「お前、こんなところでなにをやってるんだ?」

「べ、別に……」

突然ばったりとでくわしてしまい、動揺する気持ちを見抜かれないように冷静を装ったけれども、怜二にフッと笑われる。ばかにしたような笑いが腹立たしい。

かといって、感情をあらわにすることはできないけれど。

「まぁいい。おまえに話しがある。とりあえず車に乗れ」

裕也の素っ気ない返事を軽く流し、玲二が偉そうに命令する。「あれだ」と目で差した先には、黒塗りのベンツが路上に停めてあった。

どうやら、あの車に乗れと言っているらしい。

「…いやだ」

詰まる声を振り絞り、首を左右に振る。

のこのこと乗れるわけがない。

どこに連れて行かれるのか分らないし、なにをされるのかも分らない。

もしかして、どこかの人目のない山奥で殺されて……なんていう恐ろしいことも考えられる。玲二なら、やりかねない。

ここなら人目もあるし、近くに交番だってある。さすがの玲二も、ここでは下手な真似はできないはずだ。

それに……

ここは逃げたほうがいい。

裕也は玲二に背を向けて、かけ足で逃げ出そうとした。が、すぐに玲二の手が伸びて、あっけなく腕を掴まれてしまった。

まわれ右をして走りだそうと瞬間だったものだから、後ろに引っ張られるようなかたちになって、思わず尻もちをつきそうになる。逃げるチャンスを失った裕也が慌てて振り向くと、鋭い眼差しで睨みつける玲二の顔があった。

「どこへ行くつもりだ?」

「う……」

完全に先を読まれていた裕也は、言葉をつまらせる。

逃げようとした態度が気分を損ねたのか、無表情な顔から険しい顔に変貌した玲二は、裕也の腕を掴んだまま車のほうへ向かった。

嫌がる裕也を引きずるように車の前で立ち止まると、後部座席のドアを開けてゴミでも捨てるように乱暴に裕也を突き放した。

「…痛ッ」

車内をごろごろと転がり、反対側のドアに強烈に頭をぶつけて、痛みがはしる。

痛む頭を抱え、しかめた顔で見上げると、運転席に座った玲二とルームミラー越しに目が合う。

「いちいち癇に障るヤローだな。とりあえず俺の組事務所までくるんだ」

前を向いたまま話す玲二がエンジンをかけると、車はゆっくりと動き出した。

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43/50話

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