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濃厚で甘い空気が漂い、常夜灯のライトが寝室をほのかに照らしている。 クィーンサイズの大きなベッドに横たわっている一樹と裕也は、素っ裸になり火照った肌を密着させていた。 「本当にこれでよかったの?」 先ほどまで情熱的で燃えるような情事を重ねていた裕也は、快感の余韻に浸りながら一樹の胸の中でぽつんとつぶやくように訊いてみた。 「なにが?」 なんて答えればいいのか分からないと。まじまじと見つめる一樹の目がそう語っている。 「ヤクザをやめたことだよ。一樹がどう思っているのか、心配なんだよ。後悔……していない?」 すでに、一樹がヤクザをやめてから三日が経っている。あれからなにも言わない一樹に対し、もしかしたら、再び闇社会に戻りたがっているのでは……という心配があって訊いてみたのだ。 しかし、そんな心配をよそに、一樹は首を振って優しく笑った。 「後悔なんかしてないさ。俺がヤクザをしていると、いつ何時、裕也に危害が及ぶかわからないからな。もう二度と裕也を危険な目にあわせたくないんだ。それに俺は今、すごく幸せだ」 「幸せ?」 「ああ。幸せだとも。一時はどうなるものかと思ったけども。でも、今こうして裕也と一緒いれるなんて、これ以上の幸せはないさ。いつまでもそばにいてほしいんだ、裕也」 「…一樹」 しっとりとした甘い声で打ち明けられた裕也は顔をほころばして、一樹の唇に軽くキスをする。 これからは、カタギになった一樹と共に愛を育んでいくのだ。 ずっと残っていた心のわだかまりは消えて、一樹を心の底から愛せるようになった。 寝室はしんと静まり返り、外の騒がしい雑音も一切聞こえない。 まるで、ふたりっきりになった世界のよう……。 その世界は薔薇色に染まり、未来は明るい。 唇を離したあともじっと熱い眼差しで見つめられて、裕也はたまらずぎゅっと一樹の首根っこに抱きつき、そっと耳元でささやいた。 「愛している。すごく愛しているよ……」 そうさ。今の俺の心は、一点の迷いだってない。心の底から愛しているんだ。 幸せと嬉しさで感極まり、目に涙がたまる。 一樹のやわらかな髪に頬を寄せながら窓の外を眺めると、今夜の夜景はいつも以上に美しく燦々と輝いていた。 高層ビル群の光や流れる自動車のヘッドライトの光。大都会を照らす無数の光は、潤んだ目のせいで、よりいっそうきらめきが増している。 それはまるで、ふたりを祝福しているように思えて裕也の心を深く感動させた。 <END> ・+☆+・ 50/50話 _/_/_/_/_/ _/_/_/_/_/ □□ □□□ □□□□ これまでのお話しの一覧を見るには、各お話しにある「トラックバック先の記事」から一度1話にお戻りください。 1話にある「トラックバックされた記事」をみていただくと、各お話しの一覧がわかるようになっています。よろしかったらご利用ください。
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2009年06月30日
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