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しかし、すぐに異質なものが視界にはいり思わず足を止める。

普段なら、少しぐらいの珍事を目の当たりにしても足を止めることはない真だけど、目に映ったのは思わず凝視《ぎょうし》してしまうほど奇妙な男の姿だった。

不審者……?

前方には、甲冑を身にまとった武士。せわしく顔を左右に振って、きょろきょろと辺りを伺っている様子が、さらに怪しさを倍増させている。

戦国時代ならともかく、現代において全身に鎧を着込んでいるなんて不審者以外何者でもない。

怪しい男は、警戒の目で見つめていた真に気がつき、硬い表情で近寄ってきた。

男はひどく汚れている。

顔は土ぼこりで焼けた顔をさらに黒くしているし、鎧や兜も色あせて、あちらこちらと擦り切れが目立ちボロボロになっている。

テレビで目にする小奇麗な格好の武士より、目の前にいる小汚い男のほうが本物の武士に見えて。

映画の撮影なのかな。

本当に戦国時代からやってきたと思えるほど、リアリティあふれる男の姿に妙に感心してしまう。

「ここはどこだ。天国なのか地獄なのか?」

武士の格好をした男が尋ねてきたが、真は質問の真意がくみとれなくて返答に困った。

格好もさりながら尋ねてきた質問も変だ。

危ないやつ……。

そう瞬時に頭に浮かんだけれど、あからさまに突っ放す度胸があるわけでもなく。

真は仕方なく口を開いた。

「言っている意味がよくわからないよ。きみはいったい、どうしたっていうの?それもこんな格好で……」

「自分でもわからない。たしか、敵兵に刀で切らそうになって。気がついたときには、ここにいたんだ」

男の言っていることがまったく理解できなくて、真は顔をしかめる。

「僕はきみの話しがわかんないだけど。もうすぐ日も暮れることだし今日は帰りなよ。」

あまり関わらないでおこうと話しを切り上げた真の言葉に、男はさも困ったような顔をして腕を組んで考え込んだ。

「できたら俺を、お前の家に泊めてくれ。帰るところもないし、俺も自分の状況がわからないんだ。今、頼れるのはお前しかいない、頼むッ」

言葉遣いはとても人に頼むような言葉ではなかったけれど、真剣な顔で頭を下げ、手をすり合わせる男にむかっていやとも言えず、なにか深い事情があるのかもしれないと思えば同情のようなものも生まれて、真はしぶしぶ了承した。


・+☆+・
3/50話


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