愛は時空を超えて〜☆萌えガク

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「おはよう」

「おはよう」

学校に近づくにつれ、クラスのみんなと顔を合わせることが多くなり真はその度に挨拶を交わす。

校門前までくると、真はふっと緊張の色が混じった顔つきになった。
視界に飛び込んできたのは、同じクラスの女子生徒の姿。周りの女子生徒たちのなかでもひときわ輝きを放っている。

ドクンと心臓が大きく脈を打ち、思考が完全に止まりそうなぐらい頭のなかが彼女のことでいっぱいになり、
無意識のうちに足を止め、憧れの眼差しで遠くから見つめた。

「どうしたんだ、真」

背後から、怪訝《けげん》そうに問いかける信長の声も耳に入らず、可憐な女子生徒の姿をうっとりと眺めている真。

視界に映っているのは、クラスのアイドルでもある憧れの伊藤春菜の姿。

春菜を中心として、左右には同じクラスの女子が二人並んでいたけれど、かわいさという点において春菜が断トツにかわいい。

春菜さん……。

心のなかで、憧れの女子生徒の名前をつぶやく。

「おい、真。人の話を聞いているのか?」

勝手に好意を寄せている春菜に見とれて、ぼぅとしている真に信長は声を少し大きくして真の肩を揺さぶる。

「え……ああ、聞いてるよ」

そう言いつつも、真の口調は心ここにあらずといったふうで頼りない。

「ぜんぜん聞いてないじゃないか。急に足を止めやがって。どうしたんだ、気になることでもあったのか?ん……」

真の視線が遠くにいる三人組の女子生徒に向けられていることに気がついた信長は、なにやら感づいたようににやりといやらしく笑った。

「へぇ。もしかして、前を歩いている女たちに興味あるのか?で、誰なんだ、あの三人のうち、誰がいいんだよ?教えろよ、な?」

いたずらっぽい笑みを浮かべた信長に、肘でわき腹を突かれたが、真は答えるもんかとばかりに唇を固く引き結び答えなかった。

「なあ、いいだろ?もし、なんだったら力になってやるからさ。教えてくださいよ。真くん」

今までの口調とは違う、妙な言葉遣いの信長が耳元でささやき、それが甘い猫なで声なものだから、固い意志がぐらりと傾く。

あと一押しとでも思ったのだろうか。信長はさらにしつこく尋ねてきた。

「なあ、教えてくれたっていいだろ。あの三人のなかで誰がいいんだ?」

「…真ん中の子。三人の真ん中の女の子がいいんだ」

信長にしつこく言い寄られたせいで、思わずポロリと口に出てしまった。

ずっと長く誰にも言わず、胸のうちにしまっていたというのに、昨日初めて会った信長に、秘密を打ち明けてしまったことの恥ずかしいと照れくささで
一気に顔が熱くなる。

でも、どうしてだろ?

信長には、なんの抵抗もなく心を開けてしまったのは……。

信長の前では、本当の自分をさらけだしてしまいそうだ。

自分の気持ちになにか異変を感じながらも、初めて好きな女の子がいることを口に出してしまったことの恥ずかしさから、強く信長を押しやった。

「へへ、好きなのか?ちゃんと自分の気持ちを伝えたのか?」

小さな子供が興味を示してあれこれと尋ねるみたいに、信長は目を大きくして興味津々に詮索する。

真は顔を振って小さな声で言った。

「ううん、まだだよ。彼女は、クラスのなかでも一番かわいいんだ。僕なんかと釣り合わないよ」

急に弱気になった真の様子に、信長が声を荒げた。

「初めて会ったときから思っていたけど、お前は女々しいやつだな。言ってもいないのに、そんなことわかんないだろ。あきらめる前に、一度自分の気持ちを伝えてみろってんだ」

「そんなこと言わなくても、返事は決まっているさ。信長にあれこれ言われる筋合いはないよ」

「ああ?」

むっとしたのか信長が眉を寄せた。


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10/50話

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学校へ行く時間が迫っている。

あと5分ほどで、家を出ないと学校が始まる時間に合わない。

真が急いでてきぱきと学校に行く準備をしていると、信長が声をかけてきた。

「なんの準備だ。どこかへ行くのか?」
「学校だよ。普段、僕は学校へ行かなくちゃいけないんだ。この時代の常識さ」

のんびりとしている信長とは対照的に、切羽詰った様子でカバンに必要なものを詰めこんで制服に着替える。

時間に余裕がないのはいつものことだ。

「朝は、いつもこんなに慌しいのか?」
「うん。早く起きれば問題ないんだけどね。朝は、いつもギリギリに起きているからこんなもんだよ」
「大変なんだな」

少し呆れ口調の信長をちらりと横目で見たが、シャツのボタンをはめている手は休まることはない。

すべての準備が整い、真は通学かばんを持って信長を見た。

「じゃ、僕、学校へ行って来るから」
そう言って、すたすたとドアのほうへ向かいノブに手をかける。

ドアを開けて部屋を出ようとしたとき、信長が背後から声をかけてきた。

「俺も行っていいか?」
「えっ」

まさか信長に一緒に行くとは思いもしなかったことだから、真は、一瞬考え込んでしまった。

今の姿は、現代人とかわらない。

だれも、過去から人間だと思わないだろう。

とくに問題ないはずだ。

すばやく頭を整理して答える。

「別にかまわないけど。でも、残念だけど信長は学校には入れないよ。それでもいい?」

「なんだ、学校までしか付き合えないのか……。
チッ、しょうがない。ま、それでもいいさ、一緒に行こう。
俺もいろいろと街の様子を知っておきたいからな」

「じゃ、きまりだ。一緒に行こう」

二人は、早足に部屋を出た。


・+☆+・

9/50話


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どうして僕は、あんなにも必死になって信長を探していたんだろ?

あのとき、僕は信長と別れたくないと思って……。

それは恋心に似た気持ち。

胸の奥からキュンと締め付けられそうな感情が湧き出すと、
真はぶるぶると頭を振って打ち消した。

ばかな。昨日会ったばかりだぞ。

それに、僕の好きな人は春菜さんのはず。

信長に特別な感情を持っているのは、歴史に名を残した人物だから。

そう自分に強く言い聞かせ、無理につくった笑顔で信長を朝食に誘った。



「へぇ。この時代の料理はうまいな」

感心したように、信長はせわしく箸をすすめる。

落ち込んでいた昨日と打って変わり、信長の食欲は旺盛だ。

みるみるうちに、テーブルに並んだ料理をたいらげていく。

真の顔が緩む。

よかった。元気になったみたいだ。

自然とニコニコ顔になった真に、信長が首を傾げる。

「どうしたんだ?笑みをうかべやがって。気味悪いな」

「ううん。信長が元気になったものだから、嬉しくて」

信長は冗談っぽく「バカッ」と言って、言葉を続けた。

「いつまでも、くよくよなんかしてられるかよ。
俺は、過ぎたものは忘れるたちなんだ。これからどうするのか、前向きに考えることにしたんだ」

そう言って、信長は箸で掴んだから揚げをパクリと勢いよく口に放り込んだ。


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8/50話

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「信長……」

落ち込む信長に声をかけてやりたかったけれど、元気づけさせてやる気の利いた言葉が見つからない。

二人の重い空気を抱えながら、夜は更けていった。



朝、目が覚めると、昨日の出会いが夢の出来事のように思えた。

寝起きのはっきりしない頭でベッド脇に目をやると、床に敷いてあったはずの布団がすでにたたまれている。

昨日の夜、信長にベッドを譲ろうとしたけれど本人はかたくなに遠慮して。

根負けした真は仕方なくいつも使っているシングルベッドで、そして信長は床に敷いた布団で寝たのだ。

誰もいない布団を焦点の合わない目でぼぅっと眺めていると、しだいに意識のほうも目を覚まし、真は慌てて飛び起きた。

「信長ッ?」

そうだ。昨日、信長に会って。

真は、パジャマを着たまま部屋を飛び出した。

「信長、どこにいるの?」

どこにも行かないで。

どうしてだかわからないけれど、信長と別れたくないという気持ちでいっぱいになり、家中の部屋という部屋を探してまわる。

すると、脱衣所からなにか音がして真は急いで向かった。

「信長ッ!」

脱衣所のドアを勢いよく開けると、顔を洗ったばかりなのか、タオルで顔を拭いている信長が立っていた。

真が前触れなくドアを開けたというのに、信長は落ち着いた様子で笑顔を見せた。

さすが、織田信長というべきか。度胸がすわっている。

「よぅ、真。おはよう」

「え、あ…おはよ……」

真のほうがまごついて、ぎこちない挨拶を交わす。

よかった。信長、いたんだ。

ほっと安心すると、今度は、大げさに取り乱していた自分の姿を思い出して心が揺れ動いた。


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7/50話

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「服……あるか?」

突然、背後から声をかけられて、不意を突かれた真は慌てて本をパタンと閉じる。

振り返れば、裸にタオルを腰に巻いただけの信長が部屋のドアの前でじっと立っていた。

「え……と、すぐ用意するね」

真は、いそいそとたんすの引き出しを開けて、自分のズボンと開襟シャツと、少しためらいながら下着を取り出すと信長に手渡した。

幸い、信長は真の身長と同じぐらいだ。服のサイズは、たぶん大丈夫だろう。

「へんな服だな」

いぶかしげな表情でシャツの袖に腕を通す信長。

「そういえば、お前の名を聞いてなかったな」

渡されたシャツのボタンをはめながら話しかけてきた信長に、真ははっとした。

そういえば、僕の名前……まだ言っていない。

先ほど、信長の名前を聞いたとたん動揺してしまい、つい自分の名前を言うのを忘れていたことに気づく。

「僕は、白木真《しらきまこと》っていうんだ。よろしく」

「真か……。いい名だ」

信長が、初めて笑顔をみせる。

「それと信長。きみがどこから来たのかわかったよ」

服を着終えて、すっかり現代人の姿に様変わりした信長が身体を乗り出した。

「本当かッ。詳しく教えてくれ」

「信じられないかもしれないけれど、信長は遠い過去から来たんだ。450年ほど前の過去からね。なぜこの時代に来たのかわからないけれど……。
信長から見れば、ここは450年後の未来ってことになるね」

「…なんてことだ」

みるみるうちに信長の顔から笑顔が消えうせる。ショックを受けてふらふらとよろめく信長を心配しながらも、真は言葉を続ける。

「おそらく、これはタイムスリップだと思うんだ。時間を飛び越えて、時代を行き来するっていうやつだよ。
きっと信長は、なにかの拍子にタイムスリップして、この時代に飛ばされたんだ」

真が言い終えるころには、信長はすっかり力を落としてしまって話しも耳に入らないようだった。

「俺は、戻れるのか。もとの時代に帰れるのか?」

「いや…それは難しいかもしれない」

切羽詰った信長の問いかけに、真は静かに首を横に振るしかできなかった。


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6/50話

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