美男子に憧れて〜☆萌えガク

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昼時、海斗は1人で学食へ向かっていた。

翔を誘おうと思ったけれど、今日は1人でいたいという気持ちが強くて、あえて誘うのをやめた。

学食前の自販機で、お目当てのメニューを選択して食券を購入し、食堂で食券と引き換えにトレイに乗せられたランチをもらう。

淡々と流れ作業的にこなしていき、ずっと口を開くことなくテーブルの席につく。

今は、なにも考えたくないし誰とも話したくない。

効率のいい学食のシステムが、今の海斗にとっては都合がいい。

ランチを口にするが、落ち込んだ気分のせいで味気が感じられない。

いつもなら、腹ペコでガツガツと食べるほうなのに、今日は食欲がまったくなかった。

自分の栄養補給のため、ただ口にするだけ。

黙々とすくっては口にやるといった作業をこなしていると、頭上から声をかけられた。

「隣り……座っていいか?」

目の前のテーブル上に人影ができて頭を上げると、ニッと笑った孝介が昼食を乗せたトレイを持って立っていた。

「そこ、座っていいか?」

海斗の隣りの空席を、クイッと顔で指す。

「……空いてない」

冷たく言い放つが、孝介は聞こえなかったように平然と隣りの空席に座わった。

「空いていないって言ったけれど?」

「そんなこと気にすなって。それより……」

孝介が眉をしかめる。

「どうしたんだ?元気がないぞ。事故のせいだとしても、学校にきたときは元気だったじゃないか。もしかして……なにか悩みでもあるのか?」

「悩み……か」

なぜ、孝介が自分を気にかけてくるのか分からなかった。

ただ単純に、同じクラスの仲間だから心配してくれているのかと思ったりした。 

そう考えると、あまり邪険に扱うのもかわいそうだ。

話し相手ぐらいにはなってやろうかと、気持ちを切り替えてみる。

「悩みなんてないよ……」

話し相手にはなってやるが、今の孝介に、翔の別れ話で落ち込んでいるなんていうことを打ち明ける気にはなれない。

孝介は、海斗の心のうちを見透かそうとしているかのように、じっと凝視していた。


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「おい、どうしたんだ?元気ないな」

教室に戻ると、すぐさま声をかけられた。

声をかけてきたのは、同じクラスの孝介。

「いや、なんでもないし話すこともない」

今は、おしゃべりしたい気持ちではない。

気軽に話しかけてくる孝介を冷たくあしらって、自分の席のイスに腰掛ける。

それでも、孝介は自分を気にかけているようで、しつこくまとわりついてきた。

「海斗さぁ、最近変わったよな」

「なにが?」

「いや、こう雰囲気がさ。どことなく、カッコよくなったていうか……強くなったていうか。ほら、今まで内気なトコあったじゃん。それに、思いっきりネガティブで暗いヤツだったし。でも最近、明るくなったんだよなぁ。一体、なにがあったのか教えてくれよ」

「はぁ?なんでそんなこと孝介に話さなくちゃいけないんだよッ。それに俺は、今1人でいたいのッ」

不機嫌そうな顔をつくりジロリと孝介を睨むが、孝介はニコリと笑い返す。

何なんだよ、コイツは……

「やっぱり、変わったよ海斗は。今まで、自分の感情をだすことなかったし……うん、変わった」

腕を組み、勝手にうんうんと納得したようにうなずいている。

「ったく。俺は、変わってねーつぅのッ。俺の気持ちなんか分かってないのに、勝手にうなずきやがってッ。あきれたヤツだな」

先ほど、翔とした別れ話のイラつきが、つい口調にも出てしまい荒げた声になってしまう。

八つ当たりだ。

そう自分のなかでも認識しているけれど、このどうしようもないイラつきは押さえ込むことができない。

「もう邪魔だから、あっち行っててッ」

シッシッと犬でも追い払うような仕草で、孝介を追い払う。

「ずいぶん、ご機嫌斜めだな。それに……もし体調が悪かったら帰ったほうがいいぜ」

孝介は、そういい残して自分の席へ戻っていった。


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「俺は、いつ日本に戻ってこられるのか分からないんだ。ここは、別れるしか……」

翔が言い終わらないうちに、海斗は口を挟んだ。

「い、いやだよ。翔と別れるなんて……お、俺、翔が遠くに行ってもキライなんかならないよ。だから……ね、別れるなんて言わないでッ」

「仕方ないんだ。俺がドイツに行っているあいだは、ずっと会えなくなるんだぞ。お互い好き同士でも、ずっと会わないと自然と気持ちも離れるものなんだ。ここできっぱり別れるほうが、2人のためだ」

「そ、そんなこと……」

せっかく、翔と仲良くなれたのに。俺の初めての恋人……との別れ。

絶対受け入れることのできない現実に、気持ちの整理つかない。

無意識のうちに、一歩一歩と後ずさりしてしまった。

「翔は、翔は、それでいいの?ね、それでいいの?」

海斗に肩を揺すられながら、翔は力なく頭を垂れた。

「仕方がない……」

目の前が、真っ暗になった。

ぐるぐると目が回り、頭に手をあてる。

翔は、すっと立ち上がり、倒れこみそうになっている海斗の両肩を強く掴んだ。

「しっかりするんだ。俺だって、海斗のことは好きだし離れたくはない。でも、これはしょうがないことなんだ。ドイツは遠い。学生の俺らには、頻繁に会うことは難しいだろう。ここで、モヤモヤしていつまでも想いを引きずっているよりも、きっぱりと別れたほうがいいに決まっている。な、そうだろ?」

翔は、真面目な顔で、さとすように話す。

ぎゅっと唇を噛み、なにも言わずうつむいて、翔の話しを聞いていた。

こんなに早く、別れることになるなんて思いもしなかった。

そのとき、始業のチャイムがなった。

「授業が始まる。海斗は、教室へ戻ったほうがいい」

気力なく、ぼぅと立ちすんでいる海斗に、翔は促がす。

海斗は、ふらふらとふらつきながら自分の教室へ戻った。


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開く トラックバック(6)

退院してから、学校へ登校したのは三日後だった。

クラスメートたちが自分の周りを囲い「ケガのほうは治ったのか」と嬉しそうに肩をたたいてくれるが、海斗にとって、それがなにやら恥ずかしくて「大丈夫、大丈夫だから」とはにかんだ笑顔で応えるのが精一杯だった。

翔とは、入院した日の夜以来会ってはいない。

一応、同じクラスメートたちの話しに応じてはいるが、頭のなかは翔のことで一杯だった。

翔に早く会いたい。

「悪い。ちょっと、ごめん」

会いたいという強い想いが募り、海斗はキリのないクラスメートたちの話しを遮り、人だかりの輪を解いて翔のもとへ足早に向かった。

隣のクラスへ行き教室内を見渡すと、自分の席に座っている翔を、すぐに見つけることができた。

ズボンポケットに手を突っ込んで、イスに浅く座って長い足を組んでいる。

相変わらず、ふてぶてしいヤツだ。

もちろん、そんな翔の態度でも気を悪くはしない。

ハンサムな顔に、優しくて。それに、なんたって俺の恋人……

三日ぶりに見た恋人の姿に、顔を緩くほころばせてしまう。が、すぐに翔がなにか元気のない雰囲気を漂わせていることに気がついた。

心配になって、一度緩んだ顔を引き締めて、翔に近づく。

「翔、どうしたの?元気ないように、見えるけれど……」

「ああ、海斗か。ケガのほうは治ったのか?」

イスに座ったままの翔は質問には答えず、陰りのある表情で見上げ覇気のない口調で訊き返す。

「もう、大丈夫だよ。それより、翔。具合でも悪いの?元気がないみたいだけど……」

「俺……また引越しをしなくちゃいけなくなったんだ。親父の仕事の都合で。それで、学校も転校することになって……もう、転校する日も決まっているんだ」

「!」

久しぶりに会ったというのに、いきなり衝撃的な事情を聞かされて言葉を失ってしまった。

ひょっとして、二人は離ればなれになるのでは――一瞬、そんなことが頭に浮かんだけれど、慌ててブルブルと頭を振った。

翔と別れるなんて、考えたくもない。

もしかしたら、隣りの学校に転校するだけかもしれない。

それなら、普段会うことも可能だ。

強引に楽観的な考えでいようと努力する。

翔は少し間をおいて、ふぅと息をついてから言葉を継いだ。

「遠くに引越しをすることになったんだ。今度は、ドイツへ行くことになった……」

海斗の心配をさらに追い討ちをかけるような話しを聞かされ、頭にガンと殴られたような衝撃が伝わって、ふらふらと目まいをおこしそうになる。

「お、俺たちは、どうなるんだ?」

海斗の問いかけに、翔は寂しく首を横に振った。


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熱く濃厚だった病室の空気が薄まるころ、翔は服を着て帰る身支度を整えていた。

「翔、今日はいろいろ迷惑をかけて……ホントにごめん」

「そんなこと、気にしなくていい。海斗が元気になってくれれば、俺はそれだけで嬉しいんだ……」

翔は、先ほどの淫欲にまみれた顔とは打って変わって、いつものさわやかな表情で答える。

「じゃ、俺は帰るから……」

そう言って病室のドアノブに手をかけたけれど、ふっと思い出したように海斗のほうへ向き直って、意地悪な笑みを浮かべた。

「お前のイキ顔……いい顔だったぞ」と。

憎まれ口をたたけるほど、平常心を取り戻した翔は、笑いながらバタンとドアを閉めて部屋を出て行ってしまった。

「もうッ、翔ってばッ」

手元にある枕を投げつけてやろうかと思ったけれど、それが翔らしい挨拶だと考えれば、笑って許せる。

ドアが閉まり、明るかった病室がしんと静まり返ったけれど、海斗は今日初めて経験した情事のことが頭から離れず、興奮が止むことはなかった。



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