素敵な夜景に踊らされて☆萌えガク

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しばらくのこうちゃく状態。

険悪な雰囲気のなか、先に場の空気を和らげたのは一樹だった。

「こんなところで言い争いしても仕方がない。俺たちは、パーティーを楽しむために来たんだ。今、その話しはお互い遠慮しようじゃないか」

物腰低くして、紳士的な言い方で玲二をなだめる。しかし、どうやら本人には通じなかったようだ。

「逃げるのかよ」

あくまで、けんか腰の玲二。

「いや、その話しはやめようと言っているんだ。今、お前の話しに付き合う気はさらさらない」

「まあいい。せいぜい楽しんでいな。俺と付き合わなかったことに、後悔することになるぜ」

ふんと鼻を鳴らした玲二は、最後に「覚えていろ」と捨て台詞を残して立ち去った。

裕也は、べぇと舌を出してしまいそうになるのをこらえて、玲二の後ろ姿を見送る。

「なんだよ、あいつ……」

玲二が人ごみのなかに消えていったのを確認すると、裕也がつぶやいた。

玲二の……あの冷たい表情には、底知れぬ恐怖を感じる。あのとき、身がすくみ何も言えなかった。

あんな男が、一樹の昔の恋人だったのか……?

「昔の、恋人?」

「ああ、大昔の……だ」

心の奥で、否定してくれるのではという期待もあって一樹に尋ねてみたが、すんなりと肯定されてしまった。

まあ、先ほどの話しの流れを見たあとで否定されても、恋人同士だったのでは……という疑惑は残るのだけども。

「悪い気分だ……。さ、裕也、今日はパーティーだ。気分を変えて、飲み物でも頂こう」

ウエイターからワインとオレンジジュースを受け取った一樹は、窓際へと向かう。

「ああ、いい夜景だ」

裕也にオレンジジュースを手渡し、ワイングラスに口をつける。

ホテルの最上階から見える夜景は、たしかに素晴らしいものだった。しかし、一樹は本心から言っているわけでもなく、ただ自分の気持ちを紛らわしているように思える。

それは、はっきりした確証があるわけでもなく、自分の思い込みかもしれないけれど。

一樹の気持ちをくみ取った裕也は、それ以上、玲二の話題をすることなく、緊張で渇いた喉をオレンジジュースで潤した。


・+☆+・
6/50話

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ゴージャスなシャンデリアで照らされた広いホールは、すでにさまざまな人たちで入り混じっていた。

テレビで見かける代議士や大企業の役員の人たちなど、政界、経済界の著名人たちが、一同にパーティー会場に集まっている。

「すごいッ。偉い人や有名人ばかりだ」

子供のように目を大きくして驚く裕也に、一樹はふっと笑みをこぼす。

「ああ、うちの義竜会は関東で一番大きな組だからな。皆、義竜会の名前にすがり、おいしい思いをしようっていう欲深い輩ばかりだ。パーティーの出席者のほとんどが、そういう奴さ」

「へぇ」

いきなり、ヤクザのパーティー事情を知ってしまった裕也はうなってしまう。

目に入る全てのものが新鮮で、落ち着きなくきょろきょろと会場内を見渡す。

ホールの中央には、大勢の取り巻きに囲まれた老人の姿が見える。

皆がタキシードに蝶ネクタイという礼装に対し、一人だけ、はかまという和風のスタイルは、人目をつくものがある。

だが、年老いた小さな老人とはいえ、ただ者ではない雰囲気を身にまとっている。

人をねじ伏せてしまいそうな強い気迫と、媚びることのない態度は、人の上に立つ人間だからできること――直感的にそう感じて、一樹に尋ねてみた。

「あの老人は?」

「うちの組長だ。あんなに大勢の取り巻きに囲まれて、さぞ困っていらっしゃることだろうに……」

組長と呼ばれた老人は、途絶えることなくペコペコと頭をさげて挨拶にやってくる男たちの話しに、険しい顔をしてうなずいている。

なるほど……。

全くへつらうこともなく堂々としている態度は、やはり大物の証しか。

「一樹、しばらく顔を見なかったじゃないか。どうしたっていうんだ」

組長と呼ばれる老人のほうばかりに目を向けていると、突然背後から声をかけられて、二人は慌てて振り向いた。

皆と同じように、黒いタキシードを着た男が、笑み浮かべながら一樹に歩みよる。

茶髪にスリムな身体。目から放たれる視線は、無感情で冷たい。

なんとも、いかがわしい人物だ。

「俺と別れてから、男の趣味が変わったな。こんな、ガキを連れてくるとは……」

男はチラッと裕也に見やり、フッと口元を緩ませる。

見下した笑いが、憎たらしい。

初対面の男に、子供扱いにされてムッと唇を強く結びつけ「バカにしやがって!」と心のなかで叫ぶ。が、不愉快な気持ちを露わにすることはできず……。

男の、どこか爬虫類のような感情のない冷徹な目に、身体がすくんでしまった。悔しい気持ちを押し殺し、黙って男から目を逸らして顔をうつむかせるのが精一杯だ。

「俺の大事なツレだ。口を慎むんだ、玲二(れいじ)」

一樹が、自分の代わりにとがめてくれた。

裕也は、頼りがいのある一樹の言葉に嬉しくなって、顔をあげる。

「なんだぁ。一樹の新しい恋人か?そんなガキより、もう一度、俺とよりを戻さないか?昔みたいに……」

「断る」

一樹は即答で突っぱねた。顔には、眉間にしわを寄せて嫌悪感を滲ませている。

どうやら、二人は仲が悪いらしい。それよりも、昔は恋人同士だったような、二人の口ぶりがすごく気になる。

「ふん。すごい嫌われようだな。ただ、こうやってイキがっているのも、今のうちだぜ。必ず、お前を手に入れてみせるさ」

「やれるものなら、やってみな」

一樹と玲二の二人は、お互い激しい火花を散らしているように睨みつけた。



・+☆+・
5/50話

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日が沈み、街の灯りがきらめきを増す頃、一樹と裕也は都心にあるホテルの一室で、パーティーに出席するための支度を整えていた。

もちろん、ホテルは名の知れた一流ホテルだ。

「裕也、準備できたか?」

一樹が、待ちくたびれた様子で声をかけてきた。

立派なホテルのパーティーに出席するなんて一度も経験したことはない。裕也は、これから体験する社交界デビューに、期待と喜びで胸を膨らませながら熱心に身だしなみを整えていた。

一樹に用意してもらったタキシードだって、身につけるのは生まれて初めてのこと。スイートルームに設えられた鏡を覗きこみながら、丹念に身だしなみを整える。

すでに、タキシードに蝶ネクタイという礼装姿の一樹は、こういうパーティーに場慣れしているのか、30分も前から身支度を終えている。

その礼装姿は……さずが、一樹というべきか。

一樹の精悍な顔つきと長身の身体が、タキシードにぴったりとマッチしていて、見事なまでに着こなしている。

それに比べ、鏡に映る自分の姿が歯がゆい。まるで、タキシードに着せられているようで、まったく自分と釣り合わない。

「おい、裕也。もう、いいだろ?はやくパーティー会場に行こうぜ」

「う、うん。今、行くよ」

これが最後だと思って、鏡の前で髪を手で整えるが、それでも納得できなくて。

妙に髪型が気になり、鏡の前から離れないでいると、背後にいる一樹に、鏡越しから「もう、カッコよくきまってるぜ」と苦笑されてしまった。

初めての、セレブなパーティーに落ち着かない自分の気持ちを見透かされて、裕也ははにかみながら部屋をあとにした。


・+☆+・
4/50話


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同じクラスの不良たちにも強い嫌悪感をもっているぐらいだから、暴力団となるとなおさらだ。

それが心の奥で引っかかり、気持ちのなかで一樹と身体を交えることを拒んでいるのかもしれない。

よりによって、ヤクザの男を好きになってしまうなんて……

少し後悔に似た思いが湧きだっているところ、背後から声をかけられた。

「最近、お前ノリが悪いな。もしかして、俺たち倦怠期か?」

たしかに、一樹と出会ってから一年半になるけれど、マンネリが原因で元気をなくしているわけでもない。

倦怠期というのは、一樹の思い違いだ。

相変わらず黙り込んでいる裕也に、一樹はおもしろくない顔をしてふぅっと煙草の煙を吐いた。

「明日、うちの組の定例パーティーがあるんだ。一緒に出てみないか?ちょっとした気晴らしになると思うんだが……」

先ほどから口を開かない自分を、元気づけさせようとしているのだろうか?

唐突に「パーティーに行かないか?」と尋ねられて返答に困ってしまった。

だいたい元気がないのは倦怠期だからではなくて、ヤクザを好きになってしまった自分自身の悔やみ……みたいなものがあるからだ。

倦怠期だからパーティーで気晴らししようとしているのであれば、それは全くのお門違いである。

まだ、口を固く結んでいる裕也に、一樹はさらに言葉を継いだ。

「たまには、いつもと違う雰囲気を楽しむのもいいじゃないか。酒やうまい物もたらふく食えるからな、悪くはないと思うぜ」

先ほどから何も言わない裕也に苛立っているのか、少し口調が強くなっている。

このまま、黙っていれば、さらに険悪なムードになってしまう。裕也は、肩で息をついてから口を開いた。

「わかった、パーティーとやらに一緒に行こう。どうせ、明日は暇だし……。でも俺は、未成年だからお酒は飲めないよ」

「ああ、そうだったな。パーティーで着る服は組の者に用意させる。明日は、二人で楽しもう」

同意を得たことが嬉しかったのか、一樹は声を和らげて裕也の首元にキスをした。


・+☆+・
3/50話

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一樹には、生活にかかわることは全て面倒をみてもらっている。

住むところや学校の学費に生活費、お小遣いだってくれる。それに……

他の人間にはどうだか知らないけれど、自分に対してはすごく優しく接してくれる。

それだけでも、十分に付き合う価値はあるけれど、容姿も人を惹きつけるほどの美貌の持ち主。

撫でつけた黒い髪と切れ長の目は、クールで都会的な洗練されたカッコよさを醸しだしているし、189cmという長身はとても頼りがいがある。

スーツから靴先まで隙間なくブランド品に身を包めば、優雅で知的で、少しばかり危険な香りのする男の出来上がりだ。

この男は、炎天下の真昼よりも夜のネオンに照らされたほうが、よく似合う。

こんないい男に、その気になるような言葉をかけられれば誰だって放っておけないだろう。

「お前、顔立ちがいいな。好きになってしまったよ。よかったら……今から俺と遊ばないか?」

夜の渋谷で、軽々しく声をかけられて振り向けば、背の高い男の姿。

ダークのスーツを身にまとい、袖から覘いている高級そうな腕時計。全身から放たれる危険なオーラはカタギのものではない。

第一印象で、ぶっそうな職業の人間だと読み取ってしまったけれど、それが一樹との最初の出会いだった。

誘われるまま、高級レストランに行って食事をして、そのあと会員制のクラブにも行った。そして、一樹と口づけ。

クラブの雰囲気に惑わされて、一樹とキスをしてしまった場面を思い出すと、裕也は自嘲の笑みを浮かべる。

たった数時間前に出会った男と、キスを交わすなんて……

我ながら、軽い男だと……

あの日から、一樹と付き合うことになり、こうしてベッドの中で熱いキスをして、情熱に身を任せて愛撫しあうことも数え切れないほど繰り返している。

ただし、セックスはしていないけれど……。

一線を越えられないのは、やはり一樹がヤクザだからか。

社会の秩序を乱す人間は、昔から嫌いだった。


・+☆+・
2/50話

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