素敵な夜景に踊らされて☆萌えガク

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「そ、それはッ!」

「ああ、拳銃だ」

見下ろす玲二の冷たい視線を浴びた裕也は、金縛りにあったように固まった。

恐怖で顔がひきつる。

「お、俺を殺したらどうなるのか分ってるの?警察に捕まるだけだよッ」

喉に詰まる声を振り絞って強がってみせたけれど、玲二はふんと鼻を鳴らして跳ね飛ばす。

「そんな心配は無用だ」

「な、なんだってッ?」

「そのあとの段取りはちゃんと用意してあるってことだ。さっき電話していただろ。
あの電話は、海外へ高飛びする手配をしていたのさ。まず、お前を殺したあと俺はすぐに高跳びをする。東南アジアの国に親友がいてさ、しばらくそこで身を隠すんだ。
もちろん、ほとぼりが冷めたら日本に帰ってくるつもりだ。それに……」

意味ありげに言葉を途切れさせた玲二に、裕也は眉をしかめる。

「それに……?」

「一樹のことも心配するな。俺がちゃんと面倒みてやるつもりだ」

裕也は大きく目を開いて、身体を震わした。

一樹を面倒みるって。それってどういうこと?

理解できない――そんな気持ちが表情に表れていたのだろう。

玲二はせせら笑った。

「一樹が、組の金を横領して破門宣告を受けているのを知っている。
破門させられたうえ、大事な恋人を失った一樹はかわいそうだろ。だから俺は、
一樹を囲ってやるつもりだ。きっと俺を見直して、再び恋人同士になれるはずだ。それが俺の計画ってわけだ」

大事な恋人っていうのは、裕也のことを指しているのだろう。

そして、計画通りということは、おそらく組のお金を盗みだしたのも計画のうちにはいっていたに違いない。

一樹が玲二のことを見直すとは到底思えないが、三千万という組のお金が無くなったという件については、玲二が絡んでいることが確信できた。

一樹に罪をなすりつけようとする玲二が許せない。

恐怖心を上回る怒りの感情がわなわなと込み上げてきて、不敵な笑みを浮かべている玲二をきつく睨む。

「やはり、組のお金を盗ったのはお前だったんだな」

「ああ、そうだ。金を盗みだしたのは俺さ。それもこれも、一樹とよりを戻すためだ」

どういうわけか、あっけなく認めた玲二に少々拍子抜けしてしまい唖然とする。

玲二はニヤリと笑い、裕也の顔に拳銃を向けた。

「どうして正直に答えたのか、教えてやろうか。
お前が知ったところでどうにもならないからさ。なぜなら、お前はここで死ぬことになるんだからな」

「くッ」

拳銃を突きつけられて逃れることができない状況のなか、一樹の無実の罪を晴らすことができない自分に悔しくてギリギリと歯を噛みしめる。

拳銃からカチャリと鈍い金属音が発せられて、撃鉄が起こされたことを知らせた。


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自分からさよならを言っておきながら、困ったときには助けを呼ぶ…なんてわがまますぎるのではないか。

どちらかといえば硬派な考えの持ち主の裕也は、困ったときだけ一樹の助けを求めるなんて、信念のないチャラチャラした男みたいで抵抗があった。

しかし、その一瞬のためらいが助けを求めるチャンスを逃してしまう。

「えッ!?」

人の気配を感じて慌てて見上げると、即座に腕が伸びてきて手に持っていた携帯電話を力強くたたき落とされた。

手から離れた携帯電話は勢いよく飛び、脇のスチール製のロッカーに派手な音をたててぶつかり、それでも勢い余って床の上を滑っていく。

「どこへ、電話しようとしていたんだ」

玲二の鋭い目が裕也をとらえ、今にも殴りかからんとばかりに怒りを露わにする。

「一樹に電話したのか、ああッ?」

「…してない」

玲二の視線から逃げるようにうつむき、ぼそりと答える。

嘘ではない。電話をする前に、玲二にたたき落とされてしまったのだから。

数メートル先の床に転がっている携帯電話をぼんやり見つめながら助けを求める唯一の連絡手段を絶たれ、絶望感で力なく肩を落とす。

「ん、どうした?恋人に助けを呼べなくて、がっかりしたのか」

少し声質を高くして、からかいが含んだ玲二の声が頭上から降ってくる。

裕也は、恋人という言葉にピクッと反応して小さくつぶやいた。

「もう恋人じゃない。一樹とは、別れたんだ」

玲二は、鼻で笑った。

「へッ。そんなこと、信じられるわけがない。昨日、お前が一樹のマンションに入っていくのは知っているんだ。嘘をつくなら、もっとマシな嘘をつくんだな」

「嘘じゃない。今日、別れたんだ」

一時的に機嫌が良くなっていた玲二が、訝しい表情に変わる。

「ああ?今日別れたってか。ふざけてんのか、お前は。そんな嘘が通用するわけないだろ!」

「いや、本当なんだ。一樹とは、2時間ほど前に別れたばかりなんだ」

「2時間前だと。ふざけるのもいい加減にしろッ。なぜ、そんな嘘をつく?一樹をかばってんのか?」

聞き入れようとしないどころか、ますますヒートアップする玲二に、これ以上言っても無駄だと思い裕也は口をつぐむ。

「まあいい。俺には関係ないことだ」

玲二が内ポケットから、なにやら黒い物体を取り出した。

それは、前にも見たことがある拳銃だった。


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玲二の組事務所に無理やり連れて行かれた裕也は、落ち着かない気持ちで薄汚いソファーの上で縮こまっていた。

室内は事務所で使われているような飾り気のない棚が所狭しと並べられ、奥には麻雀卓が置いてある。
たばこのヤニで黄ばんだ壁は、つんとした異臭を放っていてめまいがする。

もちろん、あからさまに鼻を覆うことなどできるわけもなく、じっと顔をうつむかせ、どこへ向けていいのか分からない視線を自分の膝に向けていた。

玲二は、窓際に立って携帯電話でなにやら会話をしている。

そんな玲二の声を耳に入れながら、裕也は首をひねった。

どうして、俺をこんなところに連れてきたのだろう?

組事務所に連れてこられたときからずっと疑問に思っていて、不安な気持ちでいっぱいになっている頭で推測してみる。

一樹がらみのことというのは間違いないだろう。

玲二はまだ、一樹のことが好きのかもしれない。

それで、いつも一樹のそばにいる俺が目障りで……。

その時、恐ろしいことが頭に浮かんではっとした。

もしかして、目障りな俺を…消す……?

冷たい汗が額を流れ、手が震える。

不安な気持ちのせいで、よくないことを考えてしまう……というわけでもない気がする。

玲二なら、やりかねない

今、室内にいるのは玲二と裕也の二人だけだ。

密室のなかで、なにがあっても知る者は誰一人いない。
この状況は、玲二にとって好都合のはず。

なるべく目立たないように、うつむかせた顔を上げず視線だけを玲二のほうに向けて様子をうかがった。

大事な話をしているのか、玲二は電話に夢中になっていて、裕也のことなど気にとめていない。さらに運がいいことに、玲二は窓の外へと顔を向けている。

こっそりと、携帯電話を取り出して助けを呼ぶぐらいなら気づかれないかもしれない。

一樹に助けを呼ぶなら、今のうちだ。

緊張で急激に乾く喉をごくんと鳴らした裕也は、ゆっくりとポケットに手を入れて携帯電話を取り出す。

その動作は、最小限の動きで音をたてることはない。

焦る気持ちはあったけれど、派手な動きをして相手に感づかれたらおしまいだ。ここは、静かに動いて、迅速に……だ。

顔をうつむかせたまま、そっと静かに二つ折りの携帯電話を開く。

アドレス帳から、一樹の名前を見つけ出すとボタンに指をかけた。

一樹……。

携帯電話の画面に表示された一樹の名前を見ると、今日、さよならと言ってマンションを飛び出した光景が頭をかすめ、発信ボタンを押すのをためらってしまった。


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44/50話

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「お前、こんなところでなにをやってるんだ?」

「べ、別に……」

突然ばったりとでくわしてしまい、動揺する気持ちを見抜かれないように冷静を装ったけれども、怜二にフッと笑われる。ばかにしたような笑いが腹立たしい。

かといって、感情をあらわにすることはできないけれど。

「まぁいい。おまえに話しがある。とりあえず車に乗れ」

裕也の素っ気ない返事を軽く流し、玲二が偉そうに命令する。「あれだ」と目で差した先には、黒塗りのベンツが路上に停めてあった。

どうやら、あの車に乗れと言っているらしい。

「…いやだ」

詰まる声を振り絞り、首を左右に振る。

のこのこと乗れるわけがない。

どこに連れて行かれるのか分らないし、なにをされるのかも分らない。

もしかして、どこかの人目のない山奥で殺されて……なんていう恐ろしいことも考えられる。玲二なら、やりかねない。

ここなら人目もあるし、近くに交番だってある。さすがの玲二も、ここでは下手な真似はできないはずだ。

それに……

ここは逃げたほうがいい。

裕也は玲二に背を向けて、かけ足で逃げ出そうとした。が、すぐに玲二の手が伸びて、あっけなく腕を掴まれてしまった。

まわれ右をして走りだそうと瞬間だったものだから、後ろに引っ張られるようなかたちになって、思わず尻もちをつきそうになる。逃げるチャンスを失った裕也が慌てて振り向くと、鋭い眼差しで睨みつける玲二の顔があった。

「どこへ行くつもりだ?」

「う……」

完全に先を読まれていた裕也は、言葉をつまらせる。

逃げようとした態度が気分を損ねたのか、無表情な顔から険しい顔に変貌した玲二は、裕也の腕を掴んだまま車のほうへ向かった。

嫌がる裕也を引きずるように車の前で立ち止まると、後部座席のドアを開けてゴミでも捨てるように乱暴に裕也を突き放した。

「…痛ッ」

車内をごろごろと転がり、反対側のドアに強烈に頭をぶつけて、痛みがはしる。

痛む頭を抱え、しかめた顔で見上げると、運転席に座った玲二とルームミラー越しに目が合う。

「いちいち癇に障るヤローだな。とりあえず俺の組事務所までくるんだ」

前を向いたまま話す玲二がエンジンをかけると、車はゆっくりと動き出した。

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43/50話

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一樹が住む高層マンションを飛び出した裕也は、あてもなく夜の新宿をさまよい歩いていた。

ふらふらと力なく、足かせをはめられたような重い足を引きずって、一樹のマンションから離れていく。十数分歩くと、高々とそびえ立つ高層マンションの姿さえ見えなくなってしまった。

ばかなことを言ったという後悔が身体中に蔓延し、耳の奥では、一樹が最後に自分を呼び止めていた声がこだまのように鳴り響いている。

街の光も行き交う人々の様子も目に入らず、最後に言った言葉――一樹にさよならと言ってしまったことをひたすらに悔んでいた。

一樹に呼び止められたというのに、振り切ってマンションを飛び出した自身に嫌気がさす。

どうして、あんな行動をとってしまったんだろう?
あの時、思いとどまっていれば……。

街のネオンが明るく自分を照らしても、ぽつんと一人、暗闇の中をさまよい歩いているような孤独感が身を包む。

おそらく一樹は、俺たちの仲は終わった…と思っているに違いない。

数か月前、ベッドのなかで寄り添いながら、一樹が言っていたことを思い出す。

「俺はヤクザ者だけど、そういうのはきっぱりとあきらめるタチなんだ。嫌われたら、お前にしつこくつきまとうなんて、さらさら考えちゃいないから」

そう言っていたわけだから、嫌われたと思っている一樹はきっと、自分を追いかけるようなことはしないだろう。自分から、よりを戻す意思を示さないかぎり。

いや、それさえできないかもしれない。あんなにも、ひどいこと言ったんだ。よりを戻すなんて都合が良すぎる。

初夏だというのに、今夜の夜風はいつもより寒い。これ以上ないぐらい落ち込んでいる裕也は、ぶるっと身体を震わした。

とその時、前方に異質な人影があることに気がついて、びくっと足を止める。

まず見えたのは、高級そうな皮靴だった。いやな予感を覚えながらも、目の前に立つ人物の靴のつま先からゆっくりと頭を持ち上げた。

スーツとネクタイが目にはいり、心臓の鼓動が速まるなか、さらに視線を上方へ移動させる。

「ひッ」

顔を上げた裕也は、思わず悲鳴をあげそうになったのをこらえて、大きく身体を震わせた。背中に冷水をかけられたように、背筋にぞくぞくとした悪寒がはしる。

視界に映ったのは、無表情で顔で見下ろしている玲二の姿だった。

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42/50話

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